随筆  041021

ススキとセイタカアワダチソウの共生ー鬼怒川堤にてー

セイタカアワダチソウの繁殖力が弱まった理由
 

昨夜は四国に上陸した台風が日本を縦断し千葉から太平洋へ抜けた。すでに台風は中部日本で勢いを失っていたので関東地方は風はたいしたことは無かったが、豪雨が降り続いた。一夜明けて雨も収まったので昼ごろ私はいつものように鬼怒川堤防周辺のサイクリングに出かけた。写真1)を見てください。これは茨城県結城市栄橋から下流をみた写真です。かってない鬼怒川の増水で堤防までは余裕があるが、河川敷はかなり水没していた。

鬼怒川河川敷でのススキとセイタカアワダチソウ
写真1) 10月21日台風一過
 鬼怒川の増水
写真2) ススキとセイタカアワダチソウの群生
写真3) ススキが優勢なエリア 写真4) セイタカアワダチソウが優勢なエリア

台風の話は切り出しに過ぎず、本論はかねてから気付いていた鬼怒川河川敷でのススキとセイタカアワダチソウの共生についてです。写真2)を見れば一目瞭然ですが、ススキの棲息エリアとセイタカアワダチソウの棲息エリアが隣り合って仲良く群生しているところです。そして昔は人の背丈以上のセイタカアワダチソウが勢いよく生えていたのですが、この写真ではあまり背丈は高くないことが分かります。写真3)はススキの群生が優勢なエリア、写真4)はセイタカアワダチソウの群生が優勢なエリアを示す。私は植物生態学者ではありませんので、群生面積とか背丈とか測ったわけではなく大雑把な話です。ただなんとなくセイタカアワダチソウがかっての勢いを無くして来ているのではないかと想定されます。その原因について私は次の2つの仮定を立ててみた。

  1. セイタカアワダチソウが日本化してきた。日本上陸以来すでに50年以上を経過し、繁殖力の源の遺伝子が脱落したという仮説だ。これはもっともらしくかっこよく聞こえる仮説だが、日本化の遺伝子とは何か。何も分かっていないので空想に近い仮説だ。またかなり政治的社会的偏見に基づく仮説でもある。
  2. セイタカアワダチソウが好んで繁殖するに足る河川敷の土壌栄養分がなくなり貧栄養化した。土着のススキはもともと貧栄養土壌でも生きられる品種なので、セイタカアワダチソウが衰えたエリアにススキが侵食したという仮説である。

2番目の仮説が有力と思う。なぜなら、これまたいい加減な観察ですが、人家に近いところや田畑に近いところには依然としてセイタカアワダチソウが人の背丈を越える勇姿で繁殖しているからだ。そこは栄養が多いからだと見た。さてどちらが正しいでしょうか。ススキに勝って欲しいと思うのは国粋主義ですか、そそとした白い穂に秋の哀れを感じる東洋趣味ですか。


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