生業人忙西復東 生業人忙しく 西復た東
無功貧賎白頭翁 功無く貧賎 白頭の翁
四時冬日春秋盡 四時冬日 春秋盡き
掃室鐘声歳月窮 室を掃き鐘声 歳月窮まる
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寒冷駸駸逼歳徐 寒冷かに駸駸と 歳除に逼る
老儒汲汲思粉如 老儒汲汲と 思粉如
年来多病惟尋薬 年来多病 惟だ薬を尋ね
門閉閒人解愛書 門を閉め閒人 解く書を愛す
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至日繁霜草木摧 至日繁霜 草木摧く
陽回残歴去還来 陽回り残歴 去りて還た来る
人忙窮鬼聊晞髪 人忙く窮鬼 聊か髪晞し
盗暇今宵獨把杯 暇を盗み今宵 獨り杯を把る
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菊敗肥冬覚夜長 菊敗れ肥冬 夜の長きを覚ゆ
庭荒凍色転凄涼 庭荒れ凍色 転た凄涼
林峰風勁孤山月 林峰風勁く 孤山の月
村路天高満地霜 村路天高く 満地の霜
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年年日月去難留 年年日月 去りて留め難し
身老窮途獨自羞 身老いて窮途 獨り自ら羞ず
凍酒寒燈傷歳暮 凍酒寒燈 歳暮を傷む
酔余蝋涙乱郷愁 酔余蝋涙 郷愁乱る
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寒迫疎星聴梵音 寒迫り疎星 梵音を聴く
長空残月照霜林 長空の残月 霜林を照らす
書燈燭短年将盡 書燈燭短く 年将に盡んとす
茶鼎温酒夜尚深 茶鼎酒を温め 夜尚深し
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萬物秋霜送歳華 萬物秋霜 歳華を送る
窮陰旅思客天涯 窮陰旅思 天涯に客たり
家貧落魄君無笑 家貧しく落魄 君笑うなかれ
寄食漂遊獨自嗟 寄食漂遊 獨り自ら嗟す
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四時冬日正凄然 四時冬日 正に凄然
萬物星霜燭火前 萬物星霜 燭火の前
沽酒一宵軽過節 酒を沽い一宵 節の過るを軽んず
憂心終歳怯増年 憂心は終歳に 年の増すを怯る
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無声今夕歳将除 声無く今夕 歳将に除かんとす
送鬼明年六十餘 鬼を送りて明年 六十餘
貧賤痴児元了了 貧に賤に痴児 元より了了
病来白髪許疎疎 病来り白髪 許く疎疎
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至日陽回歳已窮 至日陽回り 歳已に窮まる
多年奔走敢云功 多年奔走するも 敢て功を云んや
今宵燈燭悲歌裡 今宵燈燭 悲歌の裡
獨坐盃盤酔眼中 獨坐して盃盤 酔眼の中
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凍色星霜歳又寒 凍色星霜 歳又寒く
流年日月遇時難 流年日月 時に遇うは難し
世粉計拙頗多事 世粉計拙くして 頗る多事
老病愁深殊少歓 老病愁深く 殊に歓少し
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陰動雲奔送夕輝 陰は動き雲奔り 夕輝を送る
郊村犬吼晩風飛 郊村に犬吼へ 晩風飛ぶ
弄喧寸暇今宵盡 喧を弄し寸暇 今宵盡く
欺老人情何日帰 老を欺き人情 何の日か帰らん
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老大歓娯酒一卮 老大は歓娯す 酒一卮
児孫辛苦歩遅遅 児孫は辛苦す 歩遅遅
今宵世路盡閒事 今宵の世路 盡く閒事
終歳人生能幾時 終歳に人生 能く幾時ぞ
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小至寒威夕照風 小至寒威 夕照の風
肥冬酒力竟何窮 肥冬酒力 竟に何ぞ窮らん
酔顔眺望臨庭月 酔顔眺望す 庭に臨む月
吟歩縦横猶未終 吟歩縦横 猶未だ終らず
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鬼哭千年歳月侵 鬼哭し千年 歳月侵す
人悲白髪獨閒吟 人悲しみ白髪 獨閒吟す
古都堂在因懐古 古都に堂在りて 因て古を懐ひ
順逆分明徒慨今 順逆分明 徒に今を慨く
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天寒静読月三更 天寒く静に読む 月三更
夜永江村犬吠聲 夜永く江村 犬吠る聲
水凍風霜茅屋冷 水凍り風霜 茅屋冷かに
残燈東白紙窓明 残燈東白く 紙窓明かなり
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初冬悴色満天涯 初冬悴色 天涯に満ち
暖気乗晴解凍肌 暖気晴に乗じて 凍肌を解く
麦圃小春寒鬼隠 麦圃小春に 寒鬼隠れ
郊村短日暮鴉飢 郊村短日 暮鴉飢ゆ
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侵暁天寒聞曙鶏 暁を侵し天寒く 曙鶏を聞く
戴星夜永月高低 星を戴き夜永く 月高低
青春慷慨丹心破 青春慷慨 丹心破れ
老骨謗声皓首啼 老骨謗声 皓首啼く
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千里新霜一改容 千里新霜 一び容を改む
双眸枯樹両三峯 双眸に枯樹 両三峯
隆冬飛雪風敲戸 隆冬飛雪 風は戸を敲き
鼎沸囲爐酒正濃 鼎は沸き爐を囲み 酒正に濃なり
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枯楓黯黯満寒叢 枯楓黯黯と 寒叢に満ち
月影皚皚進晩風 月影皚皚と 晩風に進む
爐火残燈烟不起 爐火残燈 烟起らず
啜茶夜静歳将窮 茶を啜り夜静かに 歳将に窮らんとす
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寒烟村圃碧蕪新 寒烟村圃に 碧蕪新し
晴日柴扉滞市塵 晴日柴扉に 市塵滞る
夕照南窓蝿撃紙 夕照の南窓に 蝿紙を撃ち
空庭北庫狗窺人 空庭の北庫に 狗人を窺う
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疎林痩影動寒光 疎林の痩影 寒光動く
師走人心歳月忙 師走の人心 歳月忙し
農老拾薪冬欲半 農老は薪を拾い 冬半ならんと欲す
孤燈敲句夜方長 孤燈句を敲き 夜方に長し
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老樹無柑凍鳥饑 老樹柑無く 凍鳥饑る
新霜粛殺透寒衣 新霜粛殺し 寒衣を透る
傍爐濁酒無由寝 爐に傍い濁酒 寝るに由無し
共酔佳賓不得帰 共に酔い佳賓 帰る得ず
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千峰落盡夕陽枝 千峰落ち盡す 夕陽の枝
一路霜風春到遅 一路霜風 春の到る遅し
憶昨逍遥三盞酒 昨を憶いて逍遥 三盞の酒
騒人須記今年詩 騒人須く記すべし 今年の詩
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木凋菊老雨冥冥 木凋み菊老い 雨冥冥
地凍飢鳥落遠汀 地凍り飢鳥 遠汀に落つ
硯水吟詩添旧卷 硯水詩を吟じて 旧卷を添う
爐灰温酒臥空瓶 爐灰酒を温め 空瓶を臥す
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霧深丈室五更風 霧深く丈室 五更の風
一酔清談興不窮 一酔清談 興窮まらず
負暖偸閒寒夜永 暖を負い閒を偸み 寒夜永く
茶鳴僧叩雨声中 茶鳴り僧は叩く 雨声の中
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菊敗厳寒見露華 菊敗れ厳寒 露の華を見る
江村枯樹帯栖鴉 江村の枯樹 栖鴉を帯ぶ
黄楓悴色山新痩 黄楓悴色 山新に痩せ
白月徐来日自斜 白月徐に来て 日自ら斜めなり
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愛日迎寒橘柚黄 愛日寒を迎え 橘柚黄なり
耕夫柝地住村荘 耕夫地を柝き 村荘に住む
囲炉熾火魚偏美 炉を囲み火を熾にして 魚偏に美なり
供酔重袍酒倍香 供に酔い袍を重ね 酒倍に香ばし
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林疎北帝鳥先知 林疎に北帝 鳥先ず知る
山痩南郊落日時 山痩せ南郊 落日の時
細雨楓凋秋盡後 細雨楓凋み 秋盡くる後
孤燈老懶怯風吹 孤燈老懶 風の吹くを怯る
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孤峰晩照遠微微 孤峰晩照 遠く微微
江畔寒風送夕暉 江畔の寒風 夕暉を送る
村路飢鴉低復上 村路の飢鴉 低して復た上り
水郷凍雀堕還飛 水郷の凍雀 堕ちて還た飛ぶ
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寒風蕭殺錦楓翻 寒風蕭殺し 錦楓翻る
敗葉窺窓霜満軒 敗葉窓を窺い 霜軒に満つ
晴日涼天雲淡薄 晴日涼天に 雲淡薄
江山聖夜月黄昏 江山聖夜 月黄昏たり
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