西湖煙霧絶塵埃 西湖煙霧 塵埃を絶つ
三四白蓮含露開 三四白蓮 露を含んで開く
碧水鴛鴦排銭渡 碧水に鴛鴦 銭を排して渡り
青冥乳燕觸荷来 青冥に乳燕 荷に觸れて来る
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幽窓終日雨聲侵 幽窓終日 雨聲侵し
六月連陰泥已深 六月連陰 泥已に深し
濃緑園林梅子熟 濃緑園林 梅子熟し
水邊客舎午蕭森 水邊客舎 午蕭森たり
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梅霖蘆屋喚隣翁 梅霖蘆屋 隣翁を喚び
開欝傾樽借酒功 欝を開かんと樽を傾け 酒功を借る
窓外蕭森桐葉雨 窓外蕭森と 桐葉の雨
池邊軽燕藕苗風 池邊に軽燕 藕苗の風
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早暁芭蕉先有聲 早暁芭蕉 先ず聲有り
新荷風動露珠傾 新荷風動て 露珠傾く
晴江水亭簾幃碧 晴江水亭 簾幃碧に
涼意易眠枕簟清 涼意眠り易く 枕簟清し
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雨歇炎炎窓日紅 雨歇み炎炎と 窓日紅に
前庭欝欝緑濛濛 前庭欝欝 緑濛濛たり
波光蕩漾浮簾外 波光蕩漾 簾外に浮かび
草上青蛙落水中 草上の青蛙 水中に落つ
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落盡枇杷梅雨晴 枇杷落ち盡し 梅雨晴れ
柳陰映水遠山横 柳陰水に映じ 遠山横る
白帆揺蕩風潭上 白帆揺蕩す 風潭の上
緑葉愈明夏木清 緑葉愈々明く 夏木の清
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夏至南風吹度時 夏至り南風 吹き度る時
無窮草樹碧參差 無窮の草樹 碧參差たり
小童投石波紋動 小童石を投じ 波紋動き
苔上亀児自入池 苔上の亀児 自ら池に入る
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西望故城江水長 西に故城を望めば 江水長なり
汀前楊柳共蒼蒼 汀前の楊柳 共に蒼蒼
黄梅点滴収残雨 黄梅点滴 残雨収まり
碧蘚臨流帯夕陽 碧蘚流に臨んで 夕陽を帯びる
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琵琶湖邊潮已平 琵琶湖邊 潮已に平に
青山碧水一舟横 青山碧水 一舟横る
濁醪三斗炎光謝 濁醪三斗 炎光を謝し
吹送涼波爽気生 涼波吹き送りて 爽気生ず
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千里傷心遊子顔 千里傷心 遊子の顔
橘花揺落雨潜潜 橘花揺落 雨潜潜たり
故山回首滄溟畔 故山首を回す 滄溟の畔
帆腹帰舟紫翠間 帆腹帰舟 紫翠の間
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収麦看西已暮鴉 麦を収め西を看れば 已に暮鴉
耕牛帰路見人家 耕牛帰路に 人家を見る
噪蛙未歇前林雨 噪蛙未だ歇まず 前林の雨
迷燕啼雲早稲花 迷燕雲に啼く 早稲の花
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乳燕高低落遠汀 乳燕高低し 遠汀に落ち
月明野水作蛇形 月明に野水 蛇形を作す
渡頭橋畔一叢草 渡頭橋畔に 一叢の草
燿燿流光数点蛍 燿燿たる流光は 数点の蛍
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紅蓮麗質夜愈清 紅蓮麗質 夜愈々清く
水殿西風涼自生 水殿西風 涼自ずと生ず
湖面白波留月色 湖面の白波 月色を留め
青池翠蓋助蛙聲 青池の翠蓋 蛙聲を助く
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風江潮動水之隈 風江潮動す 水之隈
暑雨初過荷葉杯 暑雨初て過る 荷葉の杯
青鷺捕魚沙際去 青鷺魚を捕て 沙際に去り
白蓮翻蓋別天開 白蓮蓋を翻して 別天に開く
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江村六月碧田田 江村六月 碧田田たり
水漲池塘白鷺眠 水漲り池塘に 白鷺眠る
雨歇東西芳草岸 雨歇んで東西 芳草の岸
無風有月夕陽天 風無く月有り 夕陽の天
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深緑相侵十日霖 深緑相い侵す 十日の霖
連山雲霧暗煙林 連山雲霧 煙林暗し
黄梅落盡青苔地 黄梅落ち盡す 青苔の地
吹寄荷銭碧澗潯 荷銭を吹寄せる 碧澗の潯
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疎疎梅雨遠山眉 疎疎たる梅雨 遠山の眉
寂寂桐陰野水涯 寂寂たる桐陰 野水の涯
橋畔林間鳩喚婦 橋畔林間に 鳩は婦を喚び
坊城檐宇燕将児 坊城檐宇に 燕将に児ならんとす
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絹江湛湛満長堤 絹江湛湛と 長堤に満ち
煙雨冥冥夢欲迷 煙雨冥冥と 夢迷んと欲す
鏡面波心金鯉躍 鏡面の波心に 金鯉躍り
渕叢岸角翠禽啼 渕叢の岸角に 翠禽啼く
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風撫芭蕉苔気薫 風は芭蕉を撫で 苔気薫り
蘋生洲渚水浮文 蘋は洲渚に生じ 水紋を浮ぶ
梅霖未歇一渓雨 梅霖未だ歇ず 一渓の雨
陰鬱難開千嶂雲 陰鬱開き難く 千嶂の雲
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已熟黄梅榴火紅 已に黄梅熟して 榴火紅なり
午陰小酌曝書中 午陰小酌す 曝書の中
酔醒日暮疎疎雨 酔醒め日暮 疎疎たる雨
草露幽香細細風 草露幽に香る 細細の風
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六月黄梅欲落初 六月黄梅 落ちんと欲するの初め
農翁竟日破雲鋤 農翁竟日 雲を破って鋤す
今朝雨歇親裁菜 今朝雨歇んで 親ら菜を裁え
旦暮燭光手写書 旦暮燭光にて 手ずから書を写す
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十日梅霖無處尋 十日梅霖 尋る處無く
自斟獨居午蕭森 自り斟む獨居 午蕭森たり
枇杷都熟苔痕潤 枇杷都て熟し 苔痕潤い
蝸涎幽窓竹気深 蝸涎の幽窓に 竹気深し
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老鶯一叫不堪聞 老鶯一叫 聞くに堪えず
疎雨高低燕尾分 疎雨に高低 燕尾分る
水漲蛙喧平野稼 水漲り蛙喧し 平野の稼
緑波相映乱山雲 緑波相い映ず 乱山の雲
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西城郊外稲秧畦 西城郊外 稲秧の畦
州渚蘋生水満堤 州渚に蘋生え 水堤に満つ
細雨曳煙山遠近 細雨煙を曳き 山遠近
橘花馥郁路高低 橘花馥郁と 路高低
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江村六月熟黄梅 江村六月 黄梅熟し
榴火紅然蒼翠堆 榴火紅然え 蒼翠堆し
隔水冥冥渓畔樹 水を隔て冥冥と 渓畔の樹
霏微細細石頭苔 霏微細細 石頭の苔
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溟濛小雨喚隣翁 溟濛たる小雨に 隣翁を喚び
開欝囲棋借酒功 欝を開んと棋を囲み 酒功を借る
座右図書遊物外 座右に図書 物外に遊び
梅霖終日在城中 梅霖終日 城中に在り
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冥冥細雨入梅初 冥冥たる細雨 入梅の初め
懶出柴門楽有餘 柴門を出るに懶く 楽み餘り有り
水際清斎雙幅画 水際の清斎に 雙幅の画
葺茅方丈一牀書 葺茅の方丈に 一牀の書
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閣閣蛙聲破暁眠 閣閣たる蛙聲 暁眠を破り
緑秧田溢水連天 緑秧の田 溢水は天に連る
白鴎樹蔭江風強 白鴎樹蔭に 江風強く
乳燕高低雨沛然 乳燕高低し 雨沛然たり
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池邊杜若草青青 池邊杜若 草は青青
皎皎追涼月満庭 皎皎と涼を追て 月庭に満つ
数点流星天寂寂 数点の流星 天は寂寂と
疏蛍明滅水冷冷 疏蛍明滅し 水は冷冷たり
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玉波蕩蕩曳軽煙 玉波蕩蕩 軽煙を曳き
柳渚濶ｨ泛碧漣 柳渚に濶ｨ 碧漣に泛ぶ
紫黛山端雲上月 紫黛の山端 雲上の月
白華相映水中天 白華相い映じ 水中の天
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