070216

広瀬隆著 「アメリカの経済支配者」

 集英社新書(1999年12月)

米国財閥家族の経済支配と世界戦略

著者広瀬隆氏の本の書評では以前に広瀬隆著 「アメリカの巨大軍需産業」(2001年4月)を紹介したことがある。これでずば抜けた米国の軍需産業と本書の経済即ち金融資本の両面を見ることが出来た。実はこの両側面は同じ支配者の戦略だったのである。アメリカのサクセスストーリでもあるいくつかの財閥家族の歴史を見ると、金融と産業で成功した家族がしだいに支配を広げ巨大なコンツエルンを形成して財閥家となる。さまざまな手法で膨大な富を蓄えた財閥は金融という手で多くの産業を支配するので、どちらかというと金融資本による支配形態が今日のアメリカ財閥の姿である。少数の財閥家族は最初は直系血閥のつながりのみであったが(財産の伝承は血の系譜で行われる)、いまや有力な資本の結合体といえる閨閥を形成しているのである。また 原田武夫著 「仕掛け、壊し、奪い去るアメリカの論理」(2007年1月)を紹介したことがある。この本もアメリカの支配層を「奥の院」と呼んで、数家の金融資本がアメリカの金融資本・産業・政府・軍部を動かしてゆく世界の富を奪うシステムを描いた驚愕の書である。その意味ではこの二つの書は同じ趣旨で書かれている。原田武夫氏はアメリカの世界戦略を全ての面から描いた。広瀬隆氏は軍需産業と金融資本を別々に実に詳細に描いた。おそらく原田武夫氏は広瀬隆氏のこの2冊の本の内容を熟知した上で書かれたものだろう。本書は主に経済金融資本の活動を描いたものであるが、当然政府・軍部の動きも視野に入れている。

日本に多大な犠牲を強いて、世界経済を動かしているアメリカの真の支配者は政治の表に出る大統領でもなく二大政党でもない。ロックフェラー、ヴェンダービルト、モルガン、アスター、グッケンハイム、など少数の財閥の閨閥である。彼らは欧州の財閥ロスチャイルドとも繋がっており、ウォール街のビジネスはその指示と要請にしたがって動かされる。ヘッジファンドの大物ですら実は財閥に使用されると投棄屋に過ぎない。村上ファンドは更にその下の日本エージェントの使い走りである。現在に日本やアジアは欧米財閥の金融資本主義の猛威に翻弄され、国家全体が傾きかねないほどの影響と略奪を受けてきた。戦争と石油とエレクトロニックスという産業投資によって20世紀は大いに活況を呈したが、世紀末から米国は金融資本主義一辺倒になりヘッジファンドやデリバティブの証券投機に邁進し、世界の国々でハゲタカ金融による破壊ビジネスで大金を稼いだ。このために全ての経済秩序が失われた。確かに金は産業投資で重要なものではあるが、それが一極に集中して大多数を貧困に追い込む原則は避けなければならない。投機が投機を呼ぶ狂った現状は改めなければならない。1990年代は日本は米国によって金融機関が大打撃をうけ、買収により国民の富がアメリカに持ってゆかれた。日本人はアメリカのエージェンシー(経済評論家・官僚・政治家・米系金融機関で働く日本人)から抜け出し、経済を産業(実業)の裏付けによって実りある物に再構築しなければならない。これが本書の結論であるというか著者の気持ちである。

本書は世界の金融システムを動かすアメリカの支配者についての報告である。断っておきますが、私は記憶力が弱ってきたので本書に書かれた財閥のサクセスストーリや複雑怪奇な閨閥図は省略させていただきます。誰と誰とが結婚したとか、何処そこを買収・合併して巨大になったという過去の話は割愛します。とても系統的に覚えられる話ではありません。人間には二種類しかない。財産が増え続ける人間と、何時まで働いても金が増えない人間である。今流に言えば勝ち組・負け組みの分類に近いが、そんな単純な話ではない。1990年代世界は二分化した。アメリカは奪いつくし、日本は経済破綻した。損害を受けたのは日本国民である。誰が奪ったのか。アメリカの金融界が日本の経済をザルにしたのである。

代表的な財閥閨閥としては、ダイナマイト王デゥポン家、鉄道王ヴァンダービルト家、鉄道王ハリマン家、鉄鋼王カーネギー家、石油王ロックフェラー家、穀物王カーギル家、タバコ王デゥーク家、鉱山王グッケンハイム家、石油王メロン家、自動車王フォード家は産業を足場にして出来上がった財閥であり、ベアリング家、ロスチャイルド家、モルガン家は本業が金融業であった。大きな力を持つ金融財閥には七つのメカニズムを備えている。1:閨閥と遺産相続、2:ゴールド金資産、3:アメリカ政府、CIAの経済戦略を支配、4:ヨーロッパ財閥の組織、5:ウォール街の投機筋を動かす、6:タックスへブンに金を隠す、7:金融ジャーナリイズムの支配力である。なお資産価値を現在に換算する場合、今と当時のGDPの比をもとめ、当時の資産にかける手法で行う。

1:閨閥と遺産相続(鉄道王 ヴァンダービルト家)

ヴァンダービルト家は200年前鉄道と蒸気船で一代帝国を築いたアメリカの泥棒貴族のシンボルである。その資産は現在の100兆円の価値があった。その資産は直系の子孫へ受け継がれ富豪を再生産してきた。そこが成金と大富豪の遺産相続の違いである。歴代の遺産相続人は資産を拡大し続ける能力と機会という環境に有利な条件を備えていた。日本では三代で遺産は食い潰すといわれる。これは相続税や所得税のシステムが違うからで、日本は法人でしか生きられない社会である。1913年に個人課税の所得税法が導入されるまでに財閥家の資本蓄積は終了していた。今日ではマイクロソフトのビルゲイツが巨大な資産を有するが、財閥家にはなれそうにない。つまり一代限りの成金である。アメリカや欧州の財閥は預貯金の金利で資産を拡大するのではない。耳よりな情報を手に入れ価値が急上昇する株券や債権に投資して資産を莫大な量に拡大するのである。数百%の拡大率である。アメリカ史上最大富豪(個人資産)ベスト五人は、石油王ジョン・D・ロックフェラー(22兆円)、鉄鋼王アンドリュー・カーネギー(12兆円)、鉄道王コーネリアス・ヴァンダービルト(11兆円)、ホテル王ジョン・アスター(9兆円)、メディア王ビル・ゲイツ(7兆円)であるが、大富豪の資産の50年間の拡大率は4000倍であり、普通の富豪の拡大率は70倍、普通の金持ちの拡大率10倍、庶民は5%、日本の投資家は資産減少で500分の1となる。なおフォードやカーネギー家は遺産相続人に恵まれなかったので財閥を形成するまでには至らなかった。そして遺産相続人は産業界で活躍す人は稀で、主に投資家として配当金を得るのが主流である。だから財閥の遺産相続人の姿が見えないのである。

2:ゴールド金資産(鉱山王 グッケンハイム家)

国際金相場を支配するのはイギリスのロンドンロスチャイルド銀行である。金本位制は廃止されたにもかかわらず、通貨不安があるたびに金塊が静かに移動する。この銀行の地下室では何が動いているのだろうか。世界の金は、鉱山王グッケンハイム財閥が支配するアサルコ社とロスチャイルド財閥が支配するリオ・チント・ジンク社が鉱山利権を独占している。1901年金本位制が確立されたのはグッケンハイム財閥が金鉱山を支配できたからである。コンゴ、アンゴラ、南ア、ナイジェリア、ジンバブ鉱山から掘り出された金塊が金本位制によって莫大な富うを生んだ。(「きん」が「かね」になった)南アの金はオッペンハイマー家が動かしてきた。1994年マンデラ率いるアフリカ民族会議が選挙で勝利すると、白人たちは金を自由に扱えなくなった。そこでオッペンハイマー・グッケンハイムシンジケートは価格競争を挑んだ。現在は金本位制はないので、資本の力は貨幣にある。基軸通貨のドルを大量印刷して財閥は金鉱山を買いあっている。

IMFと世界銀行、G7,国際決済銀行(BIS)、FRB、ヨーロッパ中央銀行が世界の金融政策を決定してきた。金融マフィアはこれらの機関を動かして1990年代後半のアジア通貨崩壊や日本のバブル崩壊を演出したのである。BISは自己資金比率を8%以上にしなければならないとして日本の金融機関を一挙に地獄へ落とし込んだのも記憶に新しい。中国も広東国際投資公司が経営破綻した。日本の銀行も不良債権にあえいだ。そして日銀と日本輸出入銀行がアジアの救済に膨大な融資を余儀なくされた。このため日本の資産が数百兆円消え去ったといわれる。勿論持ち去ったのはアメリカのヘッジファンドと金融財閥系投資銀行である。

3:アメリカ政府、CIAの経済戦略を支配(石油王 ロックフェラー家)

1870年頃ロックフェラーはスタンダード石油を起して談合シンジケートを作って全米の95%の石油を独占した。鉄道王ヴァンダービルトと組んで全米の石油会社を買収したのである。ところが1911年にトラスト解体令により34社に分割された。この逆境にも耐え現在も六社のスタンダード系石油(最大はエクソン社)会社の資産は40兆円となって、財閥というより一つの国家である。ブッシュUもテキサス州の石油業者であるがロックフェラー財閥の代弁人で、ロックフェラーは民主党・共和党にまたがる人脈を持っている。「アメリカには民主党も共和党も無い。大統領戦には数十億円が必要だ。政策で財閥の了解を取り付けてから選挙戦の対立が演出され、国民が総動員されるパーティーのようなもんだ」といわれる。つまり政党は代弁する財閥が違うだけだ。ダレス長官もロックフェラー財団の理事長で、キッシンジャーはチェース銀行顧問で、ベーカー財務長官も関係が深い。ロックフェラー家は石油業者ではあるが、もうひとつ重要な機能はナショナルシティ−銀行とチェース・マンハッタン銀行を主とする金融事業である。1812年創立のシティー銀行はいまや世界の三大財閥であるロスチャイルド、ロックフェラー、モルガンが合併した金融機関である。

ロックフェラー家のライバルでもあるメロン家も石油財閥である。ガルフ石油を創業しアルコアというアルミメーカーを有して、現在のレーガンからブッシュ、クリントンまでのアメリカ政治を動かした力はメロン家である。メロン銀行は株券や債権売買投資信託金額が約400兆円まで膨張した。なかでも先物取引などギャンブル性が高い金融派生商品(デリバティブ)資金になった。ウォール街のヘッジファンドやデリバティブがメロン家によって発展した。いまやウォール街は収拾の着かないギャンブル相場に狂っているのもメロン家のなすところである。メロン家は鉄道王ヴァンダービルト家、ホテル王アスター家、小売チェーンのウールワース家、ゼネラルフーズ創業家らと複雑な姻戚関係を結んでいる。

ロックフェラー家は軍事シンクタンク「スワット」を通じて同じシンクタンク「ランド」とCIA軍事コネクションを作った。多数のCIA長官、軍人がロックフェラーの影響下にいる。軍事シンクタンクは世界中の紛争や戦争にからんでいる諜報機関CIAに影響を持ちCIAロックフェラー委員会を作った。このランドーCIA人脈が90年代新しい経済コネクションを形成した。シンクタンク「カーライルグループ」といい、アメリカの政治・軍事分野に幅広い雨人脈を持つ投資会社としてスタートした。軍事シンクタンクと軍需産業は協力して世界各国でリスクを作り出し、一挙に株の上げ下げを演出し、さらに紛争では大量の兵器を敵味方に売り込むのである。ミサイル防衛などアメリカの軍事戦略計画の作成にもあたる。この軍事コネクションは誰が主役とも言いがたいが、ロックフェラー家、メロン家、ロスチャイルド家の資金で活動していることは明白である。CIAは軍事のみならず経済活動も行う。世界の企業の情報収集に努め日本破壊作戦にも関与している。CIAは「2000年の日本」というレポートを発行し、日本壊滅戦略を言っている。CIAは他の省から独立した機関で予算を自由に動かせ、時の政権とは関係なく財閥の資産相続人の意向に従い、世界中の企業秘密を探り、リスクを用意するのである。

4:ヨーロッパ財閥の組織(ユダヤ人の金融王 ロスチャイルド家)

アメリカの財閥の遺産相続人は表の舞台から見えないところで巨大な資産を運用する仕組み作りと投資活動に携わっているのに対して、直系相続人が第一線のトップビジネスマンとして活動する大財閥がロスチャイルド家である。全世界の金融、石油、情報機関、原子力、軍事、政治、食品、メデイアを支配する桁違いに大きな一家である。大きくはイギリス家当主、フランス家当主に分かれる。今から250年前ドイツフランクフルトで金融業を始めた初代マイヤー・アムセル・ロスチャイルドとその5人の息子、なかでもイギリスに渡った三男のネイサンの功績が大きい。リスクのプラスマイナスの両面に投資してトータルで黒とする商法で今日を築いた。ヨーロッパ各国の戦争のための公債やイギリスのスエズ運河債購入資金などを融資して巨額の利益を蓄積した。1820年代にはヨーロッパ貴族や各国の大蔵大臣はロスチャイルドに公債を買ってもらい、ロスチャイルドは2倍の儲けを得たといわれる。金相場価格をロスチャイルドが決めるようになったのもこの頃である。

国際的なビジネス界を200年近くも当主が直接掌握したロスチャイルドグループは、1998年における欧州の企業合併買収(M&A)の仲介実績で世界5位である。ロスチャイルド家と何重にも姻戚関係を結んでいるユダヤ系投資銀行はゴールデマンサックス、ソロモン、ウォーバーグ、ディロン・リード、ラザールさらにモルガン家、グレンフェル家などである。したがってロスチャイルドグループで括ればM&Aでは群を抜く世界一位である。1995年ロンドンのロスチャイルド財閥であるニューコートがメリル・リンチが買収した。表面上は二大財閥の連合が成立し強大無比の証券会社が誕生した。山一證券はメリルリンチに買収された。アメリカの財閥の歴史はヴァンダービルト家はオランダ系、ヂュポンはフランス系、ロックフェラー家はドイツ系だが、アメリカの産業界はモルガン家、カーネギー家、フォード家、アスター家、ベアリング家など大英帝国の子孫が多い。ということで英国はアメリカの政策にいつも運命を共にする別格国家扱いをされる。日本のようなアメリカの従属国家とは位が違うのである。

5:ウォール街の投機筋を動かす(金融財閥 モルガン家)

証券取引所での取引には、長期的に運用し資産を拡大する「投資」と、短期で株価の上下を利用した利ざや稼ぎの「投機」がある。ヘッジファンドLTCMや有名なジェイ・グールドは投機屋である。これに対して堅実な事業に投資して金融財閥を形成し、アメリカの全産業と国家を支配した投資家がJ・Pモルガンであった。モルガンとロスチャイルドとベアリングは本質的に国際金融業者である。政府の発行する国債を売っては国家的事業の鉄道や軍需産業を動かしたのである。USスチール、ゼネラルモータース(GM)、ゼネラルエレクトリック(GE)、AT&Tなど巨大企業を支配した。90年代のGEはウェルチによって産業の体質からモルガンの金融機関に豹変した。日本のバブル崩壊時に日本の金融機関を次々買収したのがGEファイナンスである。またモルガン財閥の女系には多数のペンタゴン官僚を輩出した。モルガン商会はイギリス,アメリカ、フランスにあり、証券投資を独占して金融トラストを形成した。19世紀末アメリカの経済危機においてはベルモント、ロスチャイルド、モルガンが大統領を助け危機を救ったことでホワイトハウスまで指導することになった。「モルガン商会は銀行ではない。アメリカ国家であり法律であり制度である」とまでいわれた。

国際財閥はウォール街の投機屋まで支配して指示を出す。しかし投機屋ソロス財団とそのヘッジファンドLTCMは世界市場を次々と食いつぶして投資先を失ったために破局を迎えたのである。本来ヘッジファンドとは損失を防止する楯(ヘッジ)となる保険的な売買を約束する投資信託運用会社であった。絶対に損は出ないシステムだったのであるが、1998年ロシアの金融崩壊で破綻したが直ぐに救済された。株式市場は優れた企業を育て社会が潤うシステムでなければならないが、いまや市場は巨額の金を争う利ざや稼ぎの狂乱の場となりはて、弱者を巻き込んで人工的な貧困と失業を世界中にばら撒いている。

6:タックスへブンに金を隠す

99年のユーロ誕生で通貨統一前に欧州の富豪の資金が大量に移動した。タックスへブンという無税の天国へ向かって。富豪が資産を隠す方法として、信用基金(トラスト)を設立する、金塊をスイスに送る、タックスへブンにペーパカンパニーを作って資産を書類上移動することであろう。アメリカの投機的ヘッジファンドの多くはケイマン島とバハマに登記されている。モルガン財閥らの巨頭はマイアミマフィアの手引きでタックスへブンに資産を移動した。世界のタックスへブンとして有名な地域は、カリブ海と中米海域ではケイマン島、バハマ諸島、バミューダ諸島、フェゴ島、ジャマイカ、ドミニカ、ハイチである。欧州ではスイス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、モナコ、シチリア島、チャンネル諸島である。中東・アフリカ地域ではイスラエル、レバノン、バーレーン、ジプラルタル、マディラ、ケニア、南アである。アジアでは香港、シンガポールである。そしてロシア、東欧もタックスへブンになった。庶民が源泉徴収で丸裸でかつ消費税など重税で蓄えも乏しい中、大富豪は白昼堂々と大資産を隠すことが出来るのである。

アメリカの上位365社の経営トップの平均年収は13億円である。アメリカ人の平均所得が355万円であることを見れば異常な富の集中である。ざっと400倍になる。日本では平均所得は365万円で大企業の社長の年収は(私のいた会社しか知らないが)3ー4000万円である。ざっと10倍である。日本では全体的な資産の配分はアメリカよりは良好である。小泉前首相は「格差のどこが悪い」と居直っていたが、富の再分配に格差をつけようとする動きはあるので注意しなければならない。日本経済が悪いとか言う論調は「国民生活よりも企業と金融機関を中心に解析する」国際金融機関の誤報である。日本人は賢明にも兜町より「たんす貯金」を信用してきた。リスクより安全を重視した戦法である。したがって殆どの国民が株式投資に参加しない日本経済は日経平均株価で評価する性格を持っていない。また企業の資金調達も完全には株に頼ってはいないので、銀行集団を背景にしていれば株価は関係なくなる。日本経済の欠点は物価が高いということと、不良債権と600億兆円の国債が不安材料である。無能な官僚と腐敗した政治家が生み出したリスクである。日本の金融当局や会計監査院が拓銀、長銀、日債銀、石油公団、住宅公団などの不良債権・不正を見逃し、地検が不正を追求しなかったことが金融メカニズムへの不信となった。こうした官僚の罪は大きい。

7:金融ジャーナリイズムの支配力(ホテル王 アスター家)

 ホイットニー家とアスター家の「タイタニック財団」のジャーナリズム支配は有名である。ヴァンダービルト家と結婚したホイットニー家がニューヨーク・ヘラルド・トリビューンを創刊し、ニューヨークタイムズとワシントンポストを合併したインターナショナル・ヘラルド・トリビューンを作って全米のメデイアを支配した。
かってモルガン財閥とロックフェラー財閥が支配したNBC,ABC,CBSという三大放送局を中心に現在のメディア支配者を整理する。
1)モルガン財閥ーNBCーインテル、マイクロソフト
2)モルガン財閥とヘンリー・ルースーCNN&MGM−タイム・ワーナー
3)モルガン財閥とマードック帝国ーフォックスーAT&T、IBM
4)ロックフェラー財閥ーABCーディズニー
5)ロックフェラー財閥ーCBS−ウエスチングハウス、ヴァイアコム
6)ロックフェラー財閥とモルガン財閥ーダイレクトTVとGMヒューズ・エレクトロニックス

上のメディアグループの資本系列は複雑な経路を経るのであるが、歴史的経過の詳細は一切省いて直接的な関係のみを記した。資本系列でトップ人事を抑え、かつCMのスポンサーとなる財閥系企業の意向が放送局・テレビ局を支配するのである。新聞・テレビ・放送メデイアの一切を財閥が支配する。財閥そして政府・軍部に都合の悪いニュースは流れない。あるリスク紛争を計画するときは一斉に同じデマを流す。破壊しつくせば後は知らん振りである。


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