暑退千山夕照紅 暑退き千山 夕照紅なり
秋澄一夜早涼通 秋澄み一夜 早涼通ず
蛩吟切切三更雨 蛩吟切切と 三更の雨
月影悲悲爽節風 月影悲悲と 爽節の風
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桐陰清潤雨餘天 桐陰清潤 雨餘の天
一陣松風破晝眠 一陣の松風 晝眠を破る
盡日看書諸事廃 盡日書を看て 諸事廃し
披襟老骨此身全 襟を披いて老骨 此身全し
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残暑炎炎如火城 残暑は炎炎と 火城の如し
旱田裂地乱蛙鳴 旱田地を裂き 乱蛙鳴く
疾風乍黒通雲気 疾風乍ち黒く 雲気を通じ
窓外油然送雨声 窓外は油然と 雨声を送る
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残暑炎炎旱似焚 残暑は炎炎と 旱は焚くに似たり
北窓祈雨臥看雲 北窓雨を祈って 臥して雲を看る
妨眠聒耳蚊雷響 眠を妨げ耳に聒し 蚊雷の響
吮血飢来幾万軍 血を吮い飢え来る 幾万の軍
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残暑炎炎貌已痩 残暑は炎炎と 貌已に痩せ
土焦無雨半心枯 土焦げ雨無く 半心枯る
嚼氷慰渇衣流汗 氷を嚼み渇を慰すも 衣汗を流す
午睡依然気不蘇 午睡するも依然と 気蘇らず
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沛雨油然洗睡昏 沛雨油然と 睡昏を洗う
風狂天際黒雲奔 風狂い天際に 黒雲奔しる
疾雷燁燁有垂死 疾雷燁燁と 死に垂んとする有り
飛電填填当返魂 飛電填填と 当に魂を返すべし
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午炎翻墨黒雲回 午炎墨を翻して 黒雲回る
霹靂飛光殷殷雷 霹靂光を飛す 殷殷の雷
一陣風狂涼似濯 一陣の風狂い 涼濯うに似たり
跳珠滌暑雨将来 珠を跳し暑を滌い 雨将に来らんとす
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風急須臾驟雨鳴 風急に須臾にして 驟雨鳴く
起雲乍黒激雷声 雲を起し乍ち黒く 激雷の声
煌煌一撃睡神去 煌煌たる一撃 睡神去り
涼気生生病骨清 涼気は生生と 病骨清し
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畏日蝉鳴残暑長 畏日蝉鳴き 残暑長し
桐蔭清潤歩池塘 桐蔭清潤 池塘を歩く
橋邊雨歇芙蓉老 橋邊雨歇み 芙蓉老ゆ
始覚荷風晩自涼 始めて覚ゆ荷風 晩自ら涼し
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納涼夜色泊船多 涼を納れ夜色 泊船多し
逸興燈光飲且歌 逸興燈光 飲み且つ歌う
明月照橋紅有影 明月は橋を照し 紅影有り
微風払面緑無波 微風は面を払って 緑は波無し
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江家灯影夕陽収 江家に灯影 夕陽収まる
短棹乗風避暑遊 短棹風に乗って 避暑の遊び
月照雨餘平野濶 月は照す雨餘 平野濶く
連天蕩漾大河流 天に連って蕩漾と 大河流る
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蒼江四望水悠悠 蒼江四望すれば 水悠悠
浦口漁舟伴白鴎 浦口の漁舟 白鴎を伴う
日落夜風残暑退 日落ち夜風 残暑退き
開軒臨岸早涼流 軒を開きて岸に臨めば 早涼流る
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天色蒼蒼水浸空 天色蒼蒼 水空を浸す
山光燦燦流溶溶 山光は燦燦と 流れ溶溶
風廻柳払灘声外 風は廻り柳を払い 灘声の外
雨過舟移浦畔中 雨は過ぎ舟は移り 浦畔の中
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江風破浪鯉魚跳 江風浪を破り 鯉魚跳る
晩浦涼生暑欲消 晩浦涼を生じ 暑消んと欲す
夜色孤舟依緑水 夜色孤舟 緑水に依り
燈光繋楫且逍遥 燈光楫を繋いで 且つ逍遥す
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西山赫赫夕陽沈 西山赫赫と 夕陽沈み
矮屋蒸蒸溽暑侵 矮屋蒸蒸と 溽暑侵す
満地熱風酲病骨 満地熱風 病骨を酲し
一天月照破煩心 一天月照し 煩心を破る
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峰影蒼厳山雨晴 峰影蒼厳と 山雨晴れ
青苔古径傍渓行 青苔の古径 渓に傍って行く
掬泉水鳥波紋冷 泉を掬う水鳥 波紋冷に
緑樹吹風蝉翼軽 緑樹風を吹いて 蝉翼軽し
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疎林西山対落暉 疎林の西山 落暉に対す
晩風涼味襲人衣 晩風の涼味 人衣を襲う
幽亭枕上蚊雷息 幽亭枕上 蚊雷息み
月照夜泉暑漸微 月は夜泉を照し 暑漸く微なり
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尋勝夏日入空山 勝を尋ね夏日 空山に入る
古刹香城清且閒 古刹香城 清且閒なり
石蘚青青人寂寂 石蘚青青と 人は寂寂たり
丹楼高閣聳雲間 丹楼高閣 雲間に聳ゆ
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桐陰清潤雨餘天 桐陰清潤と 雨餘の天
竹影揺風破昼寝 竹影風を揺して 昼寝を破る
夢到書堂人不見 夢書堂に到りて 人を見ず
覚看日夕此身全 覚めて看る日夕 此身全し
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石蘚青青紫翠重 石蘚青青と 紫翠重なる
空山避暑訪禅房 空山暑を避け 禅房を訪う
瀑声殷殷心雖壮 瀑声殷殷 心壮と雖ど
石磴巌前力已慵 石磴巌前に 力已に慵し
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三伏消魂不可言 三伏は魂を消し 言うべからず
爽然一陣好風翻 爽然と一陣の 好風翻る
升龍吹墨雲方合 升龍は墨を吹いて 雲方に合し
満地跳珠雨正昏 満地珠を跳して 雨正に昏し
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暑如酷吏迫都城 暑は酷吏の如く 都城に迫る
竹影蛙児喚雨鳴 竹影の蛙児 雨を喚んで鳴く
一陣風狂天忽暗 一陣の風狂い 天忽ち暗し
飛雲隠隠激雷声 雲を飛して隠隠と 激雷の声
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午天酷熱計将窮 午天の酷熱 計将に窮らん
火裡炎蒸坐釜中 火裡炎蒸 釜中に坐す
俄爾填填応望雨 俄に填填と 雨を望むべし
雷光燁燁欲焼空 雷光は燁燁と 空を焼かんと欲す
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一天風急黒雲回 一天風急に 黒雲回る
満地傾盆白雨来 満地盆を傾けて 白雨来る
電影煌煌跳乱雹 電影煌煌と 乱雹跳る
龍声隠隠吼奔雷 龍声隠隠と 奔雷吼ゆ
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雷声群吠雨中聞 雷声と群吠 雨中に聞く
爽気須臾滌暑氛 爽気は須臾に 暑氛を滌う
救旱除煩三尺水 旱を救い煩を除く 三尺の水
送涼活死萬重雲 涼を送り死を活す 萬重の雲
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烈日炎炎不可凌 烈日炎炎と 凌ぐべからず
如峯江上火雲升 峯の如く江上に 火雲升る
満身汗滴心頭熱 満身汗滴り 心頭熱す
隠几衣沾気鬱蒸 几に隠り衣沾い 気鬱蒸す
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熾日依然降雨稀 熾日依然として 降雨稀なり
炎風大地火雲飛 炎風大地に 火雲を飛ばす
午天院外蝉方急 午天院外に 蝉方に急なり
避暑林中鴉未帰 暑を避け林中に 鴉未だ帰らず
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千形萬象火龍文 千形萬象 火龍の文
気力将窮炎暑殷 気力将に窮らんと 炎暑殷なり
隠几熟眠聞急雨 几に隠れ熟眠 急雨を聞く
軽雷獨覚看行雲 軽雷獨り覚め 行く雲を看る
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赤日炎炎心力窮 赤日は炎炎と 心力窮まる
北窓揺扇病眠翁 北窓扇を揺す 病眠の翁
江村溽暑酔如酒 江村溽暑 酔うこと酒の如し
夜熱依然午熱同 夜熱依然と 午熱に同じ
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驕陽火裡苦炎蒸 驕陽火裡 炎蒸に苦しむ
隠隠飢来蚊興蠅 隠隠と飢え来る 蚊と蠅
汗滴土焦頻祈雨 汗滴り土は焦け 頻に雨を祈る
煩襟夜熱転難勝 煩襟夜熱 転た勝え難し
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一天熾日燎長空 一天の熾日は 長空を燎く
三伏奇雲半酔中 三伏奇雲 半酔の中
無限旱苗枯欲盡 無限の旱苗 枯れて盡んと欲す
心頭白汗望雷公 心頭白汗 雷公を望む
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