市塵不到貧翁家 市塵到らず 貧翁の家
草色夭夭寸寸芽 草色夭夭と 寸寸の芽
夜雨長深三尺水 夜雨長深 三尺の水
春寒桜樹一分花 春寒桜樹 一分の花
●○●●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
東郊如黛遠山霞 東郊黛の如く 遠山霞み
千里鶯啼暖漸加 千里鶯啼いて 暖漸く加わる
桜樹花開春爛漫 桜樹花開いて 春爛漫
遊人不管日将斜 遊人管せず 日将に斜めならんとす
○○●●●○◎
○●●○○●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
尋芳登眺酒旗亭 芳を尋ね登眺す 酒旗の亭
風弄紅顔酔又醒 風は紅顔を弄し 酔ひて又醒む
池畔徘徊弓月白 池畔を徘徊すれば 弓月白く
東城遠望暮煙青 東城を遠望すれば 暮煙青し
○○○●●○◎
○●○○●●◎
○●○○○●●
○○●●●○◎
夭夭蔬菜満春田 夭夭たる蔬菜 春田に満ち
桃杏萬紅香気傅 桃杏萬紅 香気傅ふ
水碧風和鶯鳥地 水碧に風は和す 鶯鳥の地
霞流日暖養花天 霞流れ日は暖かに 養花の天
○○●●●○◎
○●●○○●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
老梅大樹掩柴門 老梅の大樹 柴門を掩い
白片翩翩酌緑樽 白片翩翩たり 緑樽を酌む
辞職悠悠無日月 職を辞して悠々 日月無く
庭花独占有乾坤 庭花独占して 乾坤有り
●○●●●○◎
●●○○○●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
青山翠黛午風疏 青山翠黛 午風疏なり
花笑鳥歌心自予 花笑い鳥歌い 心自ずと予ぶ
山上春雲如我懶 山上の春雲 我懶の如く
柳絲達処看跳魚 柳絲達す処 跳魚を看る
○○●●●○◎
○●●○○●◎
○●○○○●●
●○●●●○◎
紅樹青山春物菲 紅樹青山 春物菲に
深深胡蝶共霞飛 深深と胡蝶は 霞と共に飛ぶ
田園梅老鶯始出 田園の梅老いて 鶯始めて出で
三月夭夭燕未帰 三月は夭夭 燕未だ帰らず
○●○○○●◎
○○○●●○◎
○○○●○○●
○●○○●●◎
煙渚桃花三両枝 煙渚に桃花 三両枝
春江水暖鴨先知 春江水暖きこと 鴨先ず知る
蓬蒿満地蘆芽短 蓬蒿満地 蘆芽短く
正是黄砂帯雨吹 正に是れ黄砂 雨を帯びて吹く
○●○○○●◎
○○●●●○◎
●○●●○○●
●●○○●●◎
南風吹雨悩遊人 南風雨を吹いて 遊人を悩まし
満地新泥換細塵 満地新泥 細塵に換ふ
山上随風雲冉冉 山上風に随って 雲冉冉と
誰知我更嬾如春 誰か知る我更に 嬾きこと春の如し
○○○●●○◎
●●○○●●◎
○●○○○●●
○○●●●○◎
紅桃花下倚池亭 紅桃の花下 池亭に倚り
vv鶯聲煙外聽 vvたる鶯聲 煙外に聽く
短短菰蒲沙岸白 短短たる菰蒲 沙岸は白く
江州水暖遠山青 江州水暖み 遠山青し
○○○●●○◎
●●○○○●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
東畔垂絲対晩暉 東畔に絲を垂れ 晩暉に対し
春江黙釣謝塵機 春江黙釣し 塵機を謝す
人生万事身難料 人生万事 身料り難く
老懶行蔵計易非 老懶の行蔵 計非なり易し
○●○○●●◎
○○●●●○◎
○○●●○○●
●●○○●●◎
雲断風消煙雨収 雲断ち風消え 煙雨収まり
柳陰小艇釣魚舟 柳陰に小艇 釣魚の舟
汀洲春暖水愈静 汀洲春暖く 水愈々静かに
翠黛浮波山自幽 翠黛波に浮んで 山自ずと幽なり
○●○○○●◎
●○●●●○◎
○○○●○○●
●●○○○●◎
江浦山青草方滋 江浦山青く 草方に滋り
孤帆水碧白鴎随 孤帆水碧に 白鴎随ふ
夕陽淡淡籠花影 夕陽淡淡と 花影を籠め
棹月春風度柳枝 月棹さし春風は 柳枝を度る
○●○○●●◎
○○●●●○◎
●○●●○○●
●●○○●●◎
三月湖邊江色新 三月湖邊 江色新に
年年衰病釣魚人 年年衰病 釣魚の人
長堤泥土猶含凍 長堤の泥土 猶凍を含み
竹外桃花已帯春 竹外桃花 已に春を帯ぶ
○●○○○●◎
○○○●●○◎
○○○●○○●
●●○○●●◎
柳塘池畔上旗亭 柳塘池畔 旗亭に上る
四望倚欄天地青 欄に倚て四望すれば 天地青し
極目春光花淡淡 極目春光 花は淡淡
寒煙漠漠水冷冷 寒煙漠漠と 水は冷冷
●○○●●○◎
●●●○○●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
山青風暖曲江邊 山青く風暖に 曲江の邊
煙渚蓑翁一釣垂 煙渚に蓑翁 一釣垂る
春水魚跳吹浪処 春水に魚跳り 浪を吹く処
砂洲葭藪柝芽時 砂洲の葭藪 芽を柝く時
○○○●●○◎
○●○○●●◎
○●○○○●●
○○○●●○◎
花堤春浦遠山微 花堤春浦 遠山微に
東畔草頭春物菲 東畔の草頭 春物菲なり
四望晴江青靄散 晴江を四望すれば 青靄散じ
魚肥水上白鴎飛 魚肥え水上に 白鴎飛ぶ
○○○●●○◎
○●●○○●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
江東三月暮迢迢 江東三月 暮迢迢
馥郁桃花春意饒 馥郁たる桃花 春意饒し
清友酔顔同酩酊 清友酔顔 同く酩酊
逸人吟歩共逍遥 逸人吟歩し 共に逍遥す
○○○●●○◎
●●○○○●◎
○●●○○●●
●○○●●○◎
飛雪紛粉暖復消 飛雪紛粉 暖復た消え
春眠驚夢風蕭蕭 春眠夢驚て 風蕭蕭たり
砂洲鷺鳥沈寒水 砂洲の鷺鳥 寒水に沈み
岸柳繊糸掃短橋 岸柳の繊糸 短橋を掃う
○●○○●●◎
○○○●●○◎
○○●●○○●
●●○○●●◎
瓦霜飢雀散寒空 瓦霜の飢雀 寒空に散じ
麦隴畔頭田舎翁 麦隴の畔頭に 田舎の翁
料峭疎風還結凍 料峭たる疎風 還た凍を結び
霏霏細雨復沾叢 霏霏たる細雨 復た叢を沾す
●○●●●○◎
●●●○○●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
江東三月峭寒催 江東三月 峭寒催し
馥郁梅梢鶯不来 馥郁たる梅梢に 鶯来らず
斑斑長堤枯草緑 斑斑と長堤に 枯草緑に
今朝雨霽凍雲開 今朝雨霽れて 凍雲開く
○○○●●○◎
●●○○○●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
花雨霏霏暗緑陰 花雨霏霏と 緑陰暗し
遠林靄靄暮鐘音 遠林靄靄と 暮鐘の音
春風吹柳誰敲戸 春風柳を吹いて 誰か戸を敲き
一夜聲喧客抱衾 一夜聲喧しく 客衾を抱く
○●○○●●◎
●○●●●○◎
○○○●○○●
●●○○●●◎
汀沙漠漠昼沈沈 汀沙漠漠として 昼沈沈たり
百草菲菲桃李陰 百草菲菲たり 桃李の陰
造物無心花外盡 造物心無く 花外に盡き
憑誰闍サ雨中深 誰に憑て闍サ 雨中に深し
○○●●●○◎
●●○○○●◎
●●○○○●●
○○○●●○◎
園林苔緑雨潜潜 園林の苔緑に 雨潜潜
淡靄黛青江上山 淡靄は黛青たり 江上の山
遠望香城微一髪 香城を遠望すれば 微に一髪
陌頭柳影碧千鬟 陌頭の柳影 碧千鬟
○○○●●○◎
●●●○○●◎
●●○○○●●
●○●●●○◎
春風吹雨柳芽黄 春風雨を吹いて 柳芽黄に
満路新濡苔蘚蒼 満路新に濡れ 苔蘚蒼たり
水畔模糊朝瞑色 水畔は模糊として 朝瞑の色
花眠桃李去来香 花眠り桃李 去来の香
○○○●●○◎
●●○○○●◎
●●○○○●●
○○○●●○◎
恵雨山裾長野芹 恵雨山裾に 野芹長じ
春風万里草薫薫 春風万里 草薫薫たり
東城水渚垂垂柳 東城の水渚に 垂垂の柳
西湖波心細細紋 西湖の波心に 細細の紋
●●○○●●◎
○○●●●○◎
○○●●○○●
○●○○●●◎
春雨霏霏欲透衣 春雨霏霏として 衣に透らんと欲し
霧煙流墨遠村微 霧煙墨を流し 遠村微なり
苗肥麦隴人東作 苗肥え麦隴に 人東に作し
膏湿園花雁北帰 膏園花を湿し 雁北に帰る
○●○○●●◎
●○○●●○◎
○○●●○○●
○●○○●●◎
朶朶横斜梅影中 朶朶横斜す 梅影の中
放香紅白淡煙籠 香を放って紅白 淡煙籠む
春光湿湿江堤雨 春光湿湿たり 江堤の雨
柳糸繊繊野岸風 柳糸繊繊たり 野岸の風
●●○○○●◎
●○○●●○◎
○○●●○○●
●●○○●●◎
天地濛濛緑水涯 天地濛濛と 緑水の涯
四簷細細雨如絲 四簷細細と 雨絲の如し
幽斎寂寂春猶静 幽斎寂寂と 春猶を静かに
莫怨陽陽白日遅 怨む莫れ陽陽たる 白日遅しと
○●○○●●◎
●○●●●○◎
○○●●○○●
●●○○●●◎
著吐軽煙柳色移 著く軽煙を吐いて 柳色移り
濯枝細細雨来時 枝を濯って細細と 雨来る時
遊人闢ヌ因慵廃 遊人闢ヌ 慵に因って廃し
花睡鶯眠与静期 花睡り鶯眠りて 静を期す
●●○○●●◎
●○●●●○◎
○○○●○○●
○●○○●●◎