氷解喧啾葉底禽 氷解け喧啾たり 葉底の禽
風和斑様白銀岑 風和に斑様たり 白銀の岑
夭夭麦隴銷春雪 夭夭たり麦隴に 春雪銷え
寂寂斜陽洒暮林 寂寂と斜陽は 暮林に洒ぐ
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江水縦横万里風 江水縦横 万里の風
鶯啼高下入晴空 鶯啼て高下 晴空に入る
梅花淡白春雲碧 梅花淡白 春雲碧に
霞浦山青海日紅 霞浦山青く 海日紅なり
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啼鶯朶朶酔春宵 啼鶯朶朶に 春宵に酔い
薄暮詩成酒侶邀 薄暮詩成て 酒侶邀ふ
灯下士人同酩酊 灯下に士人 同じく酩酊し
月明柳女共逍遥 月明に柳女 共に逍遥す
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江村暮景淡煙遮 江村暮景 淡煙遮り
春浅寒宵霜意加 春浅く寒宵 霜意加わる
籬畔窓簾鳴雪滴 籬畔窓簾に 雪滴鳴り
月明簷樹影梅花 月明簷樹 梅花に影す
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暗香紅白百花魁 暗香紅白 百花の魁
爛漫梅花一夜開 爛漫と梅花 一夜に開く
暖律已回知凍解 暖律已に回り 凍の解くるを知り
東風千里覚春来 東風千里 春の来るを覚ゆ
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二月江東瑞気融 二月江東 瑞気融け
陰雲万里夢魂通 陰雲万里 夢魂通ず
白梅点点疑残雪 白梅点点 残雪かと疑い
紅日飛鴻任好風 紅日飛鴻 好風に任す
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暁霽鶏聲動一陽 暁霽鶏聲 一陽動き
江村野景著新粧 江村野景 新粧著く
橋南雪骨迎春笑 橋南の雪骨 春を迎えて笑い
水畔紅桃待節芳 水畔の紅桃 節を待って芳し
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夜来東都雪乍晴 夜来東都 雪乍ち晴れ
尋香吟老曳杖行 香を尋ね吟老 杖を曳て行く
神祠朱欄梅花白 神祠朱欄 梅花白く
風穏春波墨水平 風穏に春波 墨水平なり
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尋芳蕭寺歩前園 蕭寺に芳を尋ね 前園を歩すと
淑気浮揺風日喧 淑気浮揺し 風日喧なり
白鷺痩姿臨水潔 白鷺の痩姿 水に臨んで潔く
紅梅艶影繞簷繁 紅梅の艶影 簷を繞って繁し
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黄昏影落野人家 黄昏影落る 野人の家
屋上無聲欲暮鴉 屋上聲無く 暮鴉ならんと欲す
香骨凌霜春尚在 香骨霜を凌いで 春尚を在り
和風融雪日将斜 和風雪を融して 日将に斜めなり
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竹林黄鳥報春来 竹林の黄鳥 春を報じて来り
数点江梅犯雪開 数点の江梅 雪を犯して開く
皎皎月光寒照水 皎皎たる月光 寒くして水を照し
氷魂痩影浄沾苔 氷魂の痩影 浄にして苔を沾す
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北風料峭透衣巾 北風料峭 衣巾を透し
林樹凌寒氷雪晨 林樹寒を凌ぐ 氷雪の晨
笑凍放香梅破臘 凍を笑い香を放ち 梅臘を破り
媚陽開眼柳先春 陽に媚びて開眼 柳春に先ず
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小閣盆梅紅一枝 小閣盆梅 紅一枝
円窓映月是風姿 円窓月に映じて 是れ風姿
春寒香雪鶯難至 春寒香雪 鶯至り難く
料峭浚霜花較遅 料峭霜を浚いで 花較々遅し
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幽庭寒月半窓横 幽庭寒月 半窓に横わり
一白南枝梅雪争 一白南枝 梅雪を争う
朶朶紅無猶臘味 朶朶に紅無く 猶を臘味
前園黄鳥已春聲 前園の黄鳥 已に春聲
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筑西二月峭寒加 筑西二月 峭寒加わり
四界銀綿竹影斜 四界銀綿 竹影斜めなり
数点梅花為雪圧 数点梅花 雪に圧せられ
早晨紫岳被雲遮 早晨紫岳 雲に遮らる
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村樹疎疎郊路長 村樹疎疎として 郊路長く
麦丘野水引春光 麦丘野水 春光を引く
急寒昨夜雪埋屋 急寒昨夜 雪は屋を埋め
緩暖今朝風漏香 緩暖たる今朝 風は香を漏す
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常陸東風物候新 常陸東風 物候新に
水門楼閣会騒人 水門楼閣に 騒人会す
千波湖面猶含凍 千波湖面 猶を凍を含み
偕楽梅園已帯春 偕楽梅園 已に春を帯ぶ
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暗香浮動立黄昏 暗香浮動し 黄昏に立つ
添得寒梢月一痕 寒梢に添え得る 月一痕
吟歩南枝横鉄骨 吟歩すれば南枝 鉄骨を横へ
氷身欺雪著春魂 氷身雪を欺き 春魂を著く
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疎梅紅白百花魁 疎梅紅白 百花の魁
二月猶寒冒雪開 二月猶寒く 雪を冒して開く
皓皓木梢知月到 皓皓たる木梢に 月の到るを知り
朱顔酔頬覚風来 朱顔酔頬に 風の来るを覚ゆ
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水浅風寒春到遅 水浅く風寒く 春到る遅く
陽光揺落向南枝 陽光揺落し 南枝に向う
門頭千樹弄疎影 門頭千樹 疎影を弄し
蕭寺梅園含冷姿 蕭寺梅園 冷姿を含む
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疎影江頭淑気先 疎影江頭に 淑気先じ
園林枝角破寒煙 園林枝角 寒煙を破る
紫峰京北春風地 紫峰京北 春風の地
今夕東山夜月天 今夕東山に 夜月の天
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江村暖律洩春光 江村暖律 春光を洩し
色動寒消聞暗香 色動き寒消え 暗香を聞く
吟屋蕭疎頻遣悶 吟屋蕭疎 頻に悶を遣り
酔人敲句暫相忘 酔人句を敲いて 暫く相忘る
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不来膏雨土塵乾 膏雨来らず 土塵乾き
料峭今春特地寒 料峭たり今春 特地に寒し
朱閣共祈多有歳 朱閣共に祈る 多く歳有るを
白翁自楽更無官 白翁自ずと楽む 更に官無しを
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二月春寒緑未斉 二月春寒く 緑未だ斉しからず
南枝梅蕾夕陽低 南枝梅蕾 夕陽低る
渚煙垂糸無魚躍 渚煙糸を垂れ 魚の躍る無く
沙岸枯叢有鷺栖 沙岸枯叢 鷺の栖有り
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梅蕾和風動暗香 梅蕾和風 暗香を動し
節分暖日入新陽 節分暖日 新陽に入る
釣舟野渡波逾碧 釣舟の野渡 波逾々碧に
飛絮堤塘柳未黄 飛絮の堤塘 柳未だ黄ならず
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苦寒下野狂風過 苦寒下野に 狂風過ぎ
四望黄沙度絹河 四望すれば黄沙 絹河を度る
男体連山蒙薄霧 男体連山 薄霧を蒙り
眼前凍水去清波 眼前凍水 清波を去る
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残夜空窓凍月移 残夜空窓に 凍月移り
悄然孤座未明時 悄然孤座す 未明の時
低吟浅酌寒缶盡 低吟浅酌 寒缶盡き
東白鶏鳴暁漏遅 東白く鶏鳴て 暁漏遅し
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