2007年2月の自作漢詩


江東早春

光動新陽緑向     光動き新陽 緑東に向う
影開花綻早春     影開き花綻ぶ 早春の中
梅凌滋麦江堤雨     梅は凌ぎ麦を滋す 江堤の雨 
鶯出聞香野岸     鶯は出で香を聞く 野岸の風

(赤い字は韻:一東  七言絶句仄起式)


滋雨

瑟瑟濯枝緑水     瑟瑟と枝を濯う 緑水の涯
雲低催暖日遅     雲低く暖を催し 日遅遅
潤花膏雨三農慶     花を潤し膏雨 三農慶ぶ 
霑麦濛濛百穀     麦を霑し濛濛と 百穀滋し

(赤い字は韻:四支  七言絶句仄起式)


春雨

細滴霏霏冷透     細滴霏霏と 冷肌を透す
残梅麦隴雨如     残梅麦隴 雨絲の如し
知時小酌便拠筆     時を知り小酌 便ち筆を拠ち 
応候微吟還喚     候に応て微吟 還た巵を喚ぶ

(赤い字は韻:四支  七言絶句仄起式)


紅梅

風和淑気動萌     風和に淑気 萌芽動く
冰解光浮驟暖     冰解け光浮び 驟暖加はる
岸柳碧羅千頃麦     岸柳碧羅 千頃の麦 
江梅紅錦一春     江梅紅錦 一春の花

(赤い字は韻:六麻  七言絶句平起式)


春宵

淡霞夕日洒暮     淡霞夕日 暮林に洒ぐ
濃影月明夜沈     濃影月明く 夜沈沈
一枝鶯啼窓前竹     一枝鶯啼く 窓前の竹 
春宵暖律値萬     春宵暖律 萬金に値す

(赤い字は韻:十二侵  七言絶句仄起式)


山青江碧

暗香風動百花     暗香風動き 百花の魁
清影月移萬樹     清影月移り 萬樹の梅
冬去山青寒半減     冬去り山青く 寒半ば減じ 
春開江碧暖初     春開き江碧に 暖初めて回る

(赤い字は韻:十灰  七言絶句平起式)


酒一瓢

月痕林影晩蕭     月痕林影 晩蕭蕭
節浅春心独酌     節浅く春心 独酌して謡う
吟歩騒人書千巻     吟歩の騒人 書千巻 
酔顔清友酒一     酔顔の清友 酒一瓢

(赤い字は韻:二蕭  七言絶句仄起式)


春遅

尋香絹水下東     香を尋ね絹水 東陂を下る
料峭橋南春到     料峭と橋南 春の到る遅し
月影似銀千萬樹     月影銀に似て 千萬の樹
梅花如玉両三     梅花玉の如く 両三枝

(赤い字は韻:四枝  七言絶句平起式)


痩梅

春寒凛凛二毛     春寒凛凛と 二毛侵す
暮景尋花一酔     暮景花を尋ぬ 一酔吟 
節浅痩梅風颯颯     節浅く痩梅 風颯颯
聞香酌酒月沈     香を聞き酒を酌む 月沈沈

(赤い字は韻:十二侵  七言絶句平起式)


春嵐

疾風裂地雨斜     疾風地を裂き 雨斜斜
春浅寒空凍雀     春浅く寒空に 凍雀譁し 
閉戸囲炉雙髪雪     戸を閉め炉を囲む 雙髪の雪
無声耐夜一枝     声無く夜に耐う 一枝の花

(赤い字は韻:六麻   七言絶句平起式)


春雷

春雷昨夜雨斜     春雷昨夜 雨斜に飄る
雲去今朝晴鳥     雲去り今朝 晴鳥驕る 
白白涵霞梅奮色     白白と霞を涵し 梅色を奮う
青青江畔麦成     青青と江畔に 麦苗を成す

(赤い字は韻:二蕭   七言絶句平起式)


詩会

寒村冬去歩江     寒村冬去り 江東を歩す
岸柳春回瑞気     岸柳春回り 瑞気融く 
風動詩朋吟髪白     風動き詩朋 吟髪白く
月移酒友酔顔     月移り酒友 酔顔紅なり

(赤い字は韻:一東   七言絶句平起式)


春寒

梅冷江林鶯不     梅冷かに江林 鶯来らず
東風料峭小寒     東風料峭と 小寒催す 
春光淡淡思花発     春光淡淡と 花の発くを思い
月影沈沈待凍     月影沈沈と 凍の開くを待つ

(赤い字は韻:十灰   七言絶句仄起式)


春風

高士香迎淑気     高士香を迎え 淑気喧なり
美人影照立黄     美人影を照し 黄昏に立つ 
紅梅微酔春風面     紅梅微酔す 春風の面
岸柳闍瘡事     岸柳闍痰キ 月夜の魂

(赤い字は韻:十三元   七言絶句仄起式)


新陽

寒消二月入新     寒消え二月 新陽に入る
暖律三春玉骨     暖律三春 玉骨香る 
馥郁風来繁似雪     馥郁と風来り 繁なること雪に似たり
花邊月照麗如     花邊月照らし 麗なること粧うが如し

(赤い字は韻:七陽   七言絶句平起式)


江梅

渓声拍渚水縦     渓声渚を拍って 水縦横
山影黄鳥遶樹     山影黄鳥 樹を遶って鳴く 
冬去江梅香暗動     冬去り江梅 香暗に動く
春回岸柳碧愈     春回り岸柳 碧愈々清し

(赤い字は韻:八庚   七言絶句平起式)


春回

吟歩香迎尋野     吟歩香を迎え 野梅を尋ぬ
酔顔吹面喜春     酔顔面を吹いて 春の回るを喜ぶ 
風来苦作詩三句     風来て作るに苦しむ 詩三句
月照登台酒一     月照りて台に登る 酒一杯

(赤い字は韻:十灰   七言絶句仄起式)


嘉会

風来破蕾一枝     風来り破蕾 一枝春なり
梅吐暗香野水     梅は吐く暗香 野水の濱 
嘉会相親朋未到     嘉会相い親む 朋未だ到ずも
興酣酔臥月如     興酣に酔臥すれば 月銀の如し

(赤い字は韻:十一真   七言絶句平起式)


迎友

風来梅笑動寒     風来り梅笑い 寒香動く
月照鶯鳴夜未     月照り鶯鳴き 夜未だ央ならず 
詩友相迎空美酒     詩友相い迎え 美酒空し
清歓豪飲薦嘉     清歓豪飲し 嘉魴を薦む

(赤い字は韻:七陽   七言絶句平起式)


尋梅

酔顔春色到南     酔顔春色 南枝に到る
吟歩尋梅把酒     吟歩梅を尋ね 酒巵を把る 
未信幽姿貧看早     未だ信ぜず幽姿 看るの早きを貪る
誰疑氷影恨開     誰か疑う氷影 開くの遅きを恨む

(赤い字は韻:八斉   七言絶句平起式)


夕陽

氷輪夕日各東西     氷輪夕日 各東西
絹水春寒雁影     絹水春寒く 雁影低し 
竹叢淡濃蒼鬱鬱     竹叢淡濃 蒼鬱鬱なり
林亭酔臥晩凄     林亭に酔臥し 晩凄凄たり

(赤い字は韻:八斉   七言絶句平起式)


詩友

東窓春意月團     東窓春意 月團團なり
小飲高論自脱     小飲高論し 自ら冠を脱す 
功業声名官職易     功業声名 官職易し
詩書憂時友朋     詩書時を憂う 友朋難し

(赤い字は韻:十四寒   七言絶句平起式)


梅風

水遶暮江接碧     水遶り暮江 碧天に接す
山圍野景酔春     山圍み野景 春煙に酔う 
芳香郁郁梅風入     芳香郁郁と 梅風入り
幽閣上堂柏酒     幽閣堂に上り 柏酒傅う

(赤い字は韻:一先   七言絶句仄起式)


春尚寒

煌煌林影月輪     煌煌と林影 月輪孤なり
料峭風声寒透     料峭と風声 寒膚を透す 
半日雲烟黄惨淡     半日雲烟 黄惨淡
終宵梅笑白模     終宵梅笑い 白模糊

(赤い字は韻:七虞   七言絶句平起式)


愚也夫

七賢師友問栄     七賢の師友 栄枯を問う
一代愚人守旧     一代の愚人 旧株を守る 
畢竟紅顔尊道徳     畢竟紅顔 道徳を尊び
由来白首泣窮     由来白首 窮途に泣く

(赤い字は韻:七虞   七言絶句平起式)


梅蕾不開

今朝春意立庭     今朝春意 庭隅に立つ
梅蕾不開久矣     梅蕾開かざること 久しいかな 
浅水如流猶帯凍     浅水流る如く 猶凍を帯び
微風欲喚尚含     微風喚んと欲して 尚枯を含む

(赤い字は韻:七虞   七言絶句平起式)


立春

梅蕾柳條淑気     梅蕾柳條 淑気遅し
今朝黄鳥立春     今朝黄鳥 立春の時 
年来白髪詩情減     年来白髪 詩情減じ
小飲朱顔酒量     小飲朱顔 酒量衰う

(赤い字は韻:四支   七言絶句仄起式)


贈人

講究尋師夜復     講究師を尋ぬ 夜復た晨
談論豪興酒行     談論豪興し 酒行頻なり 
読書万巻蔵今古     読書万巻 今古を蔵す
適意詩情泣鬼     適意詩情 鬼神を泣かしむ

(赤い字は韻:十一真   七言絶句仄起式)


送君

行人痩馬雨潜     行人痩馬に 雨潜潜
折柳送君一水     折柳君を送る 一水の間 
落日寒雲低半樹     落日寒雲 半樹に低れ
悲風惆悵響空     悲風惆悵と 空山に響く

(赤い字は韻:十五刪   七言絶句平起式)



漢詩へ戻る ホームに戻る
inserted by FC2 system