水痩寒山黄落秋 水痩せ寒山 黄落の秋
長江北岸竹林楼 長江の北岸 竹林楼
旧友再会喜無恙 旧友再会して 恙無きを喜び
白髪含杯得重遊 白髪杯を含んで 重ねて遊ぶを得たり
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晩楓落盡露華凝 晩楓落ち盡し 露華凝る
残菊窓前半夜燈 残菊窓前 半夜の燈
皎皎涼天千里月 皎皎たる涼天に 千里の月
酒醒暝暝百無能 酒醒め暝暝と 百無能
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窮秋北圃菊猶残 窮秋の北圃に 菊猶を残り
暝色東離葉葉丹 暝色の東離に 葉葉丹し
清夜欲明朝露重 清夜明んと欲して 朝露重く
霜辰薄凍暁風寒 霜辰薄凍 暁風寒し
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嘶風永夜葉聲寒 風に嘶き永夜 葉聲寒し
夢繞何時難再看 夢は繞り何の時か 再び看るは難し
覚遠断腸人寂寂 遠を覚えて断腸 人寂寂
鬢絲千尺涙珊珊 鬢絲千尺 涙珊珊
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夕陽明處照秋来 夕陽明處 秋を照して来る
老樹蕭蕭鳥雀哀 老樹蕭蕭と 鳥雀哀し
窓外菊花経雨倒 窓外の菊花 雨を経て倒れ
空留敗葉為風摧 空く留る敗葉 風の為に摧く
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白露枯骸満寒垣 白露枯骸 寒垣に満つ
楓樹悲風落葉繁 楓樹悲風 落葉繁し
衣冷冬隣秋先老 衣冷に冬隣り 秋先ず老い
江村霜圃菊猶存 江村の霜圃に 菊猶を存す
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東野紅楓照暮秋 東野の紅楓は 暮秋を照らす
西山翠壁夕陽流 西山の翠壁に 夕陽流れ
忘機時繞帰心遠 機を忘れ時は繞り 帰心遠のく
皎月黄昏落日愁 皎月黄昏 落日に愁う
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夜半離憂滴瀝聲 夜半離憂 滴瀝の聲
憶家流涕暗愁生 家を憶って流涕 暗愁生ず
三秋萬里千山痩 三秋萬里 千山痩せ
四面江天一雁横 四面江天 一雁横たふ
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落陽親友幾山川 落陽親友 幾山川
白髪忘還涙滋然 白髪還るを忘れ 涙滋然
寒雨打窓空落魄 寒雨窓を打ち 空しく落魄
悲歌痛飲永流連 悲歌痛飲し 永に流連
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紅楓江上水空波 紅楓江上に 水空しく波だつ
巫峡啼猿愁緒多 巫峡啼猿 愁緒多し
老衲高歌猶若此 老衲高歌 猶此の若し
酒醒悔恨更如何 酒醒め悔恨 更に如何せん
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老樹風生錦繍斑 老樹風生じ 錦繍斑なり
晩秋悲菊酔開顔 晩秋菊を悲み 酔て顔を開く
辞鋒陳腐詩多恠 辞鋒陳腐 詩多く恠なり
病骨休言薬更殷 病骨言うを休めよ 薬更に殷なり
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寒雨連江愁殺人 寒雨江に連り 人を愁殺す
汀雲黯淡酒行頻 汀雲黯淡として 酒行頻なり
詩才多恨疎慵性 詩才多恨は 疎慵の性
激越空展老大身 激越空展は 老大の身
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功名難奈客天涯 功名奈ともし難く 天涯に客たり
千里異郷老更悲 千里異郷に 老いて更に悲しむ
片月深沈閒自愛 片月は深沈と 閒自ら愛し
思君展転陋誰知 君を思って展転 陋誰れか知る
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憶家双鬢思粉粉 家を憶いて双鬢 思粉粉たり
音信豈知悲且欣 音信豈に知らんや 悲み且つ欣ぶ
浄閣紅楓斜映雨 浄閣の紅楓 斜に雨に映じ
嵯峨翠壁慢移雲 嵯峨たる翠壁 慢に雲を移す
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東西枯木轉凄如 東西枯木 轉た凄如
去就貧交人事疎 去就貧交にして 人事疎なり
千里江天秋已老 千里江天に 秋已に老い
数声煙浦雁無書 数声煙浦に 雁書無し
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丹心万骨莫相違 丹心万骨 相い違う莫れ
四海三軍論是非 四海三軍 是非を論ず
豈料計窮嗤官拙 豈に料らんや計窮り 官の拙を嗤う
最憐相国貴知希 最も憐れむべし相国 知の希なるを貴ぶ
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滴滴三秋夜雨声 滴滴と三秋の 夜雨の声
舟船一別奈斯情 舟船一別し 斯の情を奈せん
放逸多恨狂猶在 放逸多恨 狂猶ほ在り
離友貧交老已成 友を離れ貧交 老已に成る
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君思究学向天京 君学を究めんと思い 天京に向う
積年昇堂獨檀名 積年堂に昇り 獨り名を檀にす
莫道旧遊無復到 道う莫れ旧遊 復た到る無く
菊花時節涙縦横 菊花の時節 涙縦横
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鱗雲如染満山紅 鱗雲染まるが如く 満山紅なり
回首無言萬慮空 首を回せば言無く 萬慮空し
日落新霜雙白鬢 日落ち新霜 雙白の鬢
林梢老葉一秋風 林梢の老葉に 一秋の風
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丹楓如染洗愁顔 丹楓染めるが如く 愁顔を洗う
帯靄斜陽照遠山 靄を帯びて斜陽 遠山を照らす
月上蕭蕭枯葉落 月上り蕭蕭と 枯葉落ち
秋声寂寂断雲閒 秋声寂寂と 断雲閒なり
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千枝紅焔夕陽収 千枝紅に焔え 夕陽収まる
山雨群林落葉稠 山雨群林に 落葉稠し
寒菊孤芳秋淡淡 寒菊孤芳 秋淡淡たり
老松獨秀夜啾啾 老松獨秀 夜啾啾たり
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西山紅錦染雲箋 西山の紅錦は 雲箋を染め
楓樹彩霞黄菊前 楓樹の彩霞 黄菊の前
月上新霜開晩照 月上り新霜 晩照を開き
風来老葉接寒天 風来り老葉 寒天に接す
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一帯紅雲錦繍秋 一帯の紅雲 錦繍の秋
高林楼閣此登臨 高林の楼閣 此に登臨す
霜餘落葉棲鴉色 霜餘の落葉 棲鴉の色
残菊斜陽客燕愁 残菊は斜陽に 客燕の愁い
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一日昏昏風雨凄 一日昏昏として 風雨凄たり
如何鬱鬱酔成泥 如何せん鬱鬱と 酔て泥と成る
我知無人丹心破 我を知る人無く 丹心破れ
病骨征衣皓首啼 病骨の征衣 皓首啼く
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身老浮沈只自知 身老いて浮沈 只だ自ら知る
無端惆悵雨声悲 端無く惆悵と 雨声悲し
秋叢幽菊花萎日 秋叢の幽菊 花萎む日
臥聴庭梧葉砕時 臥して聴く庭梧 葉砕ける時
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江上陰雲楓樹紅 江上陰雲 楓樹紅なり
秋風万里寂寥中 秋風万里 寂寥の中
添愁衣冷朝来雨 愁を添えて衣冷かなり 朝来の雨
日落灯寒夜半空 日落ち灯寒く 夜半空し
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一段西山入晩秋 一段と西山 晩秋に入り
江村颯颯白雲浮 江村に颯颯と 白雲浮かぶ
荒籬霜葉帯寒色 荒籬の霜葉は 寒色を帯び
残菊斑斑生暮愁 残菊は斑斑と 暮愁を生ず
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菊開客路浸黄花 菊は開き客路に 黄花を浸す
雁度紫山秋色嘉 雁は度り紫山 秋色嘉なり
獨在異郷初到鬢 獨り異郷に在りて 初めて鬢に到り
艱難苦恨不離家 艱難苦恨して 家を離れず
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玉露凋傷楓樹林 玉露凋傷たり 楓樹の林
崎嶇古寺気蕭森 崎嶇の古寺 気蕭森たり
孤舟一繋牽秋興 孤舟一繋 秋興を牽き
波浪江間入暮吟 波浪江間 暮吟に入る
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群林如染夕陽深 群林染まるが如く 夕陽深し
香靄黄昏共酔吟 香靄黄昏 共に酔吟す
詩痩老懐窮塞夢 詩痩せ老懐 窮塞の夢
酒狂千里故郷心 酒狂い千里 故郷の心
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