江上陰雲細雨澆 江上の陰雲 細雨澆ぐ
秋霖淅瀝夢魂消 秋霖淅瀝と 夢魂消す
風前蟋蟀声悲壮 風前の蟋蟀 声悲壮なり
夜半灯花影動揺 夜半の灯花 影動揺す
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客夢回看歳月遷 客夢回り看れば 歳月遷り
郷書萬感思湘然 郷書萬感 思湘然たり
誰家残草闡級コ 誰が家の残草 闡汲フ下
獨寄黄花落葉前 獨寄る黄花 落葉の前
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君問帰期未有時 君帰期を問う 未だ時有らず
打窓夜雨涙雙雙 窓を打つ夜雨 涙雙雙たり
蛩声切切秋還冷 蛩声切切と 秋還た冷かに
積潦凄凄晩更奇 積潦凄凄と 晩更に奇なり
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孤吟萬感莫愁歌 孤吟萬感す 莫愁の歌
病骨方知奈老何 病骨方に知る 老を何せんと
日落長沙寒露重 日落ち長沙に 寒露重く
紫山漠漠暮烟多 紫山は漠漠と 暮烟多し
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山光夕照映窓紗 山光夕照 窓紗に映じ
野色東籬隔暮霞 野色の東籬 暮霞を隔つ
枯坐白衣驚銀髪 枯坐し白衣 銀髪に驚き
吟行酌酒見黄花 吟行し酒を酌み 黄花を見る
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市近秋江橘柚村 市は近く秋江 橘柚の村
山隣馥郁菊坡園 山は隣る馥郁と 菊坡の園
黄昏陽照雙蓬鬢 黄昏に陽は照す 雙蓬の鬢
痛飲今宵一酒樽 痛飲す今宵 一酒の樽
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晩節江天日易移 晩節の江天 日は移り易し
高風煙浦草離離 高風煙浦は 草離離たり
新霜幽菊秋将老 新霜の幽菊 秋将に老んとす
仰見孤雲遊子悲 仰ぎ見れば孤雲 遊子悲しむ
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天高雁度白雲飛 天高く雁度り 白雲飛ぶ
馥郁菊開香満衣 馥郁と菊開き 香衣に満つ
多事夢回驚已老 多事夢は回りて 已に老るに驚く
述懐望断竟何帰 述懐す望は断つ 竟に何にか帰らん
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登高満眼白雲峰 高きに登りて満眼 白雲の峰
散策叢生紅翠重 散策す叢生に 紅翠重なる
三逕金風秋熱去 三逕に金風 秋熱去り
一籬玉露菊香濃 一籬に玉露 菊香濃かなり
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狭路秋叢野実丹 狭路の秋叢に 野実丹し
荒畦雲暗雨声寒 荒畦雲暗く 雨声寒し
村童牛犬家家入 村童牛犬 家家に入り
紅葉疎林樹樹残 紅葉の疎林 樹樹を残す
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緩歩西郊落葉天 緩歩す西郊 落葉の天
林邱黄変冷風烟 林邱黄変し 風烟冷なり
雨苔樹下長秋菌 雨苔の樹下に 秋菌長じ
霜菊庭前墜病蝉 霜菊の庭前に 病蝉墜つ
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霜草蒼蒼紅翠重 霜草蒼蒼 紅翠重なる
前庭夜色菊香濃 前庭夜色にして 菊香濃なり
月明蕎麦花如雪 月明に蕎麦花 雪の如し
身在寒烟落葉胸 身は寒烟に在りて 落葉の胸
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江郷秋色紫峰西 江郷秋色 紫峰の西
絹水悠悠十里堤 絹水悠悠 十里の堤
夜永凄涼残月落 夜永く凄涼と 残月落ち
新霜露結暁鴉啼 新霜露結び 暁鴉啼く
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北書不至興誰倶 北書至らず 誰と倶にせん
獨夜窮愁老且愚 獨夜窮愁し 老且つ愚
霜草蒼蒼香寂莫 霜草蒼蒼 香寂莫たり
庭燈自照影扶疎 庭燈自ら照す 影は扶疎
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村西暮雨暗江天 村西は暮雨 江天暗し
日落長沙落葉前 日落ち長沙 落葉の前
南菊再逢身老矣 南菊に再び逢う 身老たり
白頭感慨夢依然 白頭感慨 夢は依然
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寂寂空山対月明 寂寂たる空山 月明に対す
昏昏竹院坐深更 昏昏たる竹院 深更に坐す
寒燈陂b書全懶 寒燈陂b 書全く懶く
夜永窮愁酒愈傾 夜は永く窮愁 酒愈傾く
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秋風清興夜方長 秋風清興 夜方に長し
涼露依欄林葉黄 涼露欄に依り 林葉黄なり
銀閣前庭沙似雪 銀閣の前庭 沙雪に似たり
東山皎皎月如霜 東山皎皎と 月霜の如し
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月明秋気暮迢迢 月明かに秋気 暮迢迢
霜冷郷愁思自焦 霜冷かに郷愁 思自から焦す
故国山重魚信断 故国山重なり 魚信断え
漂零人遠雁書遥 漂零して人遠く 雁書遥かなり
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空山無月径難分 空山月無く 径分ち難し
香界更深樹払雲 香界更に深く 樹雲を払う
嵐気松風時落葉 嵐気松風 時に葉を落し
飢鴉驚雨勿成群 飢鴉雨に驚いて 勿ち群れを成す
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冷落方知為酒貧 冷落して方に知る 酒の為に貧なり
荒涼破屋一人 荒涼たる破屋に 一關l
夢回多事疎慵性 夢は回る多事に 疎慵の性
望断窮愁老大身 望は断たれ窮愁たり 老大の身
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秋風遥想故郷天 秋風遥に想う 故郷の天
夜雨無聊入酔眠 夜雨無聊に 酔眠に入る
身老吟心都似夢 身老い吟心 都て夢に似たり
薄衣病體半帰泉 薄衣の病體 半ば泉に帰す
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如何衣冷意無聊 如何せん衣冷かに 意は無聊たり
孤枕燈寒夜寂寥 孤枕燈寒く 夜寂寥
衰柳沿階風浙浙 衰柳階に沿い 風浙浙
病蝉墜地雨蕭蕭 病蝉地に墜ち 雨蕭蕭
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断雁不知飢啄泥 断雁知らず 飢て泥を啄む
郷心哀切向人啼 郷心哀切たり 人に向いて啼く
暮寒吹葉風蕭瑟 暮寒葉を吹く 風蕭瑟たり
秋雨侵階気惨悽 秋雨階を侵し 気惨悽
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哀蛩切切雨声酸 哀蛩切切と 雨声酸たり
燈下郷心獨自嘆 燈下郷心 獨り自ら嘆く
夢冷孤吟秋轉静 夢冷かに孤吟 秋轉た静かに
無衣多病夜偏寒 無衣多病 夜偏に寒し
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孤愁寂寂老方知 孤愁寂寂 老いて方に知る
向月蕭蕭昨夜吹 月に向いて蕭蕭と 昨夜吹く
秋雨無聊黄葉日 秋雨無聊 黄葉の日
如何郷思白頭時 如何せん郷思 白頭の時
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沾衣玉露満江秋 衣を沾す玉露 満江の秋
仰見金波枕碧流 仰ぎ見れば金波 碧流に枕む
四面風清雲漠漠 四面風清く 雲漠漠たり
一天月淡水悠悠 一天月淡く 水悠悠
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蕭蕭月気満江城 蕭蕭と月気 江城に満つ
切切蟲声白露横 切切と蟲声 白露横たわる
仰見微吟傷銀髪 仰ぎ見て微吟 銀髪を傷む
江山雁影動秋情 江山雁影 秋情を動かす
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四面秋江帆影 四面の秋江に 帆影閧ネり
一天千里暮雲還 一天千里 暮雲還る
萍枯両岸荒隣圃 萍枯れ両岸の 隣圃荒れ
明月玲瓏照遠山 明月玲瓏と 遠山を照らす
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颯颯悲秋吹鬢毛 颯颯と秋を悲み 鬢毛を吹く
幽人高閣飲葡萄 幽人高閣に 葡萄を飲む
臨風掻髪清彌痩 風に臨んで髪を掻けば 清くして彌に痩せ
向月吟詩病亦豪 月に向いて詩を吟ずれば 病みても亦豪なり
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客子高楼待月来 客子高楼に 月を待て来る
騒人清節作詩催 騒人清節に 作詩を催す
燈花掻髪繁霜鬢 燈花髪を掻く 繁霜の鬢
玉笛高吟濁酒盃 玉笛高吟す 濁酒の盃
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中秋明月影玲瓏 中秋の明月 影玲瓏
午夜南楼思不窮 午夜南楼に 思窮らず
白露薫薫香橘柚 白露に薫薫と 橘柚香り
前庭寂寂老梧桐 前庭に寂寂と 梧桐老ゆ
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