白 それは穢れなき色
群青 それは高潔な気持ち
紅 それは深い情念
すべてを隠す 白
深い海溝を覗き込むような 群青
女の色香 紅
白から群青へのグラデーション それは知性の世界
それに紅を染めて それは人の生き方
色は美 形は意味
色が主張しだすと 形は退く
形を抜け出して 色が乱舞する万華鏡の世界
形に添える色は 説明
生命の躍動 生きる楽しみ
人生の たそがれ時に 恋はするもの
枯れ果てた 白いススキは よく燃えるもの
かなしくも 凍てつく風に あおられて
何度でも 心浮き立つ 人は不思議な
だけど恋 セカンドラブも うまく行きそう
何時までも サードラブまで 夢見るわたし
人はなぜ 孤独と共に 老いるのか
前をみて 後ろをみても 一人きり
矢のように 時は移ろい 流されて
力なく なえる気持ちに 引きずられ
死ぬまでの 時間つぶしか はてしなく
氷雨降る 一月の午後 あなたは来ない 心憂し
羽濡れた 雀はふるえ 利休ねずみの 空の色
何も無い 洗濯干し場 ぽたりと落ちる しずく音
いかんとて この空しさは はよ過ぎ去さりて ゆかまほし
木枯らし吹いて 野良猫通る 破れ垣
赤く干からび 枯れ木にさがる 烏瓜
朽ちた板塀 落ちる陽だまり 犬が寝る
水色浅く 水面を走る 濡れ落ち葉
土手の上には 烏の群れが たむろする
梨の枝には きれいに並ぶ 群雀
正月すぎ 冷え込みきびし 村景色
村の社の 参拝とだえ ひっそりと
田の土くろく あくまで蒼し 空の色
あぜ道抜けて 散歩楽しむ 夫婦連れ
孫をあやして 乳母車おす おばあさん
声も聞こえず 出るにもの憂し 家の中
今日一日 強い雨 降り止まず
出るに出られず 本を読み 外を見る
濡れた窓から 林の木 淋しそう
遠くかすんで 黒い枝 ミルク色
鳥さえ鳴かず 猫も来ず 音もなし
窓を開ければ 雨の音 ただはげし
心を休め クラシック しみいるや
疲れたあたま 今は癒え ほぐされる
動くものとは ただ頭脳 とめられぬ
体に酸素 頭には 好奇心
葉の落ちた木蓮の枝が 乳白色の空へ
頬の赤い大きな鳥が 寒そうに枝につかまっている
幹の下で野良猫が せっせと爪を研いでいる
枯葉ががさがさと音を立てて 風が吹く
朝から降っていた雨は止んだ 空は濃いミルク色
今日は冬至 陽の廻る日
日は一日と 長くなってゆくはず
いくらか西の空が 明るくなったよう
あなたの声は聞こえないけれど 心は動く
少しずつ 聞こえる様な気がする
もっと寒くなるだろうな しばらくは
逃げださないでじっと 暖かくなるまで
小雨そぼ降る 寒そうな12月の午後
乳白色の空が 泣いている
やるせない気持ちを まぎらせようとして
大橋純子のCDを BGMにして
しかし違うな 自分の気分とは
こんな元気な恋心 落ちつかないな
窓の下を見れば 猫の子一匹見かけない
鳥も鳴かない 昼下がり
こんなときは モーツアルトのほうが良かったかな
心がどんどん沈んでゆく 鉛いろの海へ
そうだ恋をしよう 京都へ行こう
こころときめく 色彩に満ちた青春
それは夢 今は人生の黄昏
ああ仮そめの 恋がしたい
人生まさに 恥多き
屍さらし 生きるのみ
世に逆らいて 疎まれて
わが身ばかりが とおとしと
思い上がりて 怠りし
永き日々のみ 悔やまれん
小さきおりは 神童も
我より優る 人多き
一つにかける 勇気なく
多才多能を 濫費して
とりとめもない 人生に
うつつをぬかし 何もなし
ただ人並みに 生きるこそ
人の幸せ 尽きるなし
文才理才 あわせ持つ
世を見る眼だけ 養いて
他山の石と ならんこと
わが人生の 証たれ
寒い冬空 葉の落ちた 木の枝に
黒い鴉が 下を見て 凍えてる
緑なくした 庭の土 黒々と
肌をさらして 野良猫が とおり去る
泣きそうな 雨はいつ 降るのやら
夕闇せまり 薄ねずみ 暗くなる
空寒く いま泣きそうな 昼下り
夢うつつ 境も消えて 心さえ
もの憂いに 静かに動く 恋心
かったるい セカンドラブの メロディも
恋さえも コンクリートの 籠の中
ねむらない 都会の明かり 追い続け
疲れた日 ねじれたハート そのままに
つらくなる 頭の中で うずいてる
今は過去 遠い思い出 消えそうな
この気持ち 未だ上げそめし 前髪に
悲しきものか 人のよは
留まるすべは 無きものか
詮なきことに 心よせ
唇さむし 言の葉よ
風にむかいて 吼えてみて
赤き日をみて 誓いても
心にあいた 洞穴に
埋めるすべなく 風ぬける
永き秋の夜 虫のこえ
心にしみる 悲しみを
癒すことなく 月さえて
ただいたずらに 澄みわたる
夜のとばりは 更けゆきて
灯りはきえて 寒々と
心凍てつく 窓のそば
自分ばかりが 残される
ああ漆黒の 胸のうち
人は死ぬのに なぜ生きるのか
人は生きているのに なぜ死ぬのか
どうしょうもなく むずかしい自己撞着
こんな馬鹿なこと 考える人の愚かさ哀れさ
絶望のふちより希望へ 生還できるほど人はタフでない
死にいたる病 崩れおちる人間の存在感
輪廻の無間地獄 からめとられる思考の罠
絶対者を仮想できる人は ありえないほど幸福だ
ここまで生を生きて 目的なぞあったためしはなく
いつもその場その場の 辻褄をつなぎあわせ
あすの存在の確証もなく 意識という脳活動にこきつかわれ
世界と歴史のなかで 自分の人生に意義という文脈をつけられない
この存在のあやうさ この人生のながいこと
あげくの果てに介護のお世話になる このこっけいさ
存在を抹殺するほど 意思はつよくはない
頭脳の存在を忘れることでのみ 身体は生きてゆける
なにがただしいか なにがまちがいか
じぶんたちのこと それがいちばんだ
よりよいせいかつ それがせいぎなの
おろかなひとから うばいつくすこと
そのためかんがえ こうどうするひと
かがくとけいざい はってんのかなめ
かわせレートから やすいものをえて
せいひんをつくり せかいにうりまく
グローバルなもの せかいにはばたく
きょがくのりえき とうしにまわし
おとったものには かいめつのだげき
けいざいりょくと ぐんじりょくをえ
ふんそうをおこし しはいをのばして
しげんとけんえきを じぶんのものにし
かくさをかくだい あんぜんちたいに
のぼりつめるのが あんぜんほしょう
我が若き日を燃えし希望は
今はすでに空に見え隠れするのみ
偏狭な自我 怠惰 浅はかな考え
亡びたる過去の全てに 後悔が走る 冷や汗がにじむ
おわってしまったものに
手繰り寄せる糸口も無く つくろうすべもなし
人皆我より偉くなりて
おこたりし昔の日々が真っ白にみえ
誇りうるなにものもなく
営々と築き上げたる建築物のたしかさに憧れ
砂に戯れる幼子のように
何一つしっかりつかめるものはなし
これも人生 あほな人生 恥多き人生 これしかなかった人生
ただ神の微笑まなかったことをうらむのみ
力なく夕陽が地面を朱色に染めるころ
稲穂は眠そうに頭を下げる
蕎の花が雪のような肌を誇るとき
月は東の空に薄っぺらな顔を出す
私は希望なんぞあるはずはないと胸にい聞かせて
ただ夜の暗黒を愛する
私は生きている生きていると思っては
どうでもいいのだと深いため息をつく
女の細い髪の毛が巻き上げるように飛翔するとき
曼珠沙華は風と交差する
薄ぐらい夕闇に小さな紅の花が見えているが
やがてしじまに消えてあとかたもなし
さとわのほかげも もりのいえも
くれゆくしじまに からすもきえ
そらにはこうこう まんげつさえ
くもさえながれて とどむるなし
かわもにうつりて ひかりすずし
こうろぎのこえは いとかなしも
こころさわぐるは かぜのおとか
みちてはかけるも よのならいか
うつくしきそらも きょうかぎり
かえりなんいざ こころやさしき ふるさとへ
ちちははすでに われをのこして いませぬに
あれなんとする なつかしきにわ しろきはな
たがやさんいざ くろきはたけを ほりおこし
いもなすなえを おさなきいのち いちれつに
つちをもりあげ やさしくおして みずをやり
まどをあけいざ ふるきいおりに かぜをいれ
えだうちはらい ふみよむひかり うちにいれ
むしろのかおり まどちかくねて あおあおと
かえいなんいざ つとめはたして やすやすと
せいこううどく さまたげられず ひとりがお
よくぼうたちて けがすものかと ばんせいを
未だあげそめし 前髪の 乙女のごとく
清らかなるは 冷泉の はじける玉
いずこへ行くか ようとして 記憶のかなた
今日の夢に 現れぬ 触れで去る君
恋狂いしは いくつから 今もやまじと
罪おおき君 打ち寄せる このむなしきは
白きひかりよ 胸の内 な入りたまいそ
夢の中にぞ 狂わしき 生は終わりぬ
長く影を落とす赤い日も西に沈み
白色の三日月が澄んだ夕空にかかる
風は急に涼しさを家の中に入れ
肌寒さを覚えて一枚上着を被る
夜のしじまに蟋蟀は主のように
鈴を転がす音色はいとあやし
月はしだいに黄色みをまして
木々をかばうように照らす
夏の疲れを癒すように
夜は深く沈黙をしいる
心は愁いを覚え
秋の来訪を恐れるかのように
土手の道のむっとするような草いきれ
樹木の上から鳴き疲れた蝉の声
村社の参道には枯れた桜の葉がうず高く散らばり
ものすごい数の蝉の抜け殻と死骸
土手から見る河のパノラマ
崩れた積乱雲は布団のような雲になり
あやしげな雲行きは風を呼ぶ
河川敷の竹藪からツバメが驚いて飛び出す
稲穂は頭をたれて大地に祈りを捧げ
雀やカラスが田の上を旋回する
猫はもの憂げに隣の垣根に逃げ込み
犬はぐったりと木陰にバテている
長く長くのびる夕陽の影
真っ赤な日の塊が落ちてゆく林の中へ
空は赤く黄色く焼け焦げて暗い青に吸い込まれてゆく
にわかに風が強まりつかれた家々を冷やして通る
僕は机の上に
万年筆と原稿用紙と辞書のほかはなにもなく
毎日毎日、いつもじっとしていた。
戸外では油蝉がジージーと鳴いていた
暑い昼下がり
台風の影響か異常に湿気の多い夏の日であった
何をしなければということもなく
頭の中で何かが動き出すのをじっと待っていた
思いなく 日もなく時は過ぎる
このような無為徒食の生活になれ
自分は存在していたという証を求めて
じっと自分の魂が動くのを待っていた
バッハは絶対王政時代の教会音楽家
カンタータ・オルガン曲などの宗教音楽とチェンバロなどの器楽曲
バッハの宗教音楽を語るとき指揮者カール・リヒターを抜いては語れない
ミサ曲ロ短調冒頭のキリエはまさに人類の救済
後世超えることができない無伴奏バイオリンと無伴奏チェロ曲
バロックを代表するバッハ
きらびやかなカトリック国イタリアのバロック音楽
形式を重んじるルター派新教国ドイツのバロック音楽
バロックの定義から超絶したバッハ
バッハは西欧音楽の礎 無調無音階によって破壊されるまで
バッハの音楽は宇宙の構造と調和する
西欧音楽はバッハによって原点を与えられたが
バロックの主流はイタリア派 既にバッハは時代の遺物
100年後に再発見されなければ埋蔵文化財
最大の音楽的世界を構築したバッハの天才にブラボー
モーツアルトの曲は天使のなせる技
上機嫌な美しい活気あふれるメロディー
心にしみる和音の推移
悲しみとデモーニッシュな短調
明るさが突き抜けて悲しさにかわる長調
一つの駄作もなくすべてが名曲
好きな曲を挙げだしても切りがない
華麗なピアノ協奏曲は欠かせない
弦楽五重奏のビオラの動き
クラリネット協奏曲の悲しくも憂鬱な世界
宮廷社会であがいたモーツアルト
古典派といわれて音楽を美の極致へ高めた天才
モーツアルトが近代的自我に目覚めた時不滅の名曲が残された
天使の踊りから苦悩する人間の内面へ
モーツアルトを得た人類に幸せあれ
夏の昼下がり
鬼怒川の土手をサイクリング
シャツを脱いで半パンだけで
体を太陽と風に曝そう
皮膚が感じる世界に触れよう
ジリジリと焼かれる肌の痛さ
むっとする南風、爽やかな北風、湿気を含んだ東風
季節の移り変わりを風の向きと肌合いでとらえる
皮膚の感覚が外界を吸い取る
言葉は忘れ頭のなかはからっぽ
五感も働かせよう
蝉の声から季節が秋へ近づいていることも知る
肌は赤銅色
皮膚がんを心配する白色人種は可哀そうだね
太陽をにらみ返して 太陽のエネルギーで充電しようか
服等着ているから外界と遮断される
体温調節は自分の皮膚の汗と風で
深呼吸して空気を味わおう
生きていることを感じる感覚体になろう
からっぽの頭に鋭敏な力が復活する
夢の中の少女はいつもお下げ髪
時折 私の夢に現れては直ぐに消えてゆく
四十数年前と同じ顔といでたちで
私は今も君を恋い慕う
紅顔の高校生の頃と同じ胸のときめきを覚えて
幕の内にいるのはほんの一瞬
闇に消える君を探し求める
夢の99%はいやなことばかり
この歳になっても切なさを覚える少女は君
私の記憶細胞はどうなっているのだろう
縁がなかった場合普通は直ぐに忘れ去るはず
いまだに時折夢に現れては切なさだけを残して去ってゆく少女
頭の中で明確な形を形成する間もなく、私の脳から追憶のかなたに消えてゆく
切なくて夢から醒める
アキレスと亀の背理を知っているかい
論理学でいつも出される自己撞着
走っても走っても亀に追いつけない韋駄天のアキレス
まるで夢の中であがいてうなされている人のように
微少な距離において時間を隠したトリックだよ
速度=距離/時間 dx/dtのdtをアキレスと亀で共有することを忘れただけだよ
こんな論理学・数学上の公理と背理は無数にある
公理で自分を縛りつけたために虚をつかれたのさ
頭を柔らかくして呪縛を解けばいい
簡単な公理から出発して数学の体系が構成される
公理を変えれば世界は変わる
自分が立つ地面も裏返しになる
真っ直ぐな直線も曲がって見える
連続な線もバラバラの点になる
こういうことは数学の天才が何回もやってきたこと
他人の作った体系にこだわっていては利口な奴に足元をすくわれる
時代の要求に応じて色々な体系を生むことそれがだいじなことさ
背理で人の虚をつくいやみな屁理屈屋にはなりたくないね
自分の頭で考えて物の見方を身につけてゆくことだよ
それが人間の智恵というもんだ
気持ちが落ち込む時、不安で苦しい時、抑うつされた気分のとき
じっと耐えるのはやめよう、まして自分を責めないで
思いっきり手を抜いて、馬鹿になろう
何も出来なくてもいいから、出来ることをやればいい
完全にやろうとするから、心が焦る
出来ること、好きなことをやれるだけで幸せ
それが自分だ思えば楽になる
ドーパミンの報酬系を働かそう
自分をほめて、ご褒美を与えよう
気持ちの持ち方一つで、物事の見方が一変する
心の壁は自分が掘った蛸壺
外の空気を吸おう、太陽を仰ごう、汗をかこう、深呼吸をしよう
人にはやらなければならないことは何一つない
やれることを精一杯やれれば
それで人生は最高に楽しい
「つれづれなるままに、ひぐらし、硯に向かいて、心に移り行くよしなし事を、そこはかとなく書きつくればあゆしゅうこそものぐるほしけれ」
この文句は吉田兼好の徒然草序段にある
彼は南北朝時代に活躍した歌人・遁世者・有職故事を生業とする神官と色々言われます
彼の目線は北朝の貴族の目です。そこからみれば衰退し時代に翻弄される貴族社会の生活が滑稽で気も狂わんばかり
平成という時代に生きる私も徒然なる人になった
兼好法師ほどの目利きとして世の中を見てきたのか
私は兼好法師になりたい、貴族趣味はないが世を見切る眼がほしい
私利私欲なるマネーゲームでヒーローになった人も今は囚われ人
政治家は言うに及ばず、国民の血税を湯水のように使って、私腹を肥やす高級官僚ども
物つくり産業の伝統を忘れ財テクに狂奔してバブルで頓挫
グローバル企業と称して国民を捨てて外国へ脱出する産業資本
棄てられた日本の若者はニートとさげすまされ、低賃金で貧困化する負け組みに分類され
腐敗閉塞したこんな世の中は一度破壊して、維新のように若い人を中心に再建すべきだ
いたずらに怒を発するのは賢明でない
明治維新が幕府の一本の糸を抜くだけで崩壊させたように
勝海舟の智恵がほしい
こんな外道な世の中のしくみを見切りたい
比叡山の法師のようにゲバ棒をもって暴れた赤軍派や全学連の連中が、現社会の中枢を支配している
昔からこの連中は左派ではなく胡散臭い権力の回し者と感じていたがその通りだった
そんな世の中を解体するのにゲバ棒はいらない、智恵が必要だ
世の生き証人として物申そう、物言わぬは腹ふくるる技なり
ホームページ・ブログという電子壁新聞もある、インターネット・グーグル検索というメデイアを味方につけて
裸の王様を笑い飛ばそう、そして退場願おうか
人生はボードレールの一篇の詩に価しないとは芥川龍之介の言葉
ランボー悪魔の詩は言葉の錬金術師とは小林秀雄の言葉
日本では明治以来フランスの印象詩が流行した
しかし私にはフランス印象詩はトンチンカンプンで何の感興もおこさない
分からない言葉に酔うことで格好良かったのか
韻律のない日本語に翻訳することは所詮不可能だったのか
今私は詩らしき物を(詩の定義がないため)書こうとする
心の軌跡を記そうと思う
心のありかに迫ろうとする
私の年では俳句の一つでも捻るほうが似合っているのかもしれない
俳句の五.七・五、短歌の五・七・五・七・七の定型詩のリズムには抗し難いが窮屈だ
季語や月並みの感傷に流れやすい
自由詩と散文詩はどう違うのか、詩とは散文を行で分けたものにすぎないのか
詩とは人生を要約するものではない、文明批評でもない
言葉は生き生きと飛躍しなければならない
飛躍しすぎて他人には解説がつかないと意味不明でも困る
とかく詩は難しい
心は複雑だ
高校野球などのスポーツ番組を見ているとき
ひいきや敵味方の感情が支配する
これは興味を持つための必要悪か、「日本チャチャチャ」と手拍子打って
本当は何の利害関係もないはず
心の中に勝手にストーリーが支配する
感情の動きを止められないものか
無駄な争いが避けられるように
物事の関係や本質も見えてくるはず
かみさんの言うことも一呼吸置いて答えよう
挑発に乗らないように
それが静かに生きる智恵
ドンと打ち上げられて数秒の命の花
夜空に火の粉の妖精が舞う
腹に響く数秒遅れの爆音
残光がまぶたに焼き付く幻想の色彩
君は見たのか、それとも頭が創り上げたイメージか
それは本当にあったのか、瞬時に消え去る映像
一夜の散財、一夜の夢
眼に光と腹に響きを残してみじかい夏の夜の祭典は終わった
暑い日差しの道路に
土より出てきたみみずが干からびている
何かを求めて出てきてみれば
無才無能のでくの坊
手も足も出せずに野垂れ死に
般若心経を要約すれば
「存在の形、感覚、表象、意思、認識には実体がない。全て空だから変化も自在。しかし智恵は尽きることなく、永遠の悟りが得られる彼岸に行こう。」
要約していまえば、ただの認識論
深遠なインド哲学に東洋的無の世界
生の有限性と永遠の繰り返し
その輪廻から超絶して悟りの彼岸にゆこうか
物理的存在のあやうさから逃れて絶対的観念の世界へ移行すること
それが仏教なら、つまらない
坊主丸儲け、白足袋はんの花街がよい
世も末だといわれて千年経った
最も醜悪な葬式仏教、そこには哲学もない
まさに死人を食い物にする餓鬼の世界
日本人は仏教も信じない無宗教
坊主が信じられるような代物かい
つくばねの むらさきけむる ふもとのさとに
ねをはやし つとめこそだて いくとしつきか
ていねんを ぶじにむかえて ゆうゆうじてき
おふくろの かいごのために はんとしかえり
きょうとと いばらきけんの ふたまたぐらし
おやのてを はなれてこらは どくりつめざし
はげめども おもうようには ならないつらさ
わかっても てはだせない いけんもきかぬ
はれものに ふれないように みまもるだけか
かなしいか おやのげんかい このふがいなさ
きぬがわの どてをめぐって サイクリングに
あついひも けんめいにこぐ たいりょくいじ
ひとやすみ むらのやしろで ラジオたいそう
ごっくりと つめたいみずで のどをうるおし
もういちど いえにむかって じてんしゃこぎ
はれたひは スケッチブック じしょうがはく
あめのひは ほんをよんでは じしょうはかせ
いえにいて そうじしょくじ ひとりですませ
かみさんの こごとのえじき だまってたえる
ねるまえに オンザロックで しょうちゅのみ
しゃっきん すべてはらって たくわえすこし
ばんねんを けがすあくじは するゆうきなし
ねんきんは ふたりでしまつ ちょきんもする
ぜいたくは できるわけなく りょこうもせず
てんごくだ おひるねついて さんしょくつき
人の遺伝子には寿命が折り込まれているそうな
DNAの尻尾に寿命の回数券がついているんだって
一年に一枚ずつ無くなってゆくそうだ
私にはもう何枚残っているのだろうか
そうして確実に命を支える細胞が死ぬ
あまりに精巧な機械ゆえに運命づけられた死
無機物のように構成元素が単純なら死ぬことはないのだが
生命のすばらしさと有限の命
すばらしい生命の輝きを言葉に焼き付け自分の生きた証としよう
愛を歌う言葉、生の根源に迫る言葉、小さな幸せを伝える言葉、歴史の生き証人の言葉
こうした言葉に励まされて生きてきたのだ
一見何の心配もなさそうな日々
とつぜん崩れそうな不安の予期
こわれそうなものは何
息苦しく頭の中が真っ白になりそうなとき
生まれたときから背負っている存在の頼りなさ
励ましていきるのはウソ
色褪せて 汚れちまった悲しみに
今日も いそがしく生活が通り過ぎる
色褪せて 汚れちまった悲しみに
人生の思い出が一瞥をくれる
色褪せて 汚れちまった悲しみに
昔の女が 夢の中で寄り添ってくれる
色褪せて 汚れちまった悲しみに
誰も振り返りはしない
色褪せて 汚れちまった悲しみに
悔悟と冷や汗が降り注ぐ
色褪せて 汚れちまった悲しみに
寄りかかるのは 自分だけ
色褪せて 汚れちまった悲しみは
何も生まないのに
ナンマイダ ありがとう いつもげんきで
ナンマイダ くるしいが なんとかいきて
ナンマイダ こきゅうを ととのえてみて
ナンマイダ らくになる そんなこともね
ナンマイダ まよなかに ふあんになれば
ナンマイダ くりかえし またナンマイダ
母は偉大でこわい存在だった
戦後の食糧難のなかで七人の子を産み育てた
私は内職している母の背中をみてきた
貧乏を地で行く生活
私は大学にもいった、そして定年を迎え故郷に帰った
そこにはこわい母ではなく、呆けつつある母がいた
日々体の自由がきかなくなる母、5分前の記憶もなくなる母
母の存在はしだいに遠のいてゆく、そこにいるのは誰だろう
いつか感謝しつつ別れる日がくるだろうか
それでもいまは母