歳晩秋霜髪有華 歳晩秋霜 髪に華有り
生涯反省思無邪 生涯反省 思邪無し
今宵暦盡嚢垂缺 今宵暦盡き 嚢は缺に垂れんとし
晨賀新春酒不余 晨賀新春 酒余らず
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煙波半露路悠悠 煙波半露 路は悠悠
往時蹉踞不可救 往時蹉踞 求むべからず
我恨故友生有別 我は恨む故友 生きて別れ有り
人忙残歳更難留 人は忙し残歳 更に留め難し
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歳晩貧窮嚢裡寒 歳晩貧窮 嚢裡寒く
酒盃一夜百憂寛 酒盃一夜 百憂寛なり
生来非力甘蟲臂 生来非力 蟲臂に甘んじ
不慙無官任鼠肝 無官を慙じず 鼠肝に任す
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霜鬢窮陰炉上煙 霜鬢窮陰 炉上の煙
朝来暮去怯増年 朝来り暮去り 年の増すを怯る
今宵携酒無人訪 今宵酒を携え 人の訪ふ無く
抱膝寒燈獨不眠 膝を抱え寒燈に 獨り眠らず
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四時冬日歳将終 四時冬日 歳将に終らんとし
西復東流無一功 西復た東に流れ 一功無し
今夕富家猶是幻 今夕富家は 猶是れ幻
明年労力不為空 明年の労力 空と為さじ
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終年計拙一無儲 終年計拙く 一も儲無し
新歳愁深六十余 新歳愁深し 六十余
白髪功名誰興競 白髪功名 誰と興にか競わん
盃盤野望自相屠 盃盤野望 自ら相い屠る
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乗闔鞄報初陽 閧ノ乗じ至日 初陽を報ず
凍雀無聲瓦上霜 凍雀聲無く 瓦上の霜
待望寒梅何處発 待望す寒梅 何處にか発すと
東籬橘柚満庭香 東籬橘柚 満庭香し
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南至寒風淅淅吹 南至寒風 淅淅と吹き
北園橘柚在霜枝 北園橘柚 霜枝に在り
黄梅晩照纔添線 黄梅晩照 纔に線を添え
白髪無言已半絲 白髪無言 已に半ば絲なり
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過日鳩相入欧洲 過日鳩相 欧洲に入り
約盟合意最多愁 約盟合意 最も愁多し
百年治世裴公望 百年の治世 裴公の望
目先安心范老憂 目先の安心 范老の憂
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故友西辞久臥痾 故友西に辞して 久しく痾に臥し
厳寒東国獨悲歌 厳寒の東国に 獨り悲歌
洛陽春告書来少 洛陽春告ぐる 書来る少く
僻里霜威木落多 僻里霜威 木落る多し
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老懶蒼顔白髪催 老懶蒼顔に 白髪催し
須臾謝世疾如雷 須臾に世を謝す 疾きこと雷の如し
闍女{素詩千首 闍盾オ素を養い 詩千首
坊市談玄酒一杯 坊市に玄を談じ 酒一杯
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萬畳空山黄葉飛 萬畳の空山に 黄葉飛び
千尋淵湛錦鱗肥 千尋の淵湛に 錦鱗肥ゆ
青蛾淡墨寒煙積 青蛾淡墨 寒煙積り
丹目飢鴉遠樹稀 丹目の飢鴉 遠樹稀なり
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黄鐘迎暖碧蕪新 黄鐘暖を迎え 碧蕪新たに
紅線添長行酒頻 紅線長を添え 酒を行る頻なり
一酔覚寒傷歳晩 一酔寒を覚え 歳晩を傷み
闥書信寄情親 闥信を書いて 情親を寄す
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江村日没晦蒼蒼 江村日没 晦蒼蒼たり
窓外風前柚放香 窓外風前に 柚香を放つ
半夜難成詩警策 半夜成り難し 詩の警策
寒宵易陥酒顛狂 寒宵陥り易し 酒の顛狂
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至日友朋携酒来 至日友朋 酒を携えて来る
清談佳会酔徘徊 清談佳会 酔うて徘徊
繁霜草木凍将折 繁霜草木 凍って将に折れんとするも
節已新陽暖獨回 節已に新陽 暖獨り回る
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一路山蒼凍鳥饑 一路山蒼く 凍鳥饑え
橙黄橘緑晩風飛 橙黄に橘緑に 晩風飛ぶ
長年貧困難賄酒 長年貧困 酒を賄い難く
懶老無資不得帰 懶老資無く 帰るを得ず
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日暮林疎霜葉紅 日暮れ林疎に 霜葉紅く
天寒啼禽響丁東 天寒く啼禽 響丁東
梅梢皎皎臨庭月 梅梢皎皎と 庭に臨む月
竹外松涛入屋風 竹外に松涛 屋に入る風
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地凍寒風淅淅吹 地凍り寒風 淅淅として吹き
木凋枯葉在霜枝 木凋み枯葉 霜枝に在り
竹籬煙沈鴉翻早 竹籬に煙沈んで 鴉翻ること早く
廣野孤峰雁過遅 廣野孤峰に 雁過ること遅し
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愛日冬暄已夕陽 愛日冬暄く 已に夕陽
蝋梅破蕾竹籬傍 蝋梅蕾を破る 竹籬の傍
寒軽出郭山烟碧 寒軽く郭を出れば 山烟碧に
宵近渡頭江霧黄 宵近く渡頭 江霧黄なり
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潜魚波面雨冥冥 潜魚の波面に 雨冥冥
寒雀喧啼落遠汀 寒雀喧啼し 遠汀に落つ
茅屋黄柑仍故節 茅屋の黄柑 仍を故節
坡頭水草出新青 坡頭の水草 新青を出す
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小春江路夕陽村 小春江路 夕陽の村
短日山城野雀喧 短日山城に 野雀喧し
負暖荒田看鶴立 暖を負い荒田に 鶴の立つを看て
上煙茅屋見鴉翻 煙上る茅屋に 鴉の翻るを見る
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紅塵彩霞路三叉 紅塵彩霞 路三叉
黄葉枯霜日欲斜 黄葉霜に枯れ 日は斜ならんと欲す
山痩寒風騰俊鶻 山痩せ寒風に 俊鶻騰り
林疎凍樹立飢鴉 林疎に凍樹に 飢鴉立つ
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荷盡傲霜枯木枝 荷盡き霜に傲る 枯木の枝
雨過江凍雲移 雨過ぎ江に 凍雲移る
菊残負暖小春節 菊残り暖を負う 小春の節
楓老乗晴一陽時 楓老い晴に乗じる 一陽の時
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蕭殺枯林凍雀飛 蕭殺す枯林に 凍雀飛び
寒煙山淡遠微微 寒煙山淡く 遠く微微たり
勧君一膳魚羹飯 君に勧む一膳 魚羹の飯
室内無用鶴羽衣 室内無用 鶴毛の衣
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楊月迎寒籬菊荒 楊月寒を迎えて 籬菊荒れ
孟冬析地満林霜 孟冬地を析き 満林の霜
空晴山翠楓翻赤 空晴れ山は翠に 楓は赤を翻し
愛日江蒼橘帯黄 愛日江は蒼く 橘は黄を帯ぶ
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皎皎月光山更青 皎皎たる月光に 山は更に青く
吟朋共酔臥長瓶 吟朋共に酔って 長瓶を臥す
厳霜蕭殺寒猶滴 厳霜蕭殺し 寒猶を滴り
衣重囲炉筆硯霊 衣重く炉を囲んで 筆硯霊なり
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天寒白屋水邊村 天寒く白屋 水邊の村
夕景蒼山霜日瞑 夕景の蒼山 霜日瞑し
月淡煙沈妨極目 月淡く煙沈み 極目を妨げ
砧聲蕭蕭易消魂 砧聲蕭蕭 魂を消し易し
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紅染冬陽映浅沙 紅に染め冬陽 浅沙に映じ
黄柑茅屋乱飛鴉 黄柑の茅屋に 乱飛の鴉
囲炉飲酒WW煖 炉を囲み酒を飲み WWとして煖かに
窓外寒風猟猟斜 窓外に寒風 猟猟として斜なり
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病怯新寒冷透肌 病は新寒に怯え 冷肌を透し
繁霜凛凛髭成絲 繁霜凛凛 髭は絲を成す
南窓老懶當書案 南窓に老懶 書案に當り
北帝侵門入酒卮 北帝門を侵して 酒卮に入る
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空庭枯蔦掩柴扉 空庭に枯蔦 柴扉を掩い
寒樹蕭條紅葉稀 寒樹蕭條 紅葉稀なり
鳴壁晩鴉多自落 壁に鳴く晩鴉 多く自ら落ち
敲窓凍雀不停飛 窓を敲く凍雀 飛ぶを停めず
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風生老樹葉聲寒 風生じ老樹 葉聲寒し
遥想鳳城楓錦残 遥に想う鳳城 楓錦残すと
若輩休言官職易 若輩言うを休めよ 官職易しと
衰翁莫道友朋難 衰翁道う莫れ 友朋難しと
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