午雲猛雨洗乾坤 午雲猛雨 乾坤を洗い
向晩追涼月一痕 晩に向い涼を追い 月一痕
友来前樽開笑頬 友来り樽を前に 笑頬開き
蘇生爽気換愁魂 生を蘇らす爽気 愁魂を換う
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暑如酷吏迫都城 暑は酷吏の如く 都城に迫り
社樹病蝉先有聲 社樹に病蝉 先ず聲有り
白汗流顔心未死 白汗顔を流るも 心未だ死せず
半宵風動早涼生 半宵風動いて 早涼生ず
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朱明赫赫醉醺醺 朱明赫赫 醉て醺醺
俄爾雷聲烏失群 俄爾雷聲 烏群を失う
風急傾盆三伏雨 風急に盆を傾け 三伏の雨
暗天翻墨五山雲 暗天墨を翻す 五山の雲
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烏雲翻墨起炎空 烏雲墨を翻し 炎空に起る
一陣跳珠釜甑中 一陣珠を跳す 釜甑の中
竹動沛然三伏雨 竹動き沛然と 三伏の雨
疾雷俄爾九秋風 疾雷俄爾に 九秋の風
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蒼松十丈黒雲回 蒼松十丈 黒雲回り
白雨油然酒百杯 白雨油然と 酒百杯
一時疾風跳乱雹 一時の疾風 乱雹跳り
千山魑魅吼奔雷 千山の魑魅 奔雷吼ゆ
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白雨油然滌暑氛 白雨油然と 暑氛を滌い
疾風流墨臥看雲 疾風墨を流し 臥して雲を看る
殷如乱鼓雷聲動 殷たること乱鼓の如く 雷聲動き
斗室何来幾萬軍 斗室何ぞ来るや 幾萬の軍
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溽暑炎塵気鬱蒸 溽暑炎塵 気鬱蒸
如峯如火轉難勝 峯の如く火の如く 轉た勝え難し
煩襟座瓶心頭熱 煩襟瓶に座して 心頭熱し
隠几高眠又不能 几に隠て高眠 又能わず
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高天爽気亦全無 高天爽気 亦全く無く
流汗蒸煩悩病躯 流汗蒸煩 病躯悩む
裸體蚊雷群擾擾 裸體に蚊雷 群れて擾擾
夜陰小飲苦中娯 夜陰に小飲 苦中の娯み
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長空赫赫火雲飛 長空赫赫 火雲飛び
溽暑蒸蒸透葛衣 溽暑蒸蒸 葛衣を透す
多病衰年人困睡 多病衰年 人困睡し
街頭爛石往来稀 街頭石を爛し 往来稀なり
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扇頭能有幾多風 扇頭能く有るや 幾多の風
夜至依然午熱同 夜至るも依然 午熱に同じ
病骨尋涼遊物外 病骨涼を尋ね 物外に遊び
江西片月在城中 江西の片月 城中に在り
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赤帝驕隆日日増 赤帝驕隆 日日に増し
午天汗滴苦炎蒸 午天汗滴り 炎蒸に苦しむ
林蝉焼火枯将盡 林蝉火に焼れ 枯れて将に盡きんとし
夜熱妨眠人憶氷 夜熱眠を妨げ 人は氷を憶う
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七月長空只火雲 七月長空 只火雲
早苗欲枯午天殷 早苗枯れんと欲し 午天殷なり
煎沙大地久無雨 沙を煎る大地に 久しく雨無く
頭上紅炉烈似焚 頭上の紅炉 烈なること焚くに似たり
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西城溽暑汗如殊 西城溽暑 汗殊の如く
隠几午眠愁病躯 几に隠れ午眠 病躯を愁う
慰渇晩餐添酒味 渇を慰す晩餐に 酒味を添えるも
無風矮屋任衣濡 風無く矮屋に 衣濡うに任す
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千形萬象恰如焼 千形萬象 恰も焼るが如く
大地生霊炎暑空 大地生霊 炎暑空し
擾擾蒼蠅過砌下 擾擾たる蒼蠅 砌下を過ぎ
敖敖赤日起雲中 敖敖たる赤日 雲中に起る
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雨霽蒸蒸透葛衣 雨霽れ蒸蒸と 葛衣に透り
驕陽日午熾炎威 驕陽たる日午 炎威熾なり
橋西桜樹蝉方急 橋西桜樹 蝉方に急に
赫赫畏天鴉未帰 赫赫たる天を畏れ 鴉未だ帰らず
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木槿花開朝露涼 木槿花開き 朝露涼し
初晴遊客上池堂 初めて晴れ遊客 池堂に上る
白雲連岳亭亭翠 白雲連岳 亭亭として翠に
紅脂風荷冉冉香 紅脂風荷 冉冉と香し
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日落今宵山更青 日落ち今宵 山更に青く
月移寂漠渚昏冥 月移って寂漠 渚は昏冥たり
捕魚掠水栖沙鷺 魚を捕んと水を掠む 栖沙の鷺
繚乱如星照闇蛍 繚乱星の如く 照闇の蛍
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連陰如霧雨肥梅 連陰霧の如く 雨梅を肥す
懶出蕭條欝不開 出ずるに懶く蕭條と 欝開かず
屋漏長菌書産蟲 屋漏菌を長じ 書蟲を産ず
窓紗蒼翠剣生苔 窓紗蒼翠 剣は苔を生ず
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緑波魚散水生紋 緑波魚散じ 水紋を生ず
江渚子規啼入雲 江渚子規 啼いて雲に入る
浴後湖亭頻勧酒 浴後湖亭に 頻に酒を勧め
窓昏月裡再論文 窓昏月裡 再び文を論ず
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連日梅天細雨中 連日梅天 細雨の中
江村水漲緑濛濛 江村水漲り 緑濛濛
客稀倚几書千卷 客稀に几に倚り 書千卷
寂寂桐陰蔬幾叢 寂寂たる桐陰に 蔬幾叢
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両岸龍孫緑一斉 両岸の龍孫 緑一斉
切風燕子稲秧畦 燕子風を切る 稲秧の畦
冥冥翠雨迷人眼 冥冥たる翠雨 人眼を迷わし
漫漫黄泥没馬蹄 漫漫たる黄泥 馬蹄を没す
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長江潮動白帆行 長江潮動いて 白帆行き
暑雨初過翠靄生 暑雨初めて過ぎて 翠靄生ず
欺玉豊肌霑露重 玉を欺く豊肌 露に霑いて重く
揺波弱骨得風清 波に揺れる弱骨 風を得て清し
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烏雲翻墨大江隈 烏雲墨を翻す 大江の隈
過雨油然洗緑苔 過雨油然と 緑苔を洗う
殷殷雷聲駆暑去 殷殷たる雷聲 暑を駆って去り
流蛍繚乱遂涼来 流蛍繚乱 涼を遂って来る
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都府東山曙色催 都府東山 曙色催し
神泉境内絶塵埃 神泉境内 塵埃を絶す
睡蓮冉冉如霜白 睡蓮冉冉と 霜の白きが如く
碧扇田田喜雨来 碧扇田田と 雨の来るを喜ぶ
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松月尋涼上酒船 松月涼を尋ね 酒船に上る
池心浮水謝塵縁 池心水に浮んで 塵縁を謝す
横行天下忘言士 天下に横行す 忘言の士
何用民叢不語仙 何ぞ民叢より用いん 不語の仙
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残月青山白皎然 残月は青山に 白皎然たり
前川漂泊釣魚船 前川に漂泊す 釣魚の船
波揺橋脚影浮水 波揺いで橋脚の 影水に浮び
雲染暁陽光帯煙 雲染り暁陽 光は煙を帯ぶ
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暑雨初過枝欲垂 暑雨初めて過ぎ 枝垂れんと欲し
風江潮動意無涯 風江潮動き 意涯り無し
日長未止三杯酒 日長く未だ止まず 三杯の酒
宵短難成一篇詩 宵短く成り難し 一篇の詩
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頻雨苔衣十里塘 頻雨苔衣 十里の塘
青青新筍水亭涼 新筍は青青 水亭涼し
南薫払面清風足 南薫面を払って 清風足り
睡瞼芙蓉良夢長 睡瞼の芙蓉 良夢長し
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西山白玉月明天 西山に白玉 月明の天
柳影青冥浸碧漣 柳影青冥と 碧漣に浸す
蓮葉田田浮水上 蓮葉田田と 水上に浮び
荷花冉冉曲風前 荷花冉冉と 風前に曲たり
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暗香風動別天開 暗香風動いて 別天開き
過日故人侵暁来 過日故人 暁を侵して来る
夢繞青春真遠矣 夢繞る青春 真に遠き矣
酔顔白髪亦宣哉 酔顔白髪 亦た宣なる哉
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清晨湖水白参差 清晨湖水に 白参差たり
一陣南風払面吹 一陣の南風 面を払って吹く
翠扇時揺花落処 翠扇時に揺れて 花落る処
芙蓉含露雨来時 芙蓉露を含んで 雨来る時
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