水雲暗暗苦低垂 水雲暗暗 低垂を苦む
風雨凄凄葉上吹 風雨凄凄 葉上に吹く
悴色空山蔵狡兔 悴色の空山 狡兔を蔵し
孤村林樹嘯寒鴟 孤村の林樹に 寒鴟嘯く
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身在寒烟宿雁啼 身は寒烟に在て 宿雁啼く
江邊藪沢一枝栖 江邊藪沢 一枝の栖
沿階迷来翅垂雨 階に沿て迷来り 翅は雨に垂れ
墜地低頭飢啄泥 地に墜ち頭を低れ 飢て泥を啄む
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地白庵庭虫語中 地白く庵庭 虫語の中
牀前獨酔老衰翁 牀前獨り酔う 老衰の翁
如垂細絲秋江雨 垂る如き細絲 秋江の雨
暗夜無聲一葉風 暗夜聲無く 一葉の風
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江上陰雲秋色哀 江上陰雲 秋色哀たり
梧桐葉落雨聲催 梧桐葉落ちて 雨聲催す
沈沈積潦滴還歇 沈沈と積潦 滴ちて還た歇み
繙帙未眠捲復開 帙を繙き未だ眠らず 捲いて復た開く
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白露清涼彼岸秋 白露清涼 彼岸の秋
碧空渺渺棹軽舟 碧空渺渺 軽舟に棹す
林邱過雁揺疎影 林邱の過雁 疎影を揺がし
皎皎金波織細流 皎皎たる金波 細流を織る
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晴陰秋色満江城 晴陰秋色 江城に満つ
汀曲無人積水清 汀曲に人無く 積水清し
月魄蕎花今夜白 月魄蕎花 今夜白
万珠沙華映波明 万珠沙華 波に映じて明なり
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懐郷無奈髭成斑 懐郷奈とする無く 髭班を成す
濁酒三盃涙自潜 濁酒三盃 涙自ずと潜たり
妻子相思為客久 妻子相思い 客と為る久しく
今日一別羨君還 今日一別 君の還るを羨む
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皎皎江天秋月高 皎皎たる江天 秋月高し
蕭蕭灯下酔芳醪 蕭蕭たる灯下 芳醪に酔う
捲簾風掃霜迎面 簾を捲けば風掃い 霜は面を迎へ
倚檻微吟冷透袍 檻に倚りて微吟 冷は袍に透す
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碧水陰雲動遠空 碧水陰雲 遠空に動く
江城秋色老梧桐 江城秋色 梧桐老ゆ
孤舟一繋蕭蕭雨 孤舟一繋 蕭蕭の雨
燕子磯頭淅淅風 燕子磯頭に 淅淅の風
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玉露人煙暮色催 玉露人煙 暮色催し
寒衣抱酒獨登台 寒衣酒を抱いて 獨り台に登る
白雲明月一以眺 白雲明月 一に以て眺め
黒漆庭聲正堪哀 黒漆庭聲 正に哀むに堪たり
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江村老女采桑黄 江村の老女 桑黄を采り
刈稲衰翁農事忙 稲を刈る衰翁 農事忙し
日傾人煙粧暮景 日傾き人煙 暮景を粧い
東籬野菊噴残香 東籬の野菊 残香を噴く
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僻巷江村水稲香 僻巷江村に 水稲香り
烟郊気爽立新涼 烟郊気爽かに 新涼に立つ
蕎花野色三分白 蕎花野の色は 三分の白
霜葉山光一半黄 霜葉山の光は 一半の黄
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樹影無蝉秋社前 樹影に蝉無く 秋社の前
村童農叟楽豊年 村童農叟 豊年を楽しむ
刈禾東圃鴉偸橘 禾を刈る東圃に 鴉橘を偸み
日傾西汀女採蓮 日傾く西汀に 女蓮を採る
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村静西郊霜葉丹 村静かに西郊 霜葉丹し
江城秋色帯愁看 江城秋色 愁を帯て看る
荻花淡淡荷初盡 荻花淡淡 荷初て盡き
碧蘚微微菊半残 碧蘚微微 菊半ば残す
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橘柚放香秋満空 橘柚香を放ち 秋空に満つ
梧桐葉落夜蕭蕭 梧桐葉落ち 夜蕭蕭
中庭仰見千家月 中庭仰ぎ見る 千家の月
孤客高樓一坐風 孤客高樓 一坐の風
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長江風雨一凄凄 長江の風雨 一に凄凄たり
漠漠霞煙十里堤 漠漠たる霞煙 十里の堤
斜徑植蕎黄葉落 斜徑に蕎を植え 黄葉落ち
平田刈稲紫峰西 平田に稲を刈る 紫峰の西
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長堤緩歩水雲重 長堤緩歩すれば 水雲重り
颯颯吟風開鬱胸 颯颯と風に吟じ 鬱胸を開く
摘橘村童秋暑浅 橘を摘む村童 秋暑浅く
収禾農女暮煙濃 禾を収む農女 暮煙濃なり
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星河過雁異郷心 星河過雁 異郷の心
銀燭秋光月影沈 銀燭秋光 月影沈む
玉露凋傷思遠道 玉露凋傷 遠道を思い
砧聲燈火動愁吟 砧聲燈火 愁吟を動す
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今宵如水冷生秋 今宵水の如く 冷は秋を生じ
寒気吹来嘆弊裘 寒気吹き来り 弊裘を嘆く
残月西郊光耿耿 残月西郊に 光耿耿たり
蟲聲切切響啾啾 蟲聲切切 響啾啾たり
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蝉聲驚冷夕陽沈 蝉聲冷に驚き 夕陽沈む
蟋蟀啾啾秋未深 蟋蟀啾啾 秋未だ深からず
珠露涼風催晩景 珠露涼風 晩景を催し
銀河雁影動帰心 銀河雁影 帰心を動かす
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長江雨歇更悠悠 長江雨歇み 更に悠悠
日陰涼生又早秋 日陰涼を生じ 又早秋
碧落群青山吐月 碧落群青 山は月を吐き
城邊夜色水明樓 城邊夜色 水は樓に明たり
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風収東嶺暮雲稠 風収り東嶺に 暮雲稠し
日落西江万里流 日落ち西江 万里流る
千樹疎疎秋淡淡 千樹疎疎として 秋淡淡たり
三更璧月夜啾啾 三更璧月 夜啾啾たり
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紫峰西野絹江流 紫峰の西野に 絹江流れ
村女清籬又早秋 村女籬を清し 又早秋
颯颯黄波禾半熟 颯颯たる黄波 禾半ば熟し
林邱紅葉雨初収 林邱に紅葉 雨初めて収る
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月色沈沈獨自斟 月色沈沈 獨り自ら斟む
客心懐郷二毛侵 客心懐郷 二毛侵し
蟲吟遠聴悲年老 蟲吟遠くに聴き 年老るを悲しむ
母慕難禁語夜深 母慕を禁じ難く 夜深に語る
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荷衰江北惨秋陰 荷衰え江北に 秋陰惨たり
病骨峰南旅恨深 病骨峰南に 旅恨深し
窓外凄凄無過雁 窓外凄凄 過雁無く
六更寂寂奈孤吟 六更寂寂 孤吟を奈せん
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早秋已冷獨登樓 早秋已に冷え 獨り樓に登る
深巷眼前燈火幽 深巷眼前に 燈火は幽に
満目銀河光耿耿 満目銀河 光耿耿たり
蛩聲喞喞響啾啾 蛩聲喞喞 響啾啾たり
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荷衰応候暑威収 荷衰え候に応じ 暑威収まる
爽節送涼梧葉秋 爽節涼を送る 梧葉の秋
素昊風清雲漠漠 素昊風清く 雲は漠漠
長江雨後水悠悠 長江雨後 水は悠悠
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臥看双星九月秋 臥して看る双星 九月の秋
月光耿耿雨初収 月光耿耿 雨初めて収まる
千山寒露樹黄葉 千山寒露 樹は黄葉
一夜蕭霜人白頭 一夜蕭霜 人は白頭
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碧花暑退遶籬笆 碧花暑退いて 籬笆を遶る
白露秋澄冷気加 白露秋澄んで 冷気加わる
樹影病蝉随葉墜 樹影に病蝉 葉に随って墜ち
雁聲夕日趁雲斜 雁聲に夕日 雲を趁って斜めなり
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江邨颯颯早秋初 江邨颯颯 早秋の初め
爽節吟魂事静虚 爽節吟魂 静虚を事とす
掩屋桐飛蝉有語 屋を掩って桐飛び 蝉に語有り
侵窓新月雁無書 窓を侵して新月 雁に書無し
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