客恨悲風已十霜 客は恨む悲風 已に十霜
寒山落日水茫茫 寒山落日 水茫茫
年年衰鬢書難達 年年衰鬢 書達し難く
夜夜帰心路正長 夜夜帰心 路正に長し
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寒雨連江水急流 寒雨江に連り 水急流
扁舟一葉去難留 扁舟一葉 去て留り難し
狂風折竹妨高臥 狂風竹を折り 高臥を妨げ
乱絮飛花落日愁 乱絮飛花 落日の愁
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飢鳥登欄獨木橋 飢鳥欄に登る 獨木橋
凍雲急雪遂風飄 凍雲急雪 風を遂って飄る
寒林凛凛多先折 寒林凛凛と 多くは先ず折れ
霜夜稜稜或後凋 霜夜稜稜と 或は後に凋む
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風死雲収月色闌 風死に雲収り 月色闌なり
騒人酌酒思千般 騒人酒を酌み 思千般たり
霜威冽冽地皮裂 霜威冽冽と 地皮裂け
凍意凄凄氷骨寒 凍意凄凄と 氷骨寒し
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空江暁雪総如銀 空江暁雪 総て銀の如し
氷柱垂欄未上春 氷柱欄に垂れ 未だ春を上ぜず
玉粒飛来寒徹骨 玉粒飛来 寒骨に徹す
怒号圧竹阻風人 怒号竹を圧し 人風に阻る
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今朝清圧雪成堆 今朝清圧 雪堆を成す
遠樹皓皓野水隈 遠樹皓皓と 野水の隈
村落陰凝風色緊 村落陰凝り 風色緊く
渡頭江冷鳥聲哀 渡頭江冷に 鳥聲哀し
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白雪粉粉没北橋 白雪粉粉 北橋を没す
長流砕玉響蕭蕭 長流玉を砕いて 響蕭蕭たり
疎林露葉翩翩下 疎林の露葉 翩翩として下り
寒雀舞風淅淅飄 寒雀風に舞い 淅淅として飄る
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浦口斜陽日易消 浦口斜陽 日消え易し
山陰両岸白蕭蕭 山陰の両岸 白蕭蕭
笠翁獨釣寒江雪 笠翁獨り釣る 寒江の雪
水面浮鴎乱眼飄 水面の浮鴎 眼を乱して飄る
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櫂聲帆影満長河 櫂聲帆影 長河に満つ
暮浦寒流飛雪多 暮浦寒流に 飛雪多し
江岸疎林空露葉 江岸の疎林 露葉空しく
前山遠巷浩烟波 前山遠巷 烟波浩たり
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洛陽禅寺正東峯 洛陽禅寺 正に東峯
塵外蒼天紫閣重 塵外蒼天 紫閣重る
跨象浮屠駆瘧鬼 象に跨り浮屠 瘧鬼を駆り
伽藍頭上舞神龍 伽藍頭上に 神龍舞う
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霜寒竹陣古江東 霜寒竹陣 古江の東
爐火烹茶一病翁 爐火茶を烹る 一病翁
満地乱雲低薄暮 満地乱雲 薄暮に低く
斜飛急雪舞回風 斜飛急雪 回風に舞う
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冬晩看書寒裂肌 冬晩書を看る 寒肌を裂き
霜飛侵褐嘆吾衰 霜飛褐を侵し 吾衰を嘆く
重雲江冷風聲急 重雲江冷に 風聲急なり
水凍山陰夜雪時 水凍り山陰 夜雪の時
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客館寒燈涙満襟 客館寒燈 涙襟に満つ
洛陽萬里欲帰心 洛陽萬里 帰らんと欲する心
人痕脈脈氷霜苦 人痕脈脈 氷霜に苦しむ
急雪粉粉獨自斟 急雪粉粉 獨自ら斟む
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銀界皚皚月上岑 銀界皚皚と 月岑に上る
無聲積雪照霜林 聲無く積雪 霜林を照らす
百年惆悵身名晩 百年惆悵 身名晩く
今夜傷心酒病深 今夜傷心 酒病深し
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老少契交連理枝 老少契交 連理の枝
新墳埋骨涙雙垂 新墳骨を埋め 涙雙垂
空留居跡三間屋 空しく留む居跡 三間の屋
啼血傷君七字詩 啼血君を傷む 七字の詩
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敲窓戸外五更風 窓を敲く戸外 五更の風
剪燭孤燈一病翁 燭を剪り孤燈に 一病翁
呼酒眠遅寒夜永 酒を呼び眠遅く 寒夜永し
暁天残夢雨聲中 暁天残夢 雨聲の中
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沙鴎二白任沈浮 沙鴎二白 沈浮に任す
凍浦波間雨雪流 凍浦波間に 雨雪流る
衰鬢年年千樹恨 衰鬢年年 千樹の恨
帰心夜夜一番愁 帰心夜夜 一番の愁い
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空江月白映寒潭 空江月白く 寒潭に映ず
釣客登楼酒是耽 釣客楼に登り 酒是れ耽る
無衣孤舟窮亦楽 無衣孤舟 窮も亦楽し
百年多病老難堪 百年多病 老いて堪え難し
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暁鼓鐘聲待日升 暁鼓鐘聲 日の升るを待つ
霜晨凍油洒寒燈 霜晨凍油 寒燈に洒ぐ
双親黄土睡中語 双親黄土 睡中に語る
孤座哀情帰未能 孤座哀情 帰未だ能せず
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古渡暮潮日浴波 古渡暮潮 日は波に浴し
渚烟寂漠満長河 渚烟寂漠と 長河に満つ
霜侵凛凛郷心砕 霜侵し凛凛と 郷心砕け
月到稜稜寒夢多 月到り稜稜と 寒夢多し
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一天折地晩風生 一天地を折き 晩風生ず
四望疎林宿雁鳴 四望すれば疎林に 宿雁鳴く
茅屋侵簾寒有色 茅屋簾を侵して 寒色有り
細燈衾凍夜無聲 細燈衾凍り 夜聲無し
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江村北畔麦繊繊 江村の北畔 麦繊繊
農事寒空冷不厭 農事寒空 冷厭はず
呵手霜侵衣乏絮 手を呵し霜侵し 衣絮に乏し
炊烟竹屋食無塩 炊烟の竹屋 食に塩無し
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空江雪径白蕭蕭 空江の雪径 白蕭蕭
凍雀汀沙乱眼飃 凍雀は汀沙に 眼を乱して飃る
宿鷺渡頭舟一葉 宿鷺は渡頭に 舟一葉
帰鴉村落夜無聊 帰鴉村落の 夜無聊
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眼界紛紛雪片飃 眼界紛紛と 雪片飃り
書窓折柳響蕭蕭 書窓柳折れ 響蕭蕭
暗香不放梅枝痩 暗香放ぜず 梅枝痩せ
南畔春寒麦葉驕 南畔春寒く 麦葉驕る
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銀界山陰風払煙 銀界の山陰 風煙を払う
騒人閲古汲寒泉 騒人古を閲し 寒泉を汲む
案頭磨墨氷生硯 案頭に墨を磨すも 氷硯に生じ
爐冷今宵雪満天 爐冷に今宵 雪天に満つ
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眼前一水歳寒身 眼前一水 歳寒の身
満地飛綿未有春 満地飛綿 未だ春有らず
瓦凍凄凄無月夜 瓦凍り凄凄と 月無き夜
陰風冽冽不眠人 陰風冽冽と 眠らざる人
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黙座看書夜色闌 黙座して書を看 夜色闌なり
凝陰徹骨思千般 凝陰骨に徹し 思千般
雪飛燈乱幽斎寂 雪飛び燈乱れ 幽斎寂たり
風急穿窓竹影寒 風急に窓を穿ち 竹影寒し
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頃刻狂風急霰催 頃刻に狂風 急霰催す
俄驚點點玉成堆 俄に驚く點點と 玉堆を成す
霜威凛凛山始盡 霜威凛凛と 山始めて盡き
飢鴉唖唖雪欲来 飢鴉唖唖と 雪来らんと欲す
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朔旦今朝寄所思 朔旦今朝 所思を寄す
蒼霊萬戸立春時 蒼霊萬戸 立春の時
寒威油凍花猶未 寒威油凍り 花猶を未し
散白霜飛力不支 白を散じ霜飛び 力支へず
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三元淑気啓晨戸 三元淑気 晨戸を啓く
四時晴風春正帰 四時晴風 春正に帰る
磨墨今朝新雪鬢 墨を磨る今朝 新雪の鬢
升堂去歳旧征衣 堂に升る去歳 旧征衣
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韶光千里酔春風 韶光千里 春風に酔う
椒酒三杯楽歳豊 椒酒三杯 歳豊を楽しむ
佳客朱顔君似旧 佳客朱顔 君旧に似たり
主人白髪我成翁 主人白髪 我翁と成る
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