夜来雷聲天際聞 夜来雷聲 天際に聞く
濁流迫岸水生紋 濁流岸に迫り 水は紋を生ず
傾盆滌地無乾土 盆を傾け地を滌い 乾土無く
素昊雨餘有断雲 素昊雨餘 断雲有り
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蛩聲喞喞夜漸長 蛩聲喞喞 夜漸く長く
賓雁啾啾月欲霜 賓雁啾啾 月霜ならんと欲す
三伏残炎身共痩 三伏の残炎 身共に痩せ
立秋風度意先涼 立秋風度り 意先ず涼し
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西郊暁色起秋風 西郊暁色 秋風起る
東圃農耕田舎翁 東圃農耕 田舎の翁
満地露凝髭欲白 満地露凝り 髭白ならんと欲し
半天梧散葉多紅 半天梧散り 葉多く紅なり
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紫峰煙雨足秋陰 紫峰煙雨 秋陰足る
草露侵衣傷客心 草露衣を侵し 客心傷む
織女牽牛吟蟋蟀 織女牽牛 蟋蟀吟じ
一盃緑酒夜偏深 一盃の緑酒 夜偏に深し
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処暑涼生月色清 処暑涼生じ 月色清なり
今宵寂寂促愁情 今宵寂寂と 愁情を促す
浅紅楚楚秋冥菊 浅紅楚楚と 秋冥菊
蟋蟀郊墟切切鳴 蟋蟀郊墟に 切切と鳴く
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秋至江邨葉未疎 秋至り江邨 葉未だ疎ならず
夜涼閉戸臥看書 夜涼戸を閉め 臥して書を看る
人生積歳多衰疾 人生積歳 衰疾多く
病骨詩懐有隠居 病骨詩懐 隠居有り
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暑退碧空天漢長 暑退き碧空に 天漢長し
涼生月冷動清商 涼生じ月冷かに 清商動く
悲愁無数世人老 悲愁無数 世人老い
慷慨多情吾輩狂 慷慨多情 吾輩狂う
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圃田漠漠薬苗衰 圃田漠漠と 薬苗衰え
餞暑蕭蕭葉落時 暑を餞し蕭蕭と 葉落つる時
玉露悲悲花欲語 玉露悲悲と 花は語らんと欲し
蛩聲切切月偏遅 蛩聲切切と 月偏に遅し
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残暑炎消半夢中 残暑炎消え 半夢の中
空天蕭颯動梧桐 空天蕭颯 梧桐に動く
雲容気冷蔵秋雨 雲容気冷かに 秋雨を蔵し
日色門前帯晩風 日色門前に 晩風を帯びる
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青嶂香城紫翠重 青嶂香城 紫翠重なり
白雲繞塔少人蹤 白雲塔を繞りて 人蹤少なり
空山竹雨時聴滴 空山竹雨 時に滴るを聴き
出壑松風別起峰 壑を出て松風 別に峰を起す
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暑滅長堤江上風 暑滅し長堤に 江上の風
涼来晩浦柳橋東 涼晩浦に来る 柳橋の東
開軒朝暮浣紗女 軒を開き朝暮 浣紗の女
日落移舟垂釣翁 日落ち舟を移す 垂釣の翁
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水影悠悠漫不流 水影悠悠と 漫として流れず
櫓聲切切使人愁 櫓聲切切と 人をして愁えしむ
漁翁白鷺双蓬鬢 漁翁と白鷺 双に蓬鬢
月照江天一釣舟 月は江天を照す 一釣の舟
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桐陰清潤雨初収 桐陰清潤 雨初めて収まる
石蘚青青碧水頭 石蘚青青と 碧水の頭
雲過千峰残暑退 雲は千峰を過ぎ 残暑退き
蛍飛一岸早涼流 蛍は一岸を飛び 早涼流る
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湖光一鑑泊船多 湖光一鑑 泊船多し
浄水溶溶漾緑波 浄水溶溶と 緑波漾う
残照柳渚沙鷺起 残照柳渚に 沙鷺起き
暮煙橋畔浴童歌 暮煙橋畔に 浴童歌う
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小楼灯影水泱泱 小楼の灯影 水泱泱
夜静臨流挙酒觴 夜静か流れに臨んで 酒觴を挙ぐ
雨歇勿消三伏熱 雨歇んで勿ち消ゆる 三伏の熱
月昇始覚一天涼 月昇り始めて覚ゆ 一天の涼
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長堤溽暑火雲焼 長堤溽暑 火雲焼く
爛石如湯魚子跳 石を爛らし湯の如く 魚子跳る
緑樹蝉鳴江水畔 緑樹蝉鳴く 江水の畔
蜻蛉上下為誰驕 蜻蛉上下し 誰が為に驕る
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山接青霄水浸空 山は青霄に接し 水は空を浸す
碧澄柳渚浪生風 碧澄む柳渚 浪は風を生じ
隔江対岸沙鴎静 江を隔て対岸の 沙鴎静なり
不動将欺垂釣翁 動ざること将に 垂釣の翁を欺く
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径蘚青青蹈石行 径蘚青青 石を蹈んで行く
禅房曲水繞階鳴 禅房の曲水 階を繞って鳴る
丹樓隔嶺無塵俗 丹樓嶺を隔て 塵俗なし
涼梵空山夢亦清 涼梵空山 夢亦清し
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一林疎竹倚清陰 一林の疎竹 清陰に倚る
闕ｿ読書物外心 闕ｿし書を読む 物外の心
夢到昼堂人不見 夢昼堂に到り 人見ず
田頭軽燕路難尋 田頭の軽燕に 路尋ね難し
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青青峰影似秋天 青青たる峰影 秋天に似たり
晩露涼風気爽然 晩露涼風 気は爽然
紅塵七賢来酒盞 紅塵の七賢 酒盞に来り
幾多駄作潤吟箋 幾多の駄作 吟箋を潤す
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阮K香城積翠関 閧ﾉ訪う香城 積翠の関
青苔薬逕歩林間 青苔薬逕 林間を歩す
立秋涼気蔵韜壑 立秋の涼気 蔵して壑に韜み
盡日清風布在山 盡日清風 布いて山に在り
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八月香山積翠濃 八月香山 積翠濃なり
松風飛湍樹千重 松風飛湍 樹千重
尋勝樵路心雖壮 勝を尋ね樵路 心壮と雖も
日落渓聲力已慵 日落ち渓聲 力已に慵し
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林影柴門暑漸微 林影柴門 暑漸く微なり
泉聲夏木避炎威 泉聲夏木 炎威を避く
松陰蝙蝠馴人過 松陰の蝙蝠 人に馴れて過ぎ
幽谷山雲掠塔飛 幽谷の山雲 塔を掠めて飛ぶ
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翻墨黒雲西復東 墨を翻す黒雲 西復た東
雷聲隠隠送清風 雷聲隠隠 清風を送る
須臾滌暑千山雨 須臾に暑を滌う 千山の雨
活死送涼歓不窮 死を活し涼を送る 歓窮らず
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雄風動竹黒雲回 雄風竹を動して 黒雲回り
喜雨油然酒百杯 喜雨油然 酒百杯
殷殷雷公駆暑去 殷殷と雷公 暑を駆って去り
清清明月遂涼来 清清と明月 涼を遂って来る
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暑如酷吏迫都城 暑酷吏の如く 都城に迫る
焚石林蝉喚雨鳴 石を焚く林蝉 雨を喚んで鳴く
一陣疾風吹樹急 一陣の疾風 樹を吹いて急なり
青天霹靂激雷聲 青天に霹靂 激雷の聲
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三伏炎炎赤日升 三伏炎炎 赤日升る
気蒸汗滴小窓憑 気蒸し汗滴り 小窓に憑る
衣沾避暑披襟處 衣沾い暑を避け 襟を披く處
午睡難眠臥曲肘 午睡眠り難く 肘を曲げて臥す
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電撃雷轟天際聞 電撃雷轟 天際に聞え
疾風沛雨水生紋 疾風沛雨 水紋を生ず
蝉吟斉止庭前樹 蝉吟斉止す 庭前の樹
翻墨被山嶺外雲 墨を翻し山を被う 嶺外の雲
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稲隴江村蝉噪喧 稲隴江村 蝉噪喧し
狂風一陣黒雲奔 狂風一陣 黒雲奔る
忽来冷気伊誰力 忽ち来る冷気 伊れ誰の力ぞ
驟雨油然洗睡昏 驟雨油然 睡昏を洗う
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百日紅花不染埃 百日紅花 埃に染まらず
青天峰上火雲堆 青天峰上に 火雲堆し
疾雷洗熱涼風動 疾雷熱を洗って 涼風動き
夕刻徐煩江月来 夕刻煩を徐いて 江月来る
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黒雲翻墨起炎空 黒雲墨を翻し 炎空に起る
白雨跳珠入屋中 白雨珠を跳らせ 屋中に入る
満地狂徒怒風伯 満地狂徒 風伯怒り
一天隠隠激雷公 一天隠隠と 雷公激す
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