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堤未果著 「(株)貧困大国アメリカ」
岩波新書 (2013年6月 ) 

グローバル資本による寡占支配が生み出す、食産業・行政・マスコミの株式会社化

株式会社制度とその生産の効率化は自動車産業など製造業には、大量生産・低コスト化など効率的なシステムを生んだ。経営形態が法人資本主義であった時代には経営者と労働者の利益が重視されたが、金融資本主義になってから変質し、このシステムは市場主義や投資家支配となった。そして金融資本の前には会社自体が投機の対象になった。まして労働者は一顧だに考慮されなくなった。株式会社制度には少なくとも日本においては向かないと思われていた農業、行政、マスコミ、医療などの分野にも、このような経営形態(株主重視)はアメリカではダイナミックに進行した。2001年の成立した小泉内閣は「民ができることは民に任せよ」といって大幅な規制緩和政策を遂行し、その仕上げは郵政民営化という巨大独占企業の誕生となった。派遣労働者による労働市場の破壊、ワーキングプアーという格差社会の拡大、製造企業の日本脱出という社会の空洞化という日本のぶっ壊しを断行した。小泉氏は従来の自民党でできなかったアメリカ的な新自由主義政策を推し進めた。そういう意味では橋本龍三郎内閣の「ビッグバン」などはいかにも日本的な中途半端な改革に過ぎなかった。ところが本書を読んでゆくと、小泉氏のテキストはアメリカの新自由主義政策の1周遅れの物まねであることがよく分かった。小泉氏の功罪は内山融著 「小泉政権」(中公新書 2007年)に詳しい。今アメリカでは1%のスーパーリッチ層(金融資本家とコングロマリット企業家)の驚愕の社会変革(破壊)が進んでいることが分かる。あらゆるものを株式会社化(利益重視の株主優先)する動きが加速している。世界の究極の支配者たらんとする勢いである。経済利益は市場をゼロからスタートする方が儲かるのである。これを貧困ビジネスまたは破壊ビジネスともいう。破壊と再建の繰り返しを意図的に作り出し、市場創世期の投資効率の最大化つまり高利潤を得ることである。市場成熟期や飽和期では企業の利益は少なくなるのが鉄則である。そのために外部である発展途上国において貧困ビジネスを行い、金融恐慌や世界危機を意図的に作り出して、成熟国の破壊と再建を企てるのである。サブプライム・ローン問題は金融工学の活用による「貧困ビジネス」の典型であり、バブルから金融崩壊を演出し、国民の財産を「公的資金導入」と称して金融資本が吸い上げる。金融危機を起こした金融資本は反省もなく無傷で生き残り、「公的資金」を使って次の投資先を考えているのである。とびっきり頭のいい連中があの手この手で情報格差を利用して金もうけを企画する。「ヴェニスの商人」かロスチャイルド家ユダヤ系金融資本のたくらみかと勘繰りたくなるほどの最終支配者ぶりである。並の頭では太刀打ちできないが、「だます方が悪いのか、騙される方が悪いのか」と愚痴をいうより、この現実を多くの人が認識しなければ事態はどんどん悪化するようである。我々はただ食われるだけの盲目のヒツジではない。「金が唯一の価値感というシステムから脱すために、今何をなすべきかを考えてみよう」と本書は警告を発している。本書は3部作の完結編だそうだ。先行する第1部は堤 未果 著 「貧困大国アメリカ」(岩波新書 2008年)で、第2部は堤 未果 著 「貧困大国アメリカ」(岩波新書 2010年)である。

第1部(2008年)で著者が主張したいことは、「貧困層は最貧困層へ、中流社会は急速に崩れて貧困層へ転落してゆく、極度のアメリカ式格差社会の進行は決して人事ではない。このアメリカの現実を、追いやられる人々の目線で見る事は日本の将来の選択につながります。弱者切捨て、社会保障費削減はセイフティネットを破壊し、さらに新しい弱者層を拡大しています。サブプライムローン問題はその弱者層を食い物にして梃子原理を利かせて儲けてゆくグローバル金融資本の姿を如実に示しています。金融資本が支配する反面教師としてのアメリカ社会から学んで私達の生活を守る戦略を考えなければならない。日本でも中曽根首相から小泉・安倍首相へと続いた新自由主義政策は規制緩和・自由化の美名のもと、急速に政府機能を破壊してきました。日本の現在の政策の行き着く先の社会はこアメリカ式格差社会です。しかし未だ日本の国民皆健康保険制度、年金制度、終身雇用などは世界の資本主義国のお手本となっています。これらを壊しては何のための日本国なのでしょうか。」というものであった。具体的事例は、2007年アメリカのサブプライムローン問題は「信用危機」、「流動性の危機」、「資金繰りの危機」という三つの危機を引き起こした。2008年1月アメリカが不況に落ちるという不安が世界同時株安を引き起こし、今現在(6月)も株価は低迷し続けている。欧米の金融機関は巨額の損失を計上し、シティーグループ、メリルリンチ、USBという巨大金融機関の社長の首が飛んだ。そしてモノライン保険会社も危機に陥った。このサブプライムローン問題はアメリカ社会になぜ起きたのか。2006年ごろ方住宅ブームは勢いをなくし始めた時、業者が新たに目をつけたターゲットは国内に増え続ける不法移民と低所得者層だった。自己破産をし経歴を持つものやクレジットカードが作れない彼らにも住宅ローンが組めると云うふれこみだった。このサブプライムローン問題の本質は単なる金融の問題ではなく、過激な市場原理が経済的弱者を食い物にする「貧困ビジネス」のひとつだった。アメリカ国内でアフリカ系住民の55%、ヒスパニック系住民の46%がサブプライムローンを組んでいる。経済的な人種搾取といってもいいが、社会を二分するような格差構造をめぐって、暴走型市場原理システムが弱い者の生存権を奪い貧困化させ金融商品で儲けるという潮流である。証券化という金融技術が悪用された。「教育」、「命」、「暮らし」という国民の責任を負うべき政府が、「民営化」によって民間企業に国民を売り飛ばして市場原理で貧困化させるという構図が世界的に進行している。単にアメリカと云う国の格差・貧困問題を超えた大きな流れ(新自由主義的グローバル資本のやり方)を、「暮らしー格差貧困・災害対策の民営化」、「命-医療・健康保険の民営化」、「若者ー教育の民営化」、「戦争の民営化」という民営化による生活破壊の様相を実証した本であった。

経済がすさまじい勢いで社会の仕組みを変えている。それはアメリカでは1980年代に始まるレーガノミックスの新自由主義経済のことである。製造業の主導権を日本・ドイツに奪われたアメリカは経済のルールを変更しようとした。金融資本主義に徹底したのである。その動きに拍車をかけたのが、1980年代末の東欧やソ連社会主義国の崩壊であった。そこからなりふり構わない資本のエゴ(投資家の最大利潤追求)に邪魔な制度を、規制緩和とか小さな政府というスローガンで排除した。その歴史的展開と主導する経済理論と政策については、服部茂幸 著 「新自由主義の帰結」(岩波新書 2013年5月)に詳述されている。2000年代のブッシュ政権の政策を導いたのは、フリードマンの新自由主義経済学理論である。政府機能は小さいほど良いとして規制緩和を進め、教育、災害、軍事、諜報機能などを次々と市場化(小泉流に言えば民営化)していった。新自由主義政策にはそもそも福祉政策という考えは不合理で金持ち階級の財産(自由)を奪うものとされ、99%の負け組にたいしては慈善という哀れみをかければ、倫理上の問題で回避できるらしい。ところがオバマ政権で期待された公的健康保険制度は断念され、逆に民間健康保険に加入する義務を課すという保険業界の要請通りの改革(改悪)がなされた。1%のための共和党と、99%に味方するオバマ政権という構図は全くの選挙用イメージに過ぎなかった。共和党と民主党は対立軸のない資本の前には同じ政党である(日本の自民党と民主党というイメージに同じ)。過去30年の経済体制の結果は「貧困」であると著者は断言する。この動きは過去30年に2回金融危機をもたらした。1998年のアジア金融危機と、2008年のリーマンショックによる世界金融危機である。金融資本は国民や他国の資産を吸い上げて、危機の度に寡占とグローバル化を進め次に荒稼ぎができるバブルを企てるのである。バブル→世界経済危機は同一線上の経済現象で避けられない帰結である。いま世界で進行している出来事は、ポスト資本主義の新しい枠組みである「コーポラティズム」という政治と企業の癒着主義である。人から制約を受けないという自由主義とは突き詰めると、政府を徹底的に利用して他人を収奪する仕組みを合法化することである。税金からなる公的資源を独占企業という「民間」に分配ため様々な村(利益共同体)が形成された。原発電力複合体をはじめ、食産複合体、医薬産複合体、軍産複合体、石油、メディア、金融など挙げだすときりがないが、ヒスパニックより労賃の安い刑服務者の労働力を利用する刑産複合体まで存在する。1%の支配者と99%の奴隷に2極化することが、1%支配者にとって一番効率(利潤/投資)が高いのである。働く人の生活に思いをはせることはセンチメンタリズムに過ぎない。最低限の再生産可能な労働力市場(奴隷市場)にまで追い込むことが利潤というアウトプットを最大化する方程式である。アメリカとヨーロッパに本拠を置く多国籍企業群がこの略奪型ビジネスモデルを展開している。これをグローバル資本という。本論に入る前にアメリカ社会の一面を見てゆこう。アメリカでは食料支援プログラムSNAPを受給する人々の数がリーマンショック以来急増している。SNAP受給者の数は2012年に4667万人(7人に1人の割合)である。2010年度のワーキングプア人口は1億5000万人(2人に1人の割合)、失業率10%(ハローワークに行かない失業者を含めると実質失業率は20%以上)である。これは優れた貧困者救助政策だと思われるが、米国最大のスーパーマーケットであるウォルマートはSNAPより大きな利益を上げている。2011年国家予算より7兆5000億円という食品市場を独り占めしているからだ。貧困者(月収11万以下)であるSNAP受給者(月1万1000円の食費補助金)はこれによりジャンク食品を食べ肥満で病気になる。貧困と肥満は連動する。安い労働力の供給源であるヒスパニックの移民を促進するため連邦政府はメキシコにSNAP受給を約束した。これはもう国家ぐるみの貧困ビジネスである。

1) 独占アグリビジネスに支配される契約農家の悲劇

第1章から第3章まではアメリカの食ビジネスの株式会社化が行き着く姿を描いている。第1章は独占アグリビジネスに支配される契約農家の借金漬けの姿である。この姿は日本でいえば地方の農家が大手不動産建託資本と契約して、自分の土地と借金でアパートを建てることに近い。たとえば大東建託とかいう不動産会社がアパート経営と管理を行うというシステム同じである。多くの企業が外国へ拠点を移した今日、地方にそれほどアパート需要がるとも思えないのに、働き手をなくして耕作を縮小している農家の余った土地に目をつけ、大手建託業者がアパートの建設業者から銀行まで紹介して農家にお客が入るかどうかのリスクや借金返済の負担を負わせるものである。近在のどこのアパートもがら空きである。本書では上位5本の指に入る大手養鶏加工会社サンダーソン社(年商100億円、従業員8300人、契約生産者600世帯)による契約養鶏者の募集から話が始まる。ある定年退職後の夫婦が申し込んだ養鶏事業は、初期投資として4棟で9000万円、ローンは農業事業者保証会社が間に入った。ほぼ建設が終わった頃契約書が送られてきた。飼育法のマニュアル(飼料など)に反する場合は契約を打ち切られるし、農家に契約不服申し立ての権利はなかった。1年目は300万円ほどの収入があったが、2年目から燃料費が高騰したが経費は契約農家持ちで卵1個の買い上げ金額は変わらなかったので、だんだん手取りが減少していった。3年目から年収入は100万円を切った。4年目に親会社は施設を新しくするか鶏舎を増やすかを要求してきた。生産効率が低下してきたからである。増設しなければ会社は契約を打ち切るという。こうして一度契約したら抜けられず雪だるま式に借金にからめとられてゆく。これを「デットラップ 借金の罠」というらしい。1950年ごろ養鶏場の95%は個人農家経営で地産地消が行われていた。1970年代から株式会社経営が急増した。今では4社が全米の養鶏の4割を支配し、生産者の98%が親会社の条件で働く契約農家になった。インテグレイターが鶏と飼料(抗生物質)の供給、運搬、と畜、加工、流通、ブランド所有を行う。契約者は鶏舎と労働力、糞尿処理、光熱費の維持経費を負担する。アメリカ中の農家が巨大な企業の下請け労働者となっている。1960年に農場数は4000、1農場の面積は300aだったのが、2000年には農場数2000に半減し、面積は500aに拡大した。つまり大規模農場でなければ生き残れなくなった。「最大限効率化された大規模農業こそが、世界を率いる姉理科の国力である」とピアス通商代表は述べた。レーガン大統領が独占禁止法を骨抜きにし、「強い農業、国際競争力」を掲げると農業の集中化(寡占化)はあっという間に進行した。1982年には養豚場数は49000、養豚場の平均出荷豚数470頭/年だったが、2007年には養豚場数は8700か所に減少し、平均出荷豚数は5000頭となった。低コスト、短期間生産という効率の良い工場式農業に変身したのである。豚や鶏はもはや生き物として扱われず、材料として追及された。家畜工場は動物保護法の適用から除外され、食品安全審査システムは食肉加工工程のみとして他の行程には徹底して規制緩和され、安全審査機関の予算は大幅に削減された。さらの2000年からはブッシュ大統領は家畜廃棄物被害の企業責任を免責した。動物保護団体の監視の目を工場内に入れないため、アメリカ州議会交流評議会ALECのロビー活動によって、反内部告発法を定めて、企業秘密漏えい罪を強化した。2013年オバマ大統領は養鶏場安全審査官を25%削減したので、安全検査技術向上と称して審査官の審査スピードを毎分175羽まで上げた。このスピードでは安全審査はほとんどギブアップ状態である。

養鶏場の鶏の死亡率は28%と、牛や豚に比べると高い。それは成長促進剤を注射されるからである。成長剤のおかげでニワトリの体重は8倍に増え、短期間成長という効率向上と体重増による収入増という点で画期的な養育法であった。その代り鶏の病気が増え死亡率が高まったが、弱い鶏を間引いても効率向上につながった。寡占化は投資利益を目的とする株主至上主義に貫かれているので、借金だけが増える農家にしわ寄せ(取り分は少ない)がゆくが大企業はたっぷり利益を獲るのである。3K職場である食肉加工労働者はヒスパニック移民か囚人労働者が引っ張りだこである。これを「現代農奴制」と呼ぶ人もいる。養豚場は養鶏場では抗生物質耐性菌が蔓延しており、そこっで飢餓をした農民お傷が悪化するケースが増えている。アメリカで生産される抗生物質の7割は家畜に使用されているのである。農家は製薬企業のお得意さんとなった。1980年代に遺伝子組み換え作物GMの開発がアメリカの食を変えた。2000年代には米国内で作付されている、テンサイの95%、大豆の93%、トウモロコシの40%、がGM作物である。その安全性に関する議論はいまだ結論は出ず、現在世界の35か国でGM作物の輸入を規制または全面禁止されている。モンサント社は、グリホサ−ルを主成分とする除草剤「ラウンドアップ」と、これに耐性遺伝子を組み込んだGM種子(大豆)をセットで販売する。アメリカ大豆種子市場の90%がこの「グリホサザール耐性GM種子」である。GM 作物の安全性を検証する科学的研究には種子会社から財源が供給され、危険だとする研究結果には徹底した賛成派学者からの攻撃と村八分が待っている。社会的に活動の場を失った研究者が多い。論文掲載雑誌社の編集者を首にすることは日常的に行われる。業界はアカデミズムには研究費提供により、多くの御用学者を形成している。GM作物の利益共同体(学者・行政・業界)と安全神話は、まさに原発推進体制と同じ構造である。GM作物のラベル表示は日本では義務付けられているが、アメリカではGM作物をラベル表示することは全くない。2012年カリフォルニア州でGM作物のラベル表示義務化の是非を問う法案の住民投票が行われ否決された。他の数州でも否決された。法案反対のロビー活動は「表示を義務化すると手間のため価格が上がる」という脅かしであった。原発を廃止すると電力が不足し電力制限になるとか、火力発電の石油代が高いので電力代金の値上げになるというキャンペーンと軌を一にする。政府のUSDA食品規制機関は企業側と癒着していることも原発と同じである。1992年ブッシュ父大統領は「バイオテクノロジー関連製品は、実質的に一般製品と同じとみなし特別な規制は必要ない」と宣言した。これ以来GM作物に規制をかけたり、安全性を検証する第3者機関の行政も行う必要はないとされた。審査は企業が提出する書類のみで十分とした。「小さな政府」は経費節減という名目で、国民の安全性保護も放棄したのである。

2) 食品業界の垂直統合

レーガン大統領の独占禁止法規制緩和(骨抜き)がもたらした急速な垂直統合ブーム(寡占化)は、アメリカの農業・食の業界を大きく変えた。生産工程の異なる企業群を提携・合併・買収によって競合者を排除してピラミッド型市場支配を目指した。その典型がスーパーマーケットの最大大手のウォルマートである。1988年の創業以来店舗の拡大、競争相手の買収によって全米小売業界のトップとなった。2012年で全米で4740の店舗、売上高46兆円、全世界で毎週70億人の集客を誇る世界一の小売業である。ウォルマートへ納入する業者のコスト管理・契約条件は厳格で交渉はできない。全米4大食品生産業者(タイソンフーズ、クラフトフーズ、ゼネラルミルズ、ディーンフーズ)をも支配関係で結んでいる。小規模生産者や街の小売業者をなぎ倒し、シャッター通りに化した地域社会は多様性を失い文化や人の結合も失われた。行き着く先は消費者の選択肢も奪われている。全米の食品販売の4割以上をウォルマート、クローガー、コトスタ、ターゲットの4社が占めている。食の産業における吸収・合併に積極的に動いたのは、大手銀行、投資銀行、ヘッジファンドなどであった。銀行や証券会社は手数料の拡大に夢中になった。2000年に民主党クリントン政権は賞品市場の規制緩和である「商品先物近代化法」に署名し、食料価格も株式と同じようなマネーゲームの対象となった。原油は先物取引によって現物需要の数年分の先物取引が行われているが、食品生産者は農家との先物契約を、合意価格に上乗せした「商品」として投資銀行に売ることができるようになった。こうして食料品が投機バブルの一部に組み込まれた。アメリカで住宅バブルが崩壊したとき、投資家はその損失を補うために次の投資先として食料品を選んだため食料危機が起きたのである。2008年と2010年に食料価格バブルが発生し、国連は食糧危機状態を警告しました。旱魃だという噂はデマで、価格を煽る資本の動きによるものでした。先物取引市場は価格の安定という側面はあるにしろ、現実は投機の対象としてリスクを消費者に押し付け投機資本は逃げきるものなのです。日本の厚生省にあたるアメリカのFDA(食品医薬品局)の上級顧問はモンサント社の副社長テイラーがなっている。これでは規制去れる側の人間が規制する側になったようなもので公正な規制行政は期待できない。日本の原発事故で明らかになったように小泉改革で原子力安全保安院が原発推進元の経産省に組み込まれたことと構造的には同じである。規制緩和の本質は、手続きの簡略化という名目で安全という規制を取り払うことであった。そのリスクは市民が負うことになった。テイラーは1992年GM表示義務を削除し、GM安全評価データの一般公開を免責した。そしてモンサント社製の牛乳生産効率増大のために遺伝子組み換え牛成長ホルモン(γBGH)を承認し、牛乳製品に表示を不要とした。この成長ホルモンは発がん性、病気対策の過剰抗生物質投与とセットとなっているため、EU、日本、ニュージランド、オーストラリアなど27か国では禁止されている。アメリカ全土で人体による安全試験が実施されているようなことになっている。バイオ業界と政府機関の回転ドアー人事(交流人事)はレーガン以来顕著になっており、FDA,EPA,USDAの安全神話が捏造された。1999年の金融規制法(グラススティーガル法)撤廃によって、金融工学によって途轍もなく設けることができるようになった金融資本と企業が、資金力で政府とマスコミを買い取った結果である。向かうところ敵(制約)なしの状況である。

2013年2月FDAの全米薬剤耐性監視システムNARMが食肉検査結果年次報告を発表した。抗生物質薬剤耐性菌が七面鳥の81%、牛肉の55%、豚の69%、鶏肉の39%から発見された。2000年以来人向け抗生物質の販売量は770万ポンドと、この10年間は横ばいであるのに対して、食肉生産用の販売量は2000万ポンドから3000万ポンドと急激に増加している。抗生物質生産量の7割が人間ではなく食肉用家畜に投与されている。アグリビジネスと製薬業界の合併が始まった。EUでは198年以来成長促進目的で家畜に抗生物質を投与することを禁止した。この影響は人間界に対して、鳥インフルエンザ、病原性大腸菌、サルモネラ中毒、狂牛病、口蹄疫病などといった動物を介する新種の病気の流行に一役を買っている。近年恐ろしい猛威を振るう疫病は実は人間が生み出した生態系への干渉にある。抗菌、滅菌などという日本特有の潔癖症も見直さなければならない。絶対無菌状態はあり得ないことだし、子供の免疫教育という意味でも、積極的に感染して免疫を獲得することの方が大事である。2012年12月FDAは「GMサーモンは天然サーモンの養殖に彩得る影響は少ない」という環境影響評価結果を出した。これは1995年から認可を求めている、成長ホルモン調節遺伝子操作によって絶えず成長ホルモンを出し続けるサーモンの開発によって、大きさは3倍で養殖期間は半分でよいという高効率漁業をもくろむものである。問題は養殖場から逃げて自然界で繁殖した場合の生態系評価である。天然種の絶滅につながる恐れもある。開発したアクアバンティ社は生殖能力はないかもしくは非常に低いというが、生殖能力が回復する場合(先祖返り)もよくある話で安心できるものではない。GMサーモンが網から逃げることは絶無ではないはずだ。FDAは2010年にGMサーモンの安全性承認を出している。血液製剤製造のためのGMヤギ、糞尿対策GM豚も現在認証待ちであるという。2013年3月オバマ大統領は「モンサント保護法」に署名した。これは「遺伝子組み換え作物で消費者の健康や環境に被害が出ても、因果関係が証明されない限り、司法は種子の販売や栽培停止などの処置はとらない」というものである。これは日本でいえば事業者から原発事故の限度以上の賠償免除項目と同じで、企業側は絶対的な安心を手にした。因果関係の証明には数年から10数年かかるものである。だからEU は[「予防原則」を樹立した。「因果関係が明確でなくとも、行政は使用停止など被害防止の手を打つことができる」という。EUと米国では被害の行政対応が180度異なる。2012年1月のオバマ大統領が署名した「食品安全近代化法」は、今後アメリカ国民が食べ物を栽培し、売買し、輸送する権利を、政府がすべて規制するという法律である。これは適用によってはクリントン大統領時代のHACCPの大手食肉業者の寡占化を進めたことを思い起こさせます。小規模家族経営農家は対象から除外されますが、それでも大量の申請書類を作成しなければならず、個人経営農業を廃業に追い込む法律である。

3) 遺伝子操作種子のビジネスモデル

2003年に始まったイラク戦争はアメリカの侵攻理由はそっちのけにして、イラク全土を空爆と劣化ウラン弾で破壊し、2011年12月オバマ大統領は戦争終結宣言を出した。主権を握ったのはイラク国民ではなく、イラク全土を支配した多国籍企業であった。多国籍企業の自由主義経済ビジネスモデルの独壇場に変わった。農業への企業参入拡大政策が産業界から要請され、1996年クリントン大統領は「新農業法」を成立させ、減反政策や所得補償政策を全廃し、生産量は生産者が決めることにした。日本のような手厚い農家保護政策を捨てて、株式会社方式を採用し大規模アグリビジネスの自由競争としたのだ。廃墟と化したイラクに持ち込まれたのが、2004年連合軍の100の命令という多国籍企業の自由化農業であった。命令81号の「知的財産権」、植物品種法で保護されたアメリカ製GM種子と近代化農耕機械による単一作物農場に塗り替えられた。アメリカモンサント社のGM種子を使用する農家は、次のようなライセンス契約を結ばされる。
@自分の農家で取れた種子を翌年使用することは禁止。A毎年種子はモンサント社から購入。B農薬はモンサント社から購入。C毎年ライセンス料をモンサント社に払う。Dトラブルがあった時は外部に漏えいしない。E契約後3年はモンサント社の職員による農場立ち入りを許可する。という内容である。
米国国際開発腸からの途上国支援物質で無償で贈られてきた種子と農薬はモンサント社のものでした。イラク農民は知らない間に援助物質と称してGM種子と農薬をセットで使わされたのだ。お試し期間無料商品のような仕組みである。気が付いた時にはモンサント社のビジネスモデルにからめとられて、逃げ出すこともできなかったという。同じようなビジネスモデルはインドの大手種子会社マヒコ社を買収したモンサント社は、殺虫毒素を遺伝子導入したBt綿(GM綿)と殺虫剤をセットにしたビジネスモデルを展開した。殺虫剤散布量が激減して綿の収穫量が50%増加するという宣伝文句でスタートした農家は3年目頃から収穫量が減少してきた。殺虫剤に耐性を持つ昆虫が出たからである。すると殺虫剤をもっと散布する必要が出て経費が収入を圧迫した。2005年インドとアメリカは「米印農業知識イニシャティブ」に調印して、アメリカはインドをアグリビジネスの輸出用生産拠点にするつもりである。アルゼンチンは世界の穀物庫といわれる世界第2位のGM作物輸出国となった。アルゼンチンへのGM種子輸出に一役買ったのはIMFであった。アメリカは家畜用飼料としてのGM大豆の生産拠点を求めており、債務超過に苦しむアルゼンチンにIMF緊急融資と引き換えに、国内民営化と規制緩和が求められ農地が競売にかけられた。こうして大豆畑は急速に増加し、グリホサート除草剤とセットにしたGM大豆は、大豆以外の作物を全滅させた。2000年1月ハイチで大震災が起きた。アメリカは緊急支援物資提供〈4年間で140億円)を約束し、モンサント社はトウモロコシGM種子475トンと肥料、除草剤の3点セットで提供した。こうした援助はイラクと同様に「トロイの木馬」作戦である。一度使うとそこで農民の選択肢がなくなるからである。こうしたビジネスモデルはモンサント社の独占かといえば、穀物総合商社カーギル社も同じビジネスをやっている。また種子の最終兵器といわれるF1種子というものが開発された。F1は種子を再生産しないので、毎年種子を買わざるを得ないという優れものである。アメリカは国家間の自由貿易条約である、NAFTA, FTA, TPPに知的財産所有権協定TRIPSを絡めている。2012年3月に締結された米韓FTAでは、韓国はGM食品は無条件で受け入れる、国民健康保険の使用できない株式会社方式の病院参入を認める、アメリカ産牛肉の輸入条件を緩和するという3条件を飲まされた。韓国はGM作物に関する規制を事実上放棄したのも同然である。これはIMFが韓国を管理下において構造改革を強いた結果である。

4) 解体される行政公共サービス

前の3章では主として食産業の寡占化と規制緩和のアグリビジネスモデルを見てきた。「小さな政府」という新自由主義政策の経費削減のための行政機能は大幅にダウンし、公共サービスやセーフティネットがズタズタにされてきた結果を本章で見ることにしよう。本書では自動車産業のビッグスリーが集まっていたデトロイトの都市機能の荒廃をルポしている。人口は全盛期の40%以下に減少し、警察、消防署、学校などサービスが停止された。全米一危険な街となっている。日本でも同じことだが自治体の90%は5年以内に破綻するといわれている。そして公務員と公教育がターゲットとなっているという。教育ビジネスは公教育の衰退を尻目にこの10年間にもっとも花開いた新市場の一つである。教育に市場原理を持ちこんだのはブッシュジュニアーの「落ちこぼれゼロ法」である。生徒の成績によって予算が決まるシステムによって、スラムや貧困地区の学校は次々と廃校に追い込まれた。そして1%のエリート子弟が通う高い授業料のチャータースクール(営利学校)が全盛を迎えた。デトロイトでは2001年から10年間で公教育の生徒数は半減した。アメリカ全土では教員を含む公共労働者は約70万人が職を失った。教育の市場化は公教育を非効率として破壊し、教育格差を生み出した。つまりさらに落ちこぼれを増やし切り捨てる結果となった。今のアメリカは本書の題名となっている「貧困人口が最大で、同時に企業の収益が最高」になっています。ビッグスリーの救済に多額の金を注入する代わり、労働者の賃金半減、労働時間の無制限、シフト強化など労働側に過酷な改革が引き換えであった。首切りされた労働者を待っていたのは組合のない低賃金サービス業ばかりであった。財政困難な自治体に対する「非常事態管理法」は、首長が任命した危機管理人に独裁的な全権を与えるショックドクトリンによって自治体改革を行うものである。短期的なバランスシートの改善のため、過激な財政緊縮を行うのである。解雇、動物園、図書館など公的施設の廃止、消防署・警察などの機能の民営化など行ったのである。現在全米の中南部の24の州で「労働権法」を制定した。労働権法とは労働組合への加入と組合費に支払い義務を廃止する法である。かってアメリカでは組合員でないものは採用できないとされ、これが高賃金の原因とされた。この規制を撤廃したのである。1対1で労働者個人が企業と交渉できるわけでなく、労働協定において労働者を無防備な状態に陥れ低賃金化が可能となる。自治体の財政危機を煽り、立て直しをスローガンにして公共部門が一気に売りに出されるのである。こういう論理で行くならば、アメリカの天文学的な双子の赤字解消を理由に、アメリカの解体を叫ぶ時代が来るかもしれない。こうしてついに入りケーン被災地においてショックドクトリンが断行された。2005年12月人口10万人、全米初の「完全民営型自治体サンディ・スプリング」が誕生した。富裕層向けの巨大な民営住宅居住区みたいなものである。いわゆる壁で囲まれたセキュリティ完備の街である。巨大なマンション自治体といえるが、内的には完結しても外部とどうつながるのか不明である。富裕層だけが勝手に独立し、税金を国や州や郡に納めないとなるとフリータックス天国となり公的組織は機能しない。労働側と公的事業を破壊してその上に新しいビジネスを築くことを「破壊ビジネス」という。破壊しなければ効率的な投資環境にならないのだとする。破壊するということは市場外に放り出すことであり、外部経済化することである。そこに新しいフロンティアが生まれるのである。成熟市場が形成されたところでは利潤は下がり続けうまい儲け話はない。破壊と投資は裏表の関係にあり、金融資本主義にはなくてはならないのである。アメリカがIMF や世銀を通じて諸外国に構造改革を迫るのは、多国籍企業の投資環境を整えよという要請である。決しておせっかいではない。交換条件の命令である。

5) 議員、メディアの買収工作

アメリカで銃乱射事件が起きるたびに全米ライフル協会NRAという圧力団体のことが取りざたされる。個人の銃所持と使用を合法化する法として、2005年フロリダ州議会で「正当防衛法」が通過した。この州法と全く同じ法律が32州で導入されている。米国では州政府の独立性があり、連邦政府は外交と軍事だけを扱うといっても過言ではない。州議会が住民の生活に最も強い権限を持ってきた。なぜほとんど同じ法律が州の立法となるのだろうか。そこには横の連絡があるはずである。浮かび上がったのは米国立法交流評議会ALECの存在である。ALECには全米州議会議員の1/3にあたる2000人、85人の下院議員、300人のお企業や基金などの民間代表が参加している。そして政策草案を作っているのは多国籍企業の面々です。ALECの運営資金は企業及び民間基金から出ており、企業側に審議拒否権がある。評議会で審議されるテーマは多岐にわたり、それぞれを関係業界が後押しをする。草案審議結果は議員はそのまま州に持ち帰り自分の法案として州議会に提出するのである。各州でほとんど同じ法律が成立するからくりは、このALECという裏参謀がいるからである。ALECはいつも800本以上のモデル草案を準備しているという。そのうち毎年200本の法案が法律になるという。法改正により利益を受ける業界の意志が貫かれているのである。こうして企業は州議員や州の立法過程を買収した。教育の民営化はALECの重要テーマの一つである。ウイスコンシン州では国から支給される教育補助金を民間のチャータースクールにもつかるようになり、親には学校を選ぶ選択肢がある。日本では私学補助金という制度が昔からある。現在アメリカ国内の囚人数は600万人を超えた。1993年無駄飯を食わせる代わりに囚人を極低賃金で働かせる「テキサス刑務所産業法」が成立した。刑務所産業の規制当局を民間に移すことにも成功した。囚人の時給は17セントで、10万人を超えた市場となった。ウイスコンシン州では囚人確保のため「薬物取締法厳罰化」と「服役延長法案」も併せて制定するほどである。2010年アリゾナ州は「移民排斥法」を制定した。不法移民も刑務所産業の需要な低賃金労働者である。刑務所産業は市場拡大の企業側と経費節減の自治体側の利害が一致した成長産業となった。2010年1月連邦最高裁は政治献金に上限を設けるのは憲法違反として、企業献金の上限が事実上撤廃された。米国籍でない外国籍企業もPACという民間政治活動委員会を通すことで、匿名で献金ができるようになった。2010年アメリカ石油協会APIは温室化ガス規制のアメリカエネルギー法案を葬った。APIの経費はアラビアの石油会社アラコムがになっている。その結果オバマ大統領の公約であったグリーンニューディール環境規制法案の数々は潰された。こうしてアメリカの政策も多国籍企業が支配することになった。2010年の中間選挙で共和党への支持献金と民主党への政治献金の額はピッタリ同じで、誰かがきれいに配分したと思われる。選挙資金の面では共和党と民主党の対立軸は存在しない。「選挙とは国の支配権をかけた、効率の良い投資である」といわれている。選挙は有力企業とそのコンサルタント、広告代理店、世論調査会社が演出する巨大な劇場となった。選挙で大いに潤うのがテレビ局であり、148万本のCM広告費が特需として入るのである。2008年選挙広告費は約500おくえんだったのが、2012年には約4200億円に跳ね上がった。選挙CM広告費といってもその9割は他候補の悪口を言うネガティヴCMである。こうしてアメリカは統治政治(政治家による)から金権政治(スポンサー企業による)に変質した。

2008年のオバマ大統領への献金元のトップは大手金融機関である。リーマンショックで公的資金援助を受けた側からオバマ大統領へのキックバックと思われる。オバマ大統領は公約で言っていることは何一つ実現しないわりに、企業からに集金力が抜群で、2期目の再選を果たすことができた。公的健康保険の代わりにオバマケアーを導入し、民間保険への加入を義務付けた。人事においても「ロビイストの入閣禁止」公約は反故にされ、政府関係者の企業へ転身とその逆人事もにぎやかに行われていた。2012年の大統領選挙では保守派による「ティーパーティ」をメディアが演出した。メディアは国民の意識を保守とリベラルという色分けで粉飾し、その裏で今のアメリカの民主主義は1%勢力によってすべてが買われているのだ。2013年3月オバマ大統領は「強制歳費削減法案」を発動した。社会保障と国防費を中心に約8兆5000億円の歳費削減を図るというものである。共和党ロムニーが過激な保守でオバマがリベラルという構図は選挙用の演出に過ぎない。1%のためにオバマ大統領がやった政策を隠し、オバマの陰でさらに利益を上げるのが多国籍企業の戦略です。企業は献金を見ればわかるように共和党と民主党の両方に投資している。その政治選挙ショーで重要なプレイヤーがメディアである。アメリカ国内の全メディアは1983年に23もあったが、2004年にはたった5つの多国籍娯楽系企業に組み込まれた。5大テレビネットワークは大手広告代理店を傘下に入れ、国内世論を操作している。広告代理店の戦略は、視聴者は消費者、ニュースは商品ということである。メディアが責任を持つべきは「権力の監視」という公的利益ではなく、株主利益になりました。政府は「愛国者法」によってネットの中身を検閲する権限を持っている。昔日本の評論家がテレビを「1億総白雉化」といいましたが、まさに報道の9割は政策よりはスキャンダルと広告中心のソフトニュースになった。国民にとって焦眉の問題は隠されたままです。つくられた2大政党制を演出するテレビの「大統領公開討論」は、原発フォーラムと同様にすべては都合のいい制約とやらせ番組です。討論出場者は「全国得票率15%以上」に引き上げられ、第3党の発言を締め出しています。企業の利益のからむ危機的な議題は2大政党からは出てきません。争点は整理され選択されています。こうして共和党と民主党が責任の擦り付け合いに終始していれば、企業の真の利益は国民の目から隠蔽されます。危機的財政赤字の解決のためには、社会保障と公共サービスを犠牲にしていいのだというショックドクトリンを国民の口からいわしめることがメディアの果たすべき役割である。選挙で支配政党を構成するのも、連合の組み方までも、世論はメディアの誘導のままに形成されるのである。考えない人が悪いのか、考えてもどうにもならないのか、1%の奴隷になるつもりなのか日本には「寄らば大樹の陰」という格言がある。団塊世代の我々には少しの貯えと制度の保護があるが、今の若者を見るとすさまじい貧困化とセーフティネットの破壊が起きている。知恵を絞って考えてみよう第3の道を。


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