柳條初放剰寒侵 柳條初めて放ち 剰寒侵す
雪裡縦横下凍禽 雪裡縦横 凍禽下る
闘草懶叙春水浅 闘草叙るに懶く 春水浅く
軽舟漠漠雨中深 軽舟は漠漠と 雨中に深し
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蝋梅落地長春芽 蝋梅地に落ち 春芽長ず
二月江西寒意加 二月江西 寒意加わる
風動花魁香寂漠 風動き花魁 香寂漠と
月移雪骨影横斜 月移り雪骨 影横斜たり
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節浅凄凄春未回 節浅く凄凄 春未だ回らず
霜禽欲下峭寒催 霜禽下らんと欲し 峭寒催す
暗香帯雨蘭芽吐 暗香雨を帯び 蘭芽吐き
疎影横斜柳眼開 疎影横斜し 柳眼開く
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陰雲万里水迢迢 陰雲万里 水は迢迢
疎樹春寒気寂寥 疎樹春寒 気は寂寥
麦隴花遅風淅淅 麦隴花遅く 風は淅淅
江頭柳困雨蕭蕭 江頭柳困しみ 雨は蕭蕭
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疎枝風動薄寒生 疎枝に風動き 薄寒生ず
細細春波雨乍晴 細細たる春波 雨乍ち晴
梅吐暗香花寂漠 梅は暗香を吐き 花は寂漠
江邊柳発水縦横 江邊に柳発し 水は縦横
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陰雲万里已春風 陰雲万里 已に春風
柳嫩鶯黄煙雨中 柳嫩鶯黄 煙雨の中
休道江梅吟髪白 道うを休めよ江梅 吟髪白しと
傾觴俳歩酔顔紅 觴を傾け俳歩すれば 酔顔紅なり
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二月寒空日易斜 二月寒空 日斜なり易く
三春霽月上梅花 三春霽月 梅花に上る
脱塵未信蓬心累 脱塵未だ信ぜず 蓬心累ると
超俗誰疑葆鬢加 超俗誰か疑う 葆鬢加るを
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郊路奇寒満地霜 郊路奇寒 満地霜たり
簾邊痩影一枝香 簾邊痩影 一枝香し
似氷玉骨花含笑 氷に似て玉骨 花笑を含み
皓皓瓊姿月弄光 皓皓たる瓊姿 月光を弄す
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細雨南梅朶朶新 細雨南梅 朶朶新たなり
暖風馥郁欲薫人 暖風馥郁と 人を薫ぜんと欲す
千峯靄靄遅遅日 千峯靄靄 遅遅たる日
一路黄花寂寂春 一路黄花 寂寂たる春
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薄暮登桜村又村 薄暮桜に登り 村又村
斜陽照頬立黄昏 斜陽頬を照し 黄昏に立つ
闍瘰シ苑梅千点 闍痰オ西苑に 梅千点
微酔東山月一痕 微酔し東山に 月一痕
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梅花爛漫至南枝 梅花爛漫 南枝に至る
春暖東風脈脈吹 春暖かに東風 脈脈と吹く
冐雪暗香方動処 雪を冐して暗香 方に動く処
凌霜清影始生時 霜を凌いで清影 始めて生ずる時
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前園柳眼報春開 前園の柳眼 春を報じて開く
二月和風野水隈 二月和風 野水の隈
融氷陽光回凍草 氷を融して陽光 凍草に回り
尋香黄鳥上晴梅 香を尋ねて黄鳥 晴梅に上がる
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二月旋風春一番 二月旋風 春一番
黄砂舞上淡烟村 黄砂舞上る 淡烟の村
逃迷雀鳥聲環屋 逃げ迷う雀鳥 聲は屋を環り
破蕾江梅影映門 破蕾江梅 影は門に映ず
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少飲忘寒酔瞼丹 少飲寒を忘れ 酔瞼丹し
人生勿笑遇時難 人生笑う勿れ 時に遭うは難し
自知才劣安吾分 自ら才の劣るを知り 吾分に安ず
休道斯心愧小官 道うを休めよ斯の心 小官を愧ずと
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暖律蔵香梅一枝 暖律香を蔵す 梅一枝
庭莚引友酒三壺 庭莚友を引く 酒三壺
当年駭目老髯白 当年目を駭し 老髯白く
今夕驚心吟骨痩 今夕心を驚し 吟骨痩す
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賓客暁鶯枝上啼 賓客暁鶯 枝上に啼き
春風雲別各東西 春風雲別れ 各東西
書帷案下残燈暗 書帷案下 残燈暗く
窓外清明片月低 窓外清明 片月低す
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梅蕾迎春又一年 梅蕾春を迎て 又一年
欲帰指北雁連天 帰らんと欲し北を指して 雁天に連る
人生汲汲山川旧 人生汲汲と 山川旧り
守拙孜孜歳月遷 拙を守って孜孜と 歳月遷る
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辞職三年輿世忘 職を辞して三年 世を忘れ
不知春色入新陽 知らず春色 新陽に入る
風光万象雲千変 風光万象 雲千変
畢竟人生夢一場 畢竟人生 夢一場
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薄暮雲煙高又低 薄暮に雲煙 高又低
江邊古樹凍禽啼 江邊の古樹 凍禽啼く
闍癧ュ悵遅春恨 闍癧ュ悵す 遅春の恨
微酔傷心昨夢迷 微酔して傷心 昨夢の迷い
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春風料峭鳥聲寒 春風料峭と 鳥聲寒し
今夕傾觴心自寛 今夕觴を傾け 心自ずと寛なり
翰墨詩篇凭案坐 翰墨詩篇 案に凭って座す
丹青文藻把燈看 丹青文藻 燈を把って看る
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立春一日読書堂 立春一日 読書の堂
何刻西窓已夕陽 何の刻か西窓 已に夕陽
机上典墳燈下暗 机上の典墳 燈下暗し
寒宵沸鼎酒邊香 寒宵鼎沸き 酒邊に香し
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同袍携樽共囲炉 同袍樽を携え 共に炉を囲む
小飲清歓詩酒娯 小飲清歓 詩酒の娯み
忘刻耽談思不盡 刻を忘れ談に耽り 思盡きず
聲名停羨道途殊 聲名羨を停めよ 道途殊なり
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二月今朝特地寒 二月の今朝 特地に寒なり
何奇会友涙蘭干 何と奇ぞ友に会う 涙蘭干
休憂白首残生事 憂を休めよ白首 残生の事
聞道紅顔行路難 聞く道らく紅顔 行路難しと
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一枝梅蕾峭寒天 一枝梅蕾 峭寒の天
霜中紅花亦可憐 霜中紅花 亦憐れむ可し
句句敲詩書帳下 句句詩を敲く 書帳の下
篇篇呵筆火爐前 篇篇筆を呵す 火爐の前
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立春吟宴不堪題 立春の吟宴 題するに堪えず
料峭園林緑未斉 料峭と園林 緑未だ斉しからず
白髪愧躯蒼欝欝 白髪躯を愧じて 蒼欝欝
紅梅惜吐晩凄凄 紅梅吐くを惜んで 晩凄凄
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朝来暮去立庭隅 朝来り暮去り 庭隅に立つ
萬物秋霜寒透膚 萬物秋霜 寒は膚を透る
冬日蝋梅黄惨淡 冬日の蝋梅 黄惨淡
凍雲暁雪白模糊 凍雲暁雪 白模糊たり
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城館寒燈路寂寥 城館の寒燈 路は寂寥
霜侵浦口晩蕭蕭 霜は浦口を侵し 晩蕭蕭たり
満天黯淡梅枝痩 満天黯淡 梅枝痩せ
淅瀝回風雪意驕 淅瀝たる回風 雪意驕る
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銀界成堆雪圧梅 銀界堆を成して 雪は梅を圧し
鼎潮撥盡動炉灰 鼎潮して撥えば盡く 炉灰動く
千林枯木僵将析 千林枯木 僵れて将に析んとし
万戸柴門凍不開 万戸柴門 凍りて開かず
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