渚煙白鷺泛寒州 渚煙に白鷺 寒州に泛ぶ
沙岸蒼茫水自悠 沙岸は蒼茫として 水自から悠なり
短草疎疎随地合 短草は疎疎として 地に随って合し
長江漠漠著天流 長江は漠漠として 天に著て流る
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乱雲薄暮望江南 乱雲薄暮 江南を望む
寒浦冥蒙雪意酣 寒浦冥蒙として 雪意酣なり
岸上飢猪迷暗逕 岸上の飢猪 暗逕に迷い
波間釣糸漾晴潭 波間の釣糸 晴潭に漾う
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空江浪立晩風生 空江浪立て 晩風生ず
蘆岸冥蒙宿鳥驚 蘆岸冥蒙 宿鳥驚く
野市帰鴉飛稍重 野市の帰鴉 飛で稍や重く
長州敗葉散還軽 長州の敗葉 散て還た軽し
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斜陽光静碧波澄 斜陽光静に 碧波澄み
浅瀬澱流水欲氷 浅瀬の澱流 水氷らんと欲す
白鷺啄魚翻夕浪 白鷺魚を啄で 夕浪を翻し
青蓑停棹洒寒燈 青蓑棹を停め 寒燈に洒ぐ
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釣艇空江停短橈 釣艇空江に 短橈を停む
前山宿霧白蕭蕭 前山宿霧 白蕭蕭
鴉聲対岸疎逾響 鴉聲対岸より 疎にして逾響き
凍水橋南薄易消 凍水橋南に 薄くして消え易し
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斜日揺揺夕影多 斜日揺揺と 夕影多く
漁夫曝背棹舟過 漁夫背を曝して 舟に棹して過ぐ
孤舟青笠霜侵鬢 孤舟の青笠 霜は鬢を侵し
獨釣寒江雪満蓑 獨り釣る寒江に 雪は蓑に満つ
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凍日霜威勢転厳 凍日霜威 勢転た厳なり
陰雲垂垂雨繊繊 陰雲垂垂 雨繊繊
飢鴉点点聴飄瓦 飢鴉点点と 瓦に飄るを聴き
白髪紛粉若撤塩 白髪紛粉と 塩を撤くが若し
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寒空玉樹響蕭蕭 寒空玉樹 響蕭蕭
凍日尋伽雪片飄 凍日伽を尋ね 雪片飄る
頭上霜飛毛髪痩 頭上霜飛んで 毛髪痩せ
瀑中氷結石渓凋 瀑中氷結んで 石渓凋む
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江上蒼茫薄暮天 江上蒼茫たり 薄暮の天
窮陰散白雪翩翩 窮陰白を散じ 雪翩翩
庭前寒雀走留跡 庭前の寒雀 走て跡を留め
飢色野猫鳴乞憐 飢色の野猫 鳴て憐みを乞う
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霜威裂膚不禁寒 霜威膚を裂き 寒に禁えず
凍雀叩窓披戸看 凍雀窓を叩き 戸を披て看る
急雪舞来風渺渺 急雪舞い来りて 風は渺渺
乱雲降下水漫漫 乱雲降下し 水は漫漫
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眼前一水玉樓臺 眼前に一水 玉樓臺
江上飄風払面来 江上に飄風 面を払て来る
敗葉紛粉飛散乱 敗葉紛粉と 飛で散乱
飢鴉點點立徘徊 飢鴉點點と 立て徘徊
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陰雲低蓋重千斤 陰雲低く蓋い 重さ千斤
夜来銀花復達晨 夜来銀花 復晨に達す
白玉成推三尺雪 白玉推を成す 三尺の雪
紅梅未上一枝春 紅梅未だ上らず 一枝の春
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朝来暮去暁雲紅 朝来り暮去り 暁雲紅なり
料峭裂肌窓外風 料峭と肌を裂く 窓外の風
東岳春光疎処漏 東岳の春光 疎処に漏れ
前庭凍水暖邊融 前庭の凍水 暖邊に融く
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山堂眺望有遺蹤 山堂眺望すれば 遺蹤有り
石磴松門対雪峯 石磴松門 雪峯に対す
趺坐虚心人却健 趺坐虚心 人却て健に
余生塵外事多慵 余生塵外 事多く慵し
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風霰如刀一段奇 風霰刀の如く 一段と奇なり
窓前月白照書帷 窓前月白く 書帷を照らす
残燈凍影魂銷夜 残燈凍影 魂銷る夜
暁角鶏聲夢破時 暁角鶏聲 夢破る時
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満地皚皚霜気清 満地皚皚と 霜気清し
寒更淅淅酒頻傾 寒更に淅淅と 酒頻に傾く
照窓斜仄月無色 窓を照し斜仄す 月に色無し
穿戸入吹風有聲 戸を穿て入り吹く 風に聲有り
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悄然獨坐不眠時 悄然と獨坐し 眠らざる時
凍影凝陰寒裂肌 凍影凝陰 寒肌を裂く
浅酌低吟心事在 浅酌低吟 心事在り
誰憐寂漠鬢毛知 誰憐む寂漠 鬢毛知る
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隆冬融雪一瓶烹 隆冬雪を融し 一瓶烹る
漏凍移時知畿更 漏凍時を移て 知ぬ畿更ぞ
夜永炉煙倫有焔 夜永炉煙に 倫に焔有り
天寒燈下却無聲 天寒燈下 却て聲無し
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寒侵獨夜一燈明 寒侵す獨夜 一燈明かなり
市井沈沈犬吠聲 市井沈沈と 犬吠る聲
風死雲低霜気重 風死に雲低く 霜気重く
陰天漆黒雪花軽 陰天漆黒 雪花軽し
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繙書静読夜寒侵 書を繙き静に読むに 夜寒侵す
沸鼎芳香酒不禁 鼎沸き芳香 酒は禁ぜず
向月飢鴉翻凍影 月に向て飢鴉 凍影を翻し
打窓枯葉堕孤音 窓を打つ枯葉 孤音堕す
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鶏聲東曙未明時 鶏聲東曙 未明の時
暁色西山凍月移 暁色西山に 凍月移る
侵夢早鶯来得得 夢を侵して早鶯 来りて得得
戴星梅蕾故遅遅 星を戴て梅蕾 故に遅遅
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誰憐寂漠月流西 誰か憐む寂漠と 月は西に流れ
玉井無聲寒暁閨 玉井聲無く 暁閨寒し
一穂青燈鳴茶鼎 一穂青燈 茶鼎鳴き
五更白夜凍禽啼 五更白夜 凍禽啼く
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炊烟流景古江東 炊烟流景 古江の東
飢雀無聲進晩風 飢雀聲無く 晩風に進む
凍月沈沈霜夜永 凍月沈沈と 霜夜永く
銀花片片散寒空 銀花片片と 寒空に散る
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水村霞白暮煙封 水村霞白く 暮煙封じ
火閤爐紅落燼重 火閤爐紅に 落燼重なる
沸沸湯鳴霜蟹美 沸沸と湯鳴いて 霜蟹美に
挑燈埋瓶社酒濃 挑燈埋瓶 社酒濃に
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春風賀客在樽前 春風賀客 樽前に在り
祝酒幾回泥酔眠 祝酒幾回か 泥酔して眠る
醒悟黄昏愁鬢改 黄昏に醒悟し 鬢の改るを愁い
挑燈紅燭喜家全 紅燭を挑燈し 家の全きを喜ぶ
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千門旭日満春城 千門旭日 春城に満ち
四海和風瑞気生 四海和風 瑞気生ず
白髪先歓知病減 白髪先ず歓ぶ 病の減ずるを知り
挙觴嬉笑覚心平 觴を挙げ嬉笑 心の平なるを覚ゆ
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東風千里気佳哉 東風千里 気佳き哉
椒酒三杯酔幾回 椒酒三杯 酔幾回す
梅蕾疎枝春意動 梅蕾の疎枝に 春意動き
百門爆竹市聲来 百門に爆竹 市聲来る
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東君送暖帝城春 東君暖を送る 帝城の春
椒気和風物候新 椒気和風 物候新なり
昨日壮歳今已老 昨日の壮歳 今已に老い
当年衰耗不縁貧 当年の衰耗 貧に縁らず
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旭日晴霞滄海東 旭日晴霞 滄海の東
春風万里五雲中 春風万里 五雲の中
郷書去歳多新鬼 郷書去歳 新鬼多し
椒酒今年獨老翁 椒酒今年 獨老翁
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青帝和風春正帰 青帝和風 春正に帰る
朱顔賀客掃柴扉 朱顔の賀客 柴扉を掃う
今朝重歳方知命 今朝歳を重て 方に命を知り
白髪何時自覚非 白髪何の時か 自ら非を覚る
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晨賀迎賓進酒卮 晨賀迎賓 酒卮を進む
千門萬戸立春時 千門萬戸 立春の時
恵風微暖花猶未 恵風微暖 花猶未し
鳳暦余寒力不支 鳳暦余寒 力支えず
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