無興誰倶一病夫　　　　　誰と倶にする無し　一病夫
窮愁倚几酒愈傾　　　　　窮愁几に倚りて　酒愈々傾く
月明夜色蒼煙断　　　　　月明かに夜色　蒼煙断え　　　
霜冷蛩聲晩気孤　　　　　霜冷かに蛩聲　晩気孤なり
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万里天高秋馬肥　　　　　万里天高く　秋馬肥え
金風颯颯白雲飛　　　　　金風颯颯と　白雲飛ぶ
氷姿黄菊酬佳節　　　　　氷姿黄菊　佳節に酬い　　　
秀色銀觴怨落暉　　　　　秀色銀觴　落暉を怨む
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秋風淅淅起蒹葭　　　　　秋風淅淅と　蒹葭を起し
短挿金英両鬢華　　　　　金英挿すに短し　両鬢の華
旧径紅楓悲落木　　　　　旧径の紅楓　落木を悲しみ　　
新醪緑酒対黄花　　　　　新醪の緑酒　黄花に対す
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秋風揺葉暮煙飛　　　　　秋風葉を揺し　暮煙飛ぶ
衰老登台対晩暉　　　　　衰老台に登りて　晩暉に対す
佳節啣杯今日是　　　　　佳節杯を啣みて　今日是なり　　　
不知酩酊幾時帰　　　　　酩酊して　幾時に帰るを知らず
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重陽忽対菊坡園　　　　　重陽忽ち対す　菊坡の園
野曠雲連隔市喧　　　　　野曠雲連り　市喧を隔つ
馥郁黄花争戴酒　　　　　馥郁たる黄花　争て酒を戴せ　　　
高吟紅頬自消魂　　　　　高吟紅頬　自ら魂を消す
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何処禅城問老農　　　　　禅城何処と　老農に問う
回頭指示日方舂　　　　　指示に頭を回すれば　日方に舂く
登高俯瞰滄溟遠　　　　　登高俯瞰すれば　滄溟遠く　　　
故国連山紫翠重　　　　　故国連山　紫翠重なる
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万里悲秋光陰移　　　　　万里悲秋　光陰移り
故園荒径草離離　　　　　故園の荒径　草離離
無邊地面霜多少　　　　　無邊の地面に　霜多少　　　
風急天高菊一枝　　　　　風急に天高く　菊一枝
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新霜寒枕夜深爐　　　　　新霜寒枕　夜深の爐
燈下漂零一病夫　　　　　燈下漂零　一病夫
月色蕭蕭侵臥内　　　　　月色蕭蕭と　臥内を侵し　　　
秋容淡淡満庭隅　　　　　秋容淡淡と　庭隅に満つ
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過雁相競響丁丁　　　　　過雁相い競いて　響丁丁
禅寂空林落葉聲　　　　　禅寂空林　落葉の聲
楓樹晩紅秋四璧　　　　　楓樹晩紅　秋四璧　　　
前峰皎皎月三更　　　　　前峰皎皎　月三更
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高高雁影更凄涼　　　　　高高と雁影　更に凄涼
新月猶懸已十霜　　　　　新月猶を懸りて　已に十霜
敗葉重憂無限思　　　　　敗葉憂を重ね　無限の思　　　
寒燈潤涙夜偏長　　　　　寒燈涙を潤し　夜偏に長し
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香城空室坐深更　　　　　香城空室　深更に坐す
清露多情眠未成　　　　　清露多情　眠未だ成らず
石逕月明分夜色　　　　　石逕月明　夜色を分かち　　　
山林宿鳥動寒聲　　　　　山林の宿鳥　寒聲を動かす
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仰観秋天北斗遥　　　　　秋天を仰ぎ観れば　北斗遥かに
風吹枯葉意蕭條　　　　　風は枯葉を吹いて　意は蕭條たり
鐘声韻韻疎逾響　　　　　鐘声韻韻　疎にして逾々響き　　　
落日紅紅薄易消　　　　　落日紅紅　薄にして消え易し
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凄凄此夕晩煙多　　　　　凄凄たり此夕　晩煙多く
淅淅寒風無幾何　　　　　淅淅たり寒風　幾何とも無し
不盡老愁如掃葉　　　　　老愁盡ず　葉を掃くが如く　　　
江山夜雨打残荷　　　　　江山夜雨　残荷を打つ
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露下天高雁陣分　　　　　露下天高く　雁陣分れ
空山朱染落紅醺　　　　　空山朱に染りて　落紅醺ず
戴頭隴月焚丹葉　　　　　頭に隴月を戴て　丹葉を焚き　　　
不至郷書語白雲　　　　　郷書至らず　白雲と語る
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夜色秋光燈火親　　　　　夜色秋光　燈火親しみ
愉�闊�酒不憂貧　　　　　�閧�愉しみ飲酒　貧を憂えず
人生自古咨嗟久　　　　　人生古自り　咨嗟久しく　　　
誰道桂花別恨新　　　　　誰か道う桂花　別恨新なりと
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江城殿閣便淹留　　　　　江城殿閣　便ち淹留し
遊興絃歌即白頭　　　　　遊興絃歌　即ち白頭
新熟緑杯惟可飲　　　　　新熟緑杯　惟だ飲む可し　　　
徘徊吟望更宣秋　　　　　徘徊吟望　更に秋に宣し
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池邊樹暗晩潮平　　　　　池邊樹暗く　晩潮平に
地白江天月華生　　　　　地白く江天　月華生ず
堤畔不知秋有思　　　　　堤畔知らず　秋思有るを　　　
誰家零露夜無聲　　　　　誰が家ぞ零露　夜に聲無し
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寒衾不寝晩滂沱　　　　　寒衾不寝ねず　晩滂沱たり
如哭佳人朽骨多　　　　　哭するが如く佳人　朽骨多し
今夜蕭蕭聞墜露　　　　　今夜蕭蕭　墜露を聞き　　　
翌朝渺渺見増波　　　　　翌朝渺渺　増波を見る
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暮寒日落暗江天　　　　　暮寒日落ち　江天暗く
夢冷流愁嘆逝川　　　　　夢冷え流愁　逝川を嘆ず
皎皎氷輪荷雨後　　　　　皎皎たる氷輪　荷雨の後　　　
喧喧蟋蟀荻風前　　　　　喧喧たる蟋蟀　荻風の前
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江山夜半雨蕭蕭　　　　　江山夜半　雨蕭蕭
未定帰期愁不消　　　　　未だ帰期定まらず　愁消えず
身在関東魚信絶　　　　　身は関東に在りて　魚信絶え　　　
思飛京師雁書遥　　　　　思いは京師へ飛んで　雁書遥かなり
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怠惰生涯無一銭　　　　　怠惰生涯　無一銭
倦書空院只貧眠　　　　　書に倦み空院　只眠を貧る
世塵不与浮雲外　　　　　世塵与せず　浮雲の外　　　
山月如霜落日邊　　　　　山月霜の如く　落日の邊
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日落長江雁影低　　　　　日は長江に落ち　雁影低く
黄昏帰路使人迷　　　　　黄昏帰路　人をして迷しむ
晩風十月猶葱盛　　　　　晩風十月　猶を葱盛んに　　　
夜雨侵衣已惨悽　　　　　夜雨衣を侵して　已に惨悽
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涼風万里荻蘆灘　　　　　涼風万里　荻蘆の灘
身在昏煙雨滴酸　　　　　身昏煙に在りて　雨滴酸たり
衰葉空垂秋樹晩　　　　　衰葉空しく垂る　秋樹の晩　　　
断猿啼處夜江寒　　　　　断猿啼く處　夜江寒し
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秋叢暮雨草虫悲　　　　　秋叢暮雨　草虫悲しみ
江上陰雲煙瞑時　　　　　江上陰雲　煙瞑き時
見在寒村人去遠　　　　　見は寒村に在りて　人去る遠く　　　
偏愁郷老雁来遅　　　　　偏に郷老を愁いて　雁来る遅し
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雨歇天空月満樓　　　　　雨歇み天空しく　月樓に満ち
雲収水遠大江流　　　　　雲収り水遠く　大江流る
如霜白髪人将老　　　　　霜の如き白髪　人将に老い　　　
風動愁情樹已秋　　　　　風愁情を動し　樹已に秋なり
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客舎吟詩興自豪　　　　　客舎詩を吟じ　興自ら豪に
燈花酌酒酔芳醪　　　　　燈花酒を酌で　芳醪に酔う
依帰倚几供慵臥　　　　　倚几に依帰して　慵臥に供し　　　
再再稱觴佐老號　　　　　再再觴を稱げ　老號を佐く
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江山清絶月朧明　　　　　江山清絶　月朧明
秋夜蕭蕭過雁聲　　　　　秋夜蕭蕭　過雁の聲
流影団団蟾不没　　　　　流影団団　蟾没せず　　　
星河浩浩兎長生　　　　　星河浩浩　兎長生す
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一天雨歇暮雲開　　　　　一天雨歇み　暮雲開き
三五金波捧玉来　　　　　三五金波　玉を捧げて来る
千里長江秋雁断　　　　　千里長江　秋雁断え　　　
九重城内夜蛩催　　　　　九重城内　夜蛩催す
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清光月上白雲間　　　　　清光月上る　白雲の間
倚檻如霜両鬢斑　　　　　檻に倚れば霜の如く　両鬢斑なり
簾外梧桐秋裡老　　　　　簾外に梧桐は　秋裡に老い　　　
年年病骨酔中顔　　　　　年年病骨　酔中の顔
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江上連暁風雨悽　　　　　江上暁に連て　風雨悽たり
秋霖淅瀝馬頻嘶　　　　　秋霖淅瀝　馬頻に嘶く
郷思万感空垂涕　　　　　郷思万感　空しく涕を垂れ　　　
病骨回看必噬臍　　　　　病骨回看　必ず臍を噬む
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