碧桐黄変報秋枝 碧桐黄変し 秋を報じる枝
煙沈西江日落時 煙沈むに西江 日落る時
城外蕭蕭聞急杵 城外蕭蕭 急杵を聞き
涼風淅淅怯軽稀 涼風淅淅 軽衣を怯る
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残蝉餞暑坐高楼 残蝉暑を餞し 高楼に坐す
蕭颯涼風豁酔眸 蕭颯たる涼風 酔眸を豁す
院塔金輪争向夕 院塔の金輪 夕に向って争い
郊墟霜菊已先秋 郊墟の霜菊 已に秋に先つ
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西郊黄葉聴蟲吟 西郊黄葉 蟲吟を聴き
爽気青山塵外心 爽気青山 塵外の心
遊策長堤回歩履 長堤を遊策し 歩履を回へし
秋風颯颯散衣襟 秋風颯颯と 衣襟を散ず
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天階夜色月随人 天階夜色 月人に随い
江渚水寒秋気新 江渚水寒く 秋気新なり
孤枕回頭愁裏酔 孤枕頭を回す 愁裏の酔
疎鐘屈指客中貧 疎鐘指を屈す 客中の貧
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星影凄凄秋未深 星影凄凄 秋未だ深からず
雨痕寂寂帯愁斟 雨痕寂寂 愁いを帯びて斟む
吟鬚夢繞残燈下 吟鬚夢繞る 残燈の下
客鬢心飛月夜砧 客鬢心飛ぶ 月夜の砧
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爽気雲容秋色加 爽気雲容に 秋色加わり
碧花露滴遶籬芭 碧花露滴り 籬芭を遶る
送涼雨後山新痩 涼を送る雨後 山新に痩せ
孤月商光日自斜 孤月商光 日自ら斜なり
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銀河皎皎照人愁 銀河は皎皎と 人の愁いを照らし
珠露今宵百尺楼 珠露今宵は 百尺の楼
夜色沈沈孤燭暗 夜色沈沈と 孤燭暗く
天階窓外数蛍流 天階窓外に 数蛍流る
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双星白露月如輪 双星白露 月は輪の如く
一寸槐花秋気新 一寸の槐花 秋気新なり
夢繞老衰雙鬢雪 夢は繞る老衰 雙鬢の雪
心飛旺時両京塵 心は飛ぶ旺時 両京の塵
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年年一度渡明河 年年一度 明河を渡り
銀燭秋光江上波 銀燭秋光 江上の波
暑退田園巣燕少 暑退き田園に 巣燕少く
天澄樹影病蝉多 天澄み樹影に 病蝉多し
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蟋蟀郊墟切切鳴 蟋蟀は郊墟に 切切と鳴き
商聲已冷入秋驚 商聲已に冷なり 秋に入て驚く
頃年若輩無衣食 頃年の若輩 衣食無く
失職浮浪仗友生 失職浮浪し 友生に仗る
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荷老天容秋意深 荷老い天容に 秋意深く
柳衰夜色碧昏昏 柳衰え夜色に 碧昏昏
邊城雲漢横残月 邊城の雲漢は 残月に横り
嫋嫋林風続暮砧 嫋嫋たる林風 暮砧に続く
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隠退長年事静虚 隠退して長年 静虚を事とし
門前垂柳葉飛初 門前の垂柳 葉飛ぶの初め
残炎衰病晝眠晩 残炎に衰病 晝眠晩く
醒寤蕭條秋鬢疎 醒寤蕭條 秋鬢疎なり
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雲色渡河天漢長 雲色河を渡り 天漢長し
客心夢繞路茫茫 客心夢は繞り 路茫茫
商聲梧落秋偏早 商聲梧落ち 秋偏に早く
蟋蟀悲悲夜轉涼 蟋蟀は悲悲と 夜轉た涼し
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水長素昊已秋風 水長く素昊 已に秋風
暑退桐飛炎熱空 暑退き桐飛んで 炎熱空し
田圃蜻蛉蛩響畔 田圃に蜻蛉 蛩響の畔
晩林双雉葉聲中 晩林の双雉 葉聲の中
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夜来餞暑雨聲悲 夜来暑を餞す 雨聲悲し
颯颯梧桐葉落時 颯颯と梧桐 葉落る時
懶出誰家闔n見 出るに懶く誰家ぞ 閧ﾉして始めて見る
如何孤独老方知 孤独を如何せん 老いて方に知る
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碧澄千里大江流 碧澄み千里 大江流れ
月照橋頭百尺楼 月は照す橋頭 百尺の楼
入夜失威三伏暑 夜に入り威を失う 三伏の暑
蛩聲喞喞一天秋 蛩聲喞喞 一天の秋
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残熱微風八月秋 残熱微風 八月の秋
暮煙明月泛舟遊 暮煙明月 舟を泛べて遊ぶ
吟鬚戴酒方乗興 吟鬚酒を戴せ 方に興に乗じ
客鬢高歌亦解愁 客鬢高歌して 亦愁いを解く
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雨過千峯風動波 雨千峯を過ぎ 風波を動し
泛江日落奈愁何 江に泛ぶ日落ち 愁を奈何せん
蜻蛉稲穂夕陰冷 蜻蛉は稲穂に 夕陰冷かに
蟋蟀一聲秋意多 蟋蟀一聲 秋意多し
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山光灑灑水蒼蒼 山光灑灑 水蒼蒼
如消江天没夕陽 消るが如く江天に 夕陽没す
鏡面悠悠迎月浄 鏡面悠悠と 月の浄きを迎え
前庭緑影送風涼 前庭の緑影 風の涼きを送る
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橋邊爽気自生風 橋邊爽気 自ずと風を生じ
山接青霄一水通 山は青霄に接して 一水通ず
闌q軽舟朱檻外 閧ﾉ繋ぐ軽舟 朱檻の外
蟹肥白鷺緑洲中 蟹肥え白鷺 緑洲の中
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明月生涼到半宵 明月涼を生じ 半宵到り
微風感興緩吹蕭 微風興を感じ 緩に蕭を吹く
小楼夜静詩始就 小楼夜静に 詩始めて就り
残照如秋酒殆消 残照秋の如く 酒殆ど消ゆ
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白日高空溽暑侵 白日空に高く 溽暑侵し
一林疎竹坐清陰 一林疎竹 清陰に坐す
紗衣病體嫌山峭 紗衣の病體 山の峭きを嫌い
林影池泉愛水深 林影池泉 水の深きを愛す
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香山峭塔白雲横 香山峭塔 白雲横わり
高閣涼多洗俗情 高閣涼多く 俗情を洗う
夢到書堂移枕簟 夢書堂に到りて 枕簟を移し
桐陰清潤閉柴荊 桐陰清潤 柴荊を閉じる
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緑槐荒逕入空山 緑槐荒逕 空山に入り
千仭巌前不可攀 千仭の巌前 攀るべからず
仰看峯頭雲杳杳 峯頭を仰ぎ看れば 雲杳杳
清泉洗却水潺潺 清泉洗却し 水潺潺
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江上乱雲八月天 江上に乱雲 八月の天
午風高枕曲肱眠 午風枕を高くし 肱を曲げて眠る
幽居不来紅塵客 幽居来らず 紅塵の客
石蘚青青緑樹煙 石蘚青青 緑樹の煙
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青影空山紫翠重 青影空山 紫翠重なり
白雲出壑少人蹤 白雲壑を出て 人蹤少なし
緑苔松葉憑風掃 緑苔の松葉 風に憑って掃い
樵婦収蕎倩水舂 樵婦蕎を収めて 水に倩って舂く
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吉野香城山四圍 吉野の香城 山四圍
緑槐高處避炎威 緑槐高處 炎威を避く
晩涼月照蚊雷息 晩涼月照し 蚊雷息み
飛湍風清蛍火微 飛湍風清くして 蛍火微なり
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電掣雷轟雨覆盆 電掣雷轟 雨盆を覆し
晩来枕簟頗宣人 晩来り枕簟 頗る人に宣し
洗塵活死簷前樹 塵を洗い死を活す 簷前の樹
濡壁蝉吟屋漏痕 濡壁に蝉吟 屋漏の痕
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赤日炎炎烈似焚 赤日炎炎と 烈なること焚くに似たり
農夫欲雨廃耕耘 農夫雨を欲して 耕耘を廃す
微微涼気生団扇 微微たる涼気 団扇に生じるも
緑樹青青聳夏雲 緑樹青青 夏雲聳ゆ
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筑西溽暑起炎風 筑西溽暑 炎風起り
心力将窮半酔中 心力将に窮らんと 半酔の中
大地稲苗枯欲死 大地稲苗 枯れて死せんと欲し
曲肱隠几病眠翁 肱を曲げ几に隠る 病眠の翁
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旱天雲雨竟虚無 旱天雲雨 竟に虚無
斗室如湯不可居 斗室湯の如く 居るべからず
赫赫煎沙三伏日 赫赫と沙を煎る 三伏の日
葛衣座甑半心枯 葛衣甑に座して 半心枯れる
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