随筆  060423

母の介護日記(5)

老老介護の問題点ー65歳以上の精神負担重くー(朝日新聞の記事を読んで)
 

去る2006年4月20日の朝日新聞に次のようなショッキングな記事があった。私自身の問題でもあり、実に切実な思いで読んだ。記事を要約して紹介する。
大見出し「介護疲れ 死にたい3割」、小見出し「厚労省調査 65歳以上の精神負担重く
[高齢者らの在宅看護を担う65歳以上の介護者の約3割が「死んでしまいたい」と感じたことがあることが、厚生労働省の研究班が実施した全国8500人の介護者アンケートでわかった。高齢者による介護の精神負担を示すもので、社会的な支援のあり方が問い直されそうだ。調査は東海大学の保坂隆教授(精神医学)を主任研究者とする研究班が実施。分析結果では、「死んでしまいたいと感じたことがあるか」という問いに、65歳以上の介護者の29〜32%が「ある」、「少しある」と答え、64歳以下では17〜22%であった。介護者の半数以上は一人で介護しており「老老介護」の厳しい現実が浮き彫りとなった。またSDSという鬱状態の自己診断表からは平均23%(65歳から75歳の介護者は27%、75〜84歳と35〜45歳の介護者は26%)であった。心身の不調から治療を受けている介護者は65歳以上では8割から9割、64歳以下では3割から5割であった。教授は「ケアマネージャなどに地域の精神医療に関する基本的教育を実施し、また介護を一人で抱え込まないで周りが支える仕組みが必要だ」と話している]

「老老介護」の問題は長寿化と裏腹の関係で深刻化している。母親が90歳以上であれば子供の年は60〜70歳になる。精神的負担が実に深刻な情況である。口の世話から下の世話は実に重い負担だ。介護者が親孝行したくても負担に押しつぶされているのが現状である。老人介護施設に入ってもらうのが当面は一番の解決策であろうか(国庫負担は大きくなろうが)。周りの人が簡単に「姥捨て山に入れた」などと批難しないで欲しい。
「老老介護」は親と子供の命の削りあいになっている。自分の家で死にたいという親の要求をどこまで満足させられるか。子供の健康な生活と家庭を放棄させてまでお世話を要求する構図も決して笑い話ではない。結局介護施説に入れるかどうかは、親の意識状態(認知度の進行状態)と介護者の負担限界でケースバイケースで決定されているようだ。


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