高閣涼多獨自斟 高閣涼多く 獨自ら斟み
仙宮忘却利名心 仙宮忘却す 利名の心
書堂無主塵侵硯 書堂主無く 塵硯を侵し
日照香炉露滴琴 日香炉を照して 露琴に滴る
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雨過茅亭蝉翼軽 雨は茅亭を過ぎ 蝉翼軽く
一双飛燕遠山晴 一双飛燕 遠山晴れる
松風駆暑炎威去 松風暑を駆て 炎威去り
満耳渓聲涼意生 満耳渓聲 涼意生ず
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七月青山窓閣前 七月青山 窓閣の前
桐陰清潤雨餘天 桐陰清潤 雨餘りの天
緑槐高處人稀至 緑槐高處 人至るは稀に
禅寂香城地最偏 禅寂香城 地最も偏なり
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香山仏閣出塵寰 香山仏閣 塵寰を出で
石蘚青青意自 石蘚青青 意自ら閧ﾈり
夢到経堂人寂寂 夢経堂に到り 人寂寂
屐聲驚起鳥関関 屐聲驚き起きて 鳥関関
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遥看古刹白雲封 遥か古刹を看れば 白雲封じ
日照江山紫翠重 日は江山を照し 紫翠重なる
繙帙朗吟書一巻 帙を繙き朗吟す 書一巻
煎茶獨啜意従容 茶を煎れ獨り啜れば 意従容なり
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高原冷気襲人衣 高原の冷気 人衣を襲い
日夕徘徊繞翠微 日夕徘徊し 翠微を繞る
幽鳥一聲塵外趣 幽鳥一聲 塵外の趣
山中過客眼中稀 山中の過客 眼中に稀なり
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活死雨晴蝉忽鳴 死を活す雨晴れて 蝉忽ち鳴き
台風一過早涼生 台風一過 早涼生ず
庭前浸潤楊枝重 庭前浸潤 楊枝重く
俄爾回枯病躰軽 俄に枯を回し 病躰軽し
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飛龍応祈至誠通 飛龍祈に応じ 至誠通じ
救旱回生歓不窮 旱を救い生を回し 歓窮らず
潤物跳珠蕉葉雨 物を潤し珠を跳らす 蕉葉の雨
送涼駆熱藕花風 涼を送り熱を駆る 藕花の風
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黒雲翻墨起天門 黒雲墨を翻し 天門に起こり
白雨跳珠射粉垣 白雨珠を跳し 粉垣を射る
潤物爽然真喜舞 物を潤し爽然 真に喜舞し
蘇民誰力亦神恩 民を蘇らすは誰が力ぞ 亦た神恩
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一陣雷轟天際聞 一陣の雷轟 天際に聞こえ
風狂暴雨水生紋 風狂い暴雨 水紋を生ず
炎塵大地物皆澤 炎塵の大地 物皆な澤い
焦土須臾滌暑気 焦土須臾に 暑気を滌う
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三伏炎塵気欝哉 三伏炎塵 気は欝かな
千山何急黒雲回 千山何ぞ急に 黒雲回る
一天勢極暴風起 一天勢極り 暴風起り
不測神威慈雨来 神威測らずも 慈雨来る
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江村連日望雷公 江村連日 雷公を望み
童担神輿西復東 童は神輿を担いで 西復た東
蕭管迎龍憂旱意 蕭管迎龍は 憂旱の意
農夫辛苦欲無功 農夫の辛苦 功無らんと欲す
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鄙陋柴門客到稀 鄙陋柴門に 客到るは稀に
炎雲焦土午風微 炎雲土を焦して 午風微なり
旱天如炙蝉方急 旱天炙る如く 蝉方に急に
新緑林中亦懶飛 新緑の林中 亦た飛ぶに懶し
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江上空雷炎熱増 江上空雷 炎熱増し
山童逐兎竹為朋 山童兎を逐て 竹を朋と為す
垂翁窮気只高臥 垂翁気を窮して 只だ高臥し
矮屋開窓避暑蒸 矮屋窓を開て 暑蒸を避く
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如綿赫赫火雲升 綿の如く赫赫と 火雲升り
赤帝敖敖炎若蒸 赤帝敖敖 炎蒸すが若し
日午病躯枯欲盡 日午病躯 枯れて盡きんと欲し
垂翁隠几嚼清氷 垂翁几に隠れて 清氷を嚼む
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旱雲飛火起炎空 旱雲火を飛して 炎空に起き
赤日遮城如火攻 赤日城を遮て 火攻の如し
樹上林蝉逢苦熱 樹上の林蝉 苦熱に逢い
扇頭無力計将窮 扇頭無力 計将に窮らんとす
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白日渾如堕瓶中 白日渾いて 瓶中に堕つが如し
葛衣流汗病眠翁 葛衣流汗 病眠の翁
不能避暑心頭熱 暑を避ける能わず 心頭熱し
隠几涼空一扇風 几に隠りて涼空し 一扇の風
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七月江城炎暑殷 七月江城 炎暑殷なり
青蠅積聚日為群 青蠅積聚し 日に群を為す
蚊雷隠隠不成睡 蚊雷隠隠 睡を成せず
嗅血飢来如乱軍 血を嗅いで飢来り 乱軍の如し
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高天爽気亦全無 高天爽気 亦た全く無く
炎暑溽蒸愁病躯 炎暑溽蒸 病躯を愁う
矮屋瓶中身解服 矮屋瓶中 身は服を解き
欲成午睡汗為珠 午睡成さんと欲して 汗珠を為す
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如峯如火旱如焚 峯の如く火の如く 旱焚くが如く
熾日傾斜将夕薫 熾日傾斜し 将に夕薫ならんとす
豹脚飢蚊群擾擾 豹脚の飢蚊 群って擾擾
香煙難遂乱紛紛 香煙遂い難く 乱れて紛紛
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千形万象旱天中 千形万象 旱天の中
徹夜難眠午熱同 夜を徹して眠り難く 午熱に同じ
暁雨沛然清爽動 暁雨沛然 清爽動き
早晨洗暑鬱蒸空 早晨暑を洗って 鬱蒸空し
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飛電燎空雷逞威 飛電空を燎き 雷威を逞しくし
計将非力悟禅機 計将に非力ならんとし 禅機を悟る
臥牀老骨惟思睡 牀に臥して老骨 惟だ睡を思い
隠几開窓風動衣 几に隠りて窓を開ければ 風は衣を動かす
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七月江西畏日雲 七月江西 畏日の雲
隆隆湧上火龍文 隆隆と湧上る 火龍の文
朱明午下金将爍 朱明午下 金将に爍けんとし
街路炎天暑欲焚 街路炎天 暑は焚えんと欲す
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早雲飛火熱炎増 早雲火を飛して 熱炎増し
無計思涼気欝蒸 計無く涼を思って 気は欝蒸なり
溽暑煩襟人共酔 溽暑煩襟 人共に酔い
難眠斗室小窓憑 眠り難く斗室の 小窓に憑る
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西城赤日午雲中 西城赤日 午雲の中
秧畔追牛六七童 秧畔に牛を追う 六七の童
農婦陌頭憂酷暑 農婦陌頭で 酷暑を憂い
曲肱半酔病眠翁 肱を曲げ半酔す 病眠の翁
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樹影林蝉亦懶飛 樹影の林蝉 亦た飛ぶに懶く
濶@寂莫午風微 濶@寂莫 午風微なり
抛書溽暑侵吟榻 書を抛て溽暑 吟榻を侵し
流汗如湯透客衣 流汗湯の如く 客衣を透る
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草露幽香緑満堤 草露幽香 満堤緑に
秧肥七月水鶏啼 秧肥え七月 水鶏啼く
無風籬畔移牀酌 風無く籬畔に 牀を移して酌み
禅寂階前掃石題 禅寂階前に 石を掃て題す
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草廬苔蝕懶繙書 草廬苔蝕み 書を繙くに懶し
欝欝傷腸倚酒除 欝欝と腸を傷んで 酒に倚て除かん
宿雨闖D臨水久 宿雨闖D 水に臨んで久しく
紫陽残夢得花疎 紫陽残夢 花を得て疎なり
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軽衣冐暁上池堂 軽衣暁を冐して 池堂に上がり
白麗人呼作六郎 白麗人呼んで 六郎と作す
翻蓋依依風弄影 蓋を翻し依依と 風は影を弄び
跳珠點點露生香 珠を跳らせ點點と 露は香を生ず
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青銭荷葉影田田 青銭荷葉 影田田
白玉凝妝西子妍 白玉妝を凝して 西子の妍
不忍池邊人非見 不忍池邊 人見えず
樹陰映水碧涵天 樹陰水に映じて 碧天を涵す
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一陣南風度柳枝 一陣の南風 柳枝を度り
時揺軽扇暗香奇 時に軽扇を揺し 暗香奇なり
清晨緑蓋籠花影 清晨緑蓋 花影を籠め
冐暁紅衣帯露開 暁を冐して紅衣 露を帯びて開く
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