重畳花王白皎然 重畳の花王 白皎然たり
垂藤千紫艶陽天 垂藤千紫 艶陽の天
春風弄袖衣巾爽 春風袖を弄して 衣巾爽かに
嫩緑如羅草木鮮 嫩緑羅の如く 草木鮮なり
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山路蒼天国色誇 山路蒼天 国色誇る
脱塵一宇梵王家 脱塵一宇 梵王の家
淡紅数朶蜂営蜜 淡紅数朶に 蜂蜜を営み
繍佛階前僧掃花 繍佛の階前に 僧花を掃う
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月下沈沈夜寂寥 月下沈沈と 夜は寂寥
簾邊封鬱更傾瓢 簾邊に鬱を封じ 更に瓢を傾く
花王凋落春先去 花王凋落し 春先ず去り
微酔徘徊夢已消 微酔し徘徊すれば 夢已に消ゆ
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花吐軽陰春可憐 花は軽陰を吐き 春憐れむ可し
月移樹影酔芳莚 月は樹影を移り 芳莚に酔う
牡丹爛漫紅為幕 牡丹爛漫と 紅幕を為し
新緑鮮明青作氈 新緑鮮明 青氈と作す
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春宵吟歩酒中仙 春宵吟歩す 酒中の仙
風軟愁眠夜寂然 風軟に愁眠 夜寂然たり
幽閣牡丹花爛漫 幽閣の牡丹 花爛漫
曲窓雲白月嬋娟 曲窓に雲白く 月嬋娟
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西江老鷺睡汀洲 西江の老鷺 汀洲に睡り
東野青峰映碧流 東野の青峰 碧流に映ず
国艶吐芳紅白発 国艶芳を吐て 紅白発し
梨花淡白入春愁 梨花淡白 春愁に入る
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霧雨霏霏紅欲流 霧雨霏霏 紅流れんと欲す
遊人参集牡丹楼 遊人参集す 牡丹楼
今宵携酒花前飲 今宵酒を携え 花前に飲み
近看芳姿自惹愁 近く看る芳姿 自と愁を惹く
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江城麗艶杏花塵 江城麗艶 杏花の塵
夜色多情悩殺人 夜色多情 人を悩殺す
月下坐吟詩思晩 月下坐吟す 詩思の晩
風前酔臥夢魂春 風前酔臥す 夢魂の春
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春城皎皎月娟娟 春城皎皎 月娟娟
樹吐軽陰詩酒莚 樹は軽陰を吐く 詩酒の莚
国艶欲燃狂上下 国艶燃えんと欲して 上下に狂い
随風片片落花前 風に随い片片と 落花の前
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風吐清香花影揺 風は清香を吐き 花影揺ぐ
春宵月轉夜蕭蕭 春宵月轉じ 夜蕭蕭たり
酔人為枕書千巻 酔人枕と為す 書千巻
雅客微吟酒一瓢 雅客微吟す 酒一瓢
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夜雨霏霏浄絶塵 夜雨霏霏と 浄くして塵を絶つ
如膏潤葉是芳辰 膏の如く葉を潤おし 是れ芳辰
尋香不覚人人酔 香を尋ね覚えず 人人酔い
花片吹樽處處春 花片樽に吹き 處處春なり
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待月風来日欲昏 月を待って風来り 日は昏れんと欲す
聴鐘雅客繞芳園 鐘を聴いて雅客 芳園を繞り
青燈戯蝶時飛散 青燈に戯蝶 時に飛び散じ
紅片翩翩落酒樽 紅片翩翩と 酒樽に落つ
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爛紅芍薬任風揺 爛紅の芍薬 風に任せて揺れ
萬緑芭蕉映水飄 萬緑の芭蕉 水に映じて飄る
残葉千株桜已去 残葉の千株 桜已に去り
紫藤一朶漸蕭條 紫藤一朶 漸く蕭條
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今朝雨止披雲霞 今朝雨止んで 雲霞を披く
江碧天青野水涯 江碧に天青く 野水の涯
酔舞桜花千片雪 酔舞す桜花 千片の雪
春光柿葉一重紗 春光柿葉 一重の紗
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春宵淡月轉嬋娟 春宵淡月 轉た嬋娟
藤下芳筵酔欲顛 藤下芳筵 酔いて顛ぜんと欲す
雅調吟身才自老 雅調吟身 才自ずと老い
花陰冷艶色偏妍 花陰冷艶 色偏に妍なり
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花外青天春已闌 花外青天 春已に闌なり
東風吹柳水漫漫 東風柳を吹いて 水漫漫
桜邊散乱同惆悵 桜邊散乱 同じく惆悵
紅薬如燃且喜歓 紅薬燃える如く 且つ喜歓
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花吐軽陰掩四隣 花は軽陰を吐き 四隣を掩う
朦朧淡月帝城春 朦朧たる淡月 帝城の春
嬌紅片片無風碎 嬌紅は片片と 風無くして碎け
柳翠繊繊浸水新 柳翠は繊繊と 水に浸して新なり
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花裡沈沈月度園 花裡沈沈と 月園を度る
春宵一刻別乾坤 春宵一刻 別乾坤
香風吹送飄衣袂 香風吹き送って 衣袂を飄へし
紅片含情落酒樽 紅片情を含んで 酒樽に落つ
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菜圃海棠丹似緋 菜圃の海棠 丹は緋に似たり
紫雲連岳緑成緯 紫雲岳に連なり 緑緯を成す
鋤田播種人東作 田を鋤き種を播いて 人東作し
黄鳥喧聲燕未帰 黄鳥喧聲 燕未だ帰らず
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夕陽寂寂照梨花 夕陽寂寂と 梨花を照らし
緑陰映紅春色奢 緑陰紅に映え 春色奢る
東圃荒畦牛歩緩 東圃の荒畦 牛歩緩く
江城路郭酒旗斜 江城の路郭 酒旗斜なり
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春風莫定翠娟娟 春風定め莫く 翠娟娟
欺雪梨園白皎然 雪を欺く梨園 白皎然
野水夭夭芳草岸 野水夭夭 芳草の岸
遠山満目杏花天 遠山満目 杏花の天
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騒人岸上望烟霞 騒人岸上に 烟霞を望む
冷艶香風白雪葩 冷艶香風 白雪の葩
聲鋭流鶯驚客意 聲鋭く流鶯 客意を驚かし
闍癆樗ッ酔桜花 闍痰フ白髪 桜花に酔う
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梨花淡白入春愁 梨花淡白 春愁に入り
桃李嬌妍紅欲流 桃李嬌妍 紅流れんと欲す
新緑映霞山色変 新緑霞に映じ 山色変じ
曲江潭府水華浮 曲江潭府 水華浮かぶ
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満園風暖獨徘徊 満園風暖に 獨徘徊す
片片桜花拂面来 片片と桜花 面を拂て来る
絮絮飛時香靄靄 絮絮飛時 香靄靄
騒人雅客折枝回 騒人雅客 枝を折て回る
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流霞如雪散芳葩 流霞雪の如く 芳葩を散ず
不覚香風酔歩斜 覚えず香風 酔歩斜めなり
桜下緑羅千斛酒 桜下緑羅に 千斛の酒
春酣仰看一城花 春酣に仰ぎ看る 一城の花
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似霞淡白満山桜 霞に似て淡白 満山の桜
遠望青郊百囀鶯 遠望す青郊 百囀の鶯
積翠園中千樹艶 積翠の園中 千樹艶かに
堆紅江畔一天明 堆紅の江畔 一天明なり
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霧雨暁晴春色回 霧雨暁に晴れ 春色回る
尋芳片片蝶飛来 芳を尋ねて片片と 蝶飛び来る
夭桃欲染花心折 夭桃染めんと欲して 花心折れ
艶杏如燃柳眼開 艶杏燃えるが如く 柳眼開く
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爛漫桜花映日妍 爛漫の桜花 日に映じて妍に
遊人酔客酒旗前 遊人酔客 酒旗の前
長堤柳影條條翠 長堤の柳影 條條翠りに
水曲嬌紅片片燃 水曲の嬌紅 片片と燃ゆ
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千里春雲白杏天 千里春雲 白杏の天
紫峰如黛淡於煙 紫峰黛の如く 煙より淡し
桃花爛漫紅為幕 桃花爛漫 紅幕を為し
麦隴流紋青作氈 麦隴紋を流して 青氈を作す
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