暖日東都墨水頭 暖日の東都 墨水の頭
停舟西畔曲江楼 舟を停め西畔 曲江の楼
桜花爛漫三春興 桜花爛漫と 三春の興
歌楽高吟長夜遊 歌楽高吟 長夜の遊
●●○○●●◎
○○○●●○◎
○○●●○○●
○●○○●●◎
千里青山春色奢 千里青山 春色奢る
一川緑柳麗烟霞 一川の緑柳 烟霞麗し
雅遊白片悠揚蝶 雅遊す白片 悠揚の蝶
如酔紅桃爛漫花 酔うが如き紅桃 爛漫の花
○●○○○●◎
●○●●●○◎
●○●●○○●
○●○○●●◎
青山如黛杏花村 青山黛の如く 杏花の村 弥生三月杏桜天 弥生三月 杏桜の天 鶯声烟靄碧山巓 鶯声烟靄 碧山の巓 江路椿花丹似緋 江路の椿花 丹より緋に似たり 春宵酔月一閒夫 春宵月に酔う 一閒夫 江枝宿鷺水冷冷 江枝の宿鷺 水冷冷 三月青山色自夭 三月の青山 色自から夭し 春雨紅梅欲染衣 春雨の紅梅 衣を染めんと欲す 煙渚残梅花乱飛 煙渚残梅 花乱れ飛び 短短菰蒲芳草新 短短たる菰蒲 芳草新なり 東風吹雨悩遊人 東風雨を吹いて 遊人を悩ます 長堤雨霽好風吹 長堤雨霽れ 好風吹く 芹香江畔好風光 芹香り江畔に 好風光り 前園潤葉雨成霖 前園葉を潤して 雨霖を成す 細雨霏霏長野芹 細雨霏霏と 野芹長ず 催花膏雨緑苔斑 花を催す膏雨 緑苔斑に 無風細細濕臙脂 風無く細細と 臙脂を濕す 潤葉霏霏雨力微 葉を潤し霏霏と 雨力微なり 吟杖遊人惜寸陰 吟杖の遊人 寸陰を惜しみ 暖日江堤梅影中 暖日の江堤 梅影の中 陰雲万里暮迢迢 陰雲万里 暮迢迢 春浅寒宵冷気加 春浅く寒宵に 冷気加わる 籬畔紅梅乱點来 籬畔の紅梅 乱點して来る 節浅留寒千里風 節浅く寒を留む 千里の風 東風梅吐暗香清 東風梅は吐く 暗香清く 江頭三月入新陽 江頭三月 新陽に入る 春波江碧水迢迢 春波江碧に 水迢迢 東風梅発著春痕 東風梅発し 春痕を著く 山低寒月上梅花 山低く寒月 梅花に上がる
緑樹犬眠風日温 緑樹に犬眠り 風日温かなり
苔滑池頭疎影砕 苔滑かに池頭に 疎影は砕け
午鐘簾外鳥声繁 午鐘簾外に 鳥声繁し
○○○●●○◎
●●●○○●◎
○●○○○●●
●○○●●○◎
（赤い字は韻：十三元 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春爛漫
満目如雲花影煙 満目雲の如く 花影の煙
清艶欲燃春爛漫 清艶燃えんと欲して 春爛漫
芳香人酔月嬋娟 芳香に人酔い 月嬋娟
●○○●●○◎
●●○○○●◎
○●●○○●●
●○○●●○◎
（赤い字は韻：一先 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
弥生三月
蝶影高低春可憐 蝶影高低 春憐れむ可し
緑柳一川芳草岸 緑柳一川 芳草の岸
弥生三月杏花天 弥生三月 杏花の天
○○○●●○◎
●●○○○●◎
●●●○○●●
●○○●●○◎
（赤い字は韻：一先 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
椿花緋色
東城風暖換春衣 東城風暖かに 春衣に換う
陌頭緑草斑斑出 陌頭の緑草 斑斑と出で
胡蝶尋芳滑滑飛 胡蝶芳を尋ねて 滑滑と飛ぶ
○●○○○●◎
○○○●●○◎
●○●●○○●
○●○○●●◎（赤い字は韻：五微 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
不堪慙愧
覚冷幽斎夜読書 冷を覚え幽斎にて 夜書を読む
性向貧交身似隠 性向貧交にして 身は隠に似たり
生涯汲汲室無儲 生涯汲汲として 室に儲無し
○○●●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
（赤い字は韻：六魚 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春宵残月
梅散閒鴎下渚汀 梅散り閒鴎 渚汀に下る
十分春宵残月白 十分春宵 残月白く
橋南日落暮煙青 橋南に日落ち 暮煙青し
○○●●●○◎
○●○○●●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
（赤い字は韻：九青 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春雨招寒
春風吹送雨瀟瀟 春風は吹き送り 雨瀟瀟
不知新水添多少 知らず新水 添うること多少
梅冷尖寒暖復消 梅冷かに尖寒 暖復た消ゆ
○●○○●●◎
○○○●●○◎
●○●●○○●
○●○○●●◎（赤い字は韻：二蕭 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
長江春雨
汀沙漠漠草菲菲 汀沙は漠漠と 草は菲菲
竹林黄鳥惟思睡 竹林の黄鳥 惟睡を思い
煙渚双鴎亦懶飛 煙渚の双鴎 亦飛ぶに懶し
○●○○●●◎
○○●●●○◎
○○○●○○●
○●○○●●◎（赤い字は韻：五微 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春日垂釣
孤舟黙釣一蓑衣 孤舟黙し釣る 一蓑衣
水光瀲艶春陰重 水光瀲艶と 春陰重く
波影如輪晩照微 波影輪の如く 晩照微なり
○●●○○●◎
○○●●●○◎
●○●●○○●
○●○○●●◎（赤い字は韻：五微 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春堤踏青
汀洲水暖踏青人 汀洲水暖く 踏青の人
江天風軟遅遅日 江天風軟かに 遅遅たる日
自送流花寂寂春 自ら流花を送る 寂寂の春
●●○○○●◎
○○●●●○◎
○○○●○○●
●●○○●●◎（赤い字は韻：十一真 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
山紫水明
満路新泥換細塵 満路新泥 細塵換る
鴎睡山青心尚壮 鴎睡り山青く 心尚を壮に
魚肥江碧水愈春 魚肥え江碧に 水愈春なり
○○○●●○◎
●●○○●●◎
○●○○○●●
○○○●●○◎
（赤い字は韻：十一真 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
江村春水
煙渚催花芳草滋 煙渚花を催し 芳草滋し
南浦白梅春水漫 南浦の白梅 春水漫に
東城緑柳夕陽遅 東城の緑柳 夕陽遅し
○○●●●○◎
○●○○○●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
（赤い字は韻：四支 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
江上春望
柳影春波水満塘 柳影春波 水塘に満つ
隴麦清粧軽泛緑 隴麦清粧し 軽く緑を泛べ
菜花淡艶浅含黄 菜花淡艶 浅く黄を含む
○○○●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
●○●●●○◎
（赤い字は韻：七陽 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春霖
野鳥無声靄遠林 野鳥声無く 遠林靄たり
水曲池頭春悄悄 水曲池頭 春悄悄
山隈楼閣晩沈沈 山隈楼閣 晩沈沈
○○●●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
（赤い字は韻：十二侵 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春日江村
江汀漠漠水雲雲 江汀漠漠 水雲雲
鴛鴦春浦随波泛 鴛鴦春浦 波に随って泛び
鶯語高低隔柳聞 鶯語高低 柳を隔て聞く
●●○○●●◎
○○●●●○◎
○○○●○○●
○●○○●●◎（赤い字は韻：十二文 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春日午後
午下幽斎筆硯閒 午下の幽斎 筆硯閒なり
白髪微吟終日住 白髪微吟 終日住まい
紅顔小酌此身閑 紅顔小酌 此身閑なり
○○○●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
（赤い字は韻：十五刪 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春雨
春雨濛濛景物滋 春雨濛濛と 景物滋し
応候田園催草意 候に応じ田園 草意を催し
知時黄鳥上梅枝 時を知り黄鳥 梅枝に上がる
○○●●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
○○○●●○◎
（赤い字は韻：四支 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
農夫喜雨
江村南畝賞春菲 江村の南畝に 春菲を賞し
陌頭農談香菰熟 陌頭の農談 香菰熟すと
濃緑竹林早筍肥 濃緑の竹林に 早筍肥ゆ
●●○○●●◎
○○○●●○◎
●○○●○○●
○●●○●●◎（赤い字は韻：五微 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春遊
香風爛漫価千金 香風爛漫と 価千金
紫雲山遠銷春雪 紫雲山遠く 春雪銷え
紅色夕陽洒暮林 紅色の夕陽 暮林に洒ぐ
○●○○●●◎
○○●●●○◎
○○○●○○●
●●○○●●◎（赤い字は韻：十二侵 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春風万里
陰雲万里酔春風 陰雲万里 春風に酔う
垂楊黄鴨浮前浦 垂楊黄鴨 前浦に浮かび
天外煙光動遠空 天外の煙光 遠空に動く
●●○○○●◎
○○●●●○◎
○○○●○○●
○●○○●●◎（赤い字は韻：一東 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春夜憂鬱
料峭焚香夜寂寥 料峭と香を焚き 夜寂寥
獨坐沈沈愁鬱結 獨坐沈沈と 鬱結を愁い
寒燈淡淡恐蕭條 寒燈淡淡と 蕭條を恐る
○○●●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
（赤い字は韻：二蕭 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春雨
山陰雲黒雨斜斜 山陰に雲黒く 雨斜斜
草花點點生虚壁 草花點點と 虚壁に生じ
飢鳥哀哀走白沙 飢鳥哀哀と 白沙に走る
○●○○●●◎
○○○●●○◎
○○●●○○●
●●○○●●◎（赤い字は韻：六麻 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
菜種花開
江堤黄菜報春開 江堤の黄菜 春を報じて開く
風和気暖晴光滴 風和かに気暖く 晴光滴り
林影新陽緑未回 林影新陽 緑未だ回らず
○●○○●●◎
○○○●●○◎
○○●●○○●
○●○○●●◎（赤い字は韻：十灰 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春浅冬眠中
便覚淑気歩江東 便ち淑気を覚え 江東を歩す
花遅鶯怨垂楊下 花遅く鶯は怨む 垂楊の下
驚夢蛙愁細草中 夢を驚かせ蛙は愁う 細草の中
○●○○○●◎
●○●●●○◎
○○○●○○●
○●○○●●◎（赤い字は韻：一東 七言絶句仄起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春霞
黄鳥南枝頻弄聲 黄鳥は南枝に 頻に聲を弄す
林下春初青蘚掩 林下春初に 青蘚掩い
紫峰淡靄白雲生 紫峰淡靄に 白雲生ず
○○○●●○◎
○●○○○●◎
○●○○○●●
●○●●●○◎
（赤い字は韻：八庚 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
白梅似雪
春水風和送暗香 春水風和かに 暗香を送る
北樹白梅繁似雪 北樹の白梅 繁きこと雪に似たり
南枝紅骨麗如粧 南枝の紅骨 麗なること粧ふが如し
○○○●●○◎
○●○○●●◎
●●●○○●●
○○○●●○◎（赤い字は韻：七陽 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
桃花発
煙靄山青晴鳥驕 煙靄山青く 晴鳥驕る
乱點砕紅桃奮色 乱點砕紅 桃色を奮す
田園新緑麦成苗 田園新緑 麦苗を成す
○○○●●○◎
○●○○○●◎
●●○○○●●
○○○●●○◎（赤い字は韻：二蕭 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
江村春暮
郁郁香迎淑気喧 郁郁と香を迎え 淑気喧なり
疎影横斜花淡薄 疎影は横斜し 花は淡薄
江頭千樹月黄昏 江頭千樹 月黄昏
○○○●●○◎
●●○○●●◎
○●○○○●●
○○○●●○◎（赤い字は韻：十三元 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春寒老梅
水浅春光日易斜 水浅く春光 日は斜めなり易し
老幹幽姿為雪圧 老幹の幽姿 雪の為に圧せられ
蟠株痩影被雲遮 蟠株の痩影 雲に遮ぎらる
○○○●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎（赤い字は韻：六麻 七言絶句平起式 平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
