2004年6月


今月の漢詩は五言絶句としました。五言絶句は二句と四句の末字に韻を踏み、二四不同(二六の対はありません)、下三連禁止、二字目の弧平仄禁止の原則を守ることになります。



晩春の雨

細雨黄塵湿      細雨 黄塵湿い
春愁騒客心     春愁す騒客の心 
無情花散否     無情 花散るや否や
把酒暗風沈     酒を把れば 暗風沈たり  

(韻:十二侵   灰起式)




梅 雨

長霖愁屋漏     長霖 屋の漏れるを愁う
風冷雨淫淫     風冷ややかにして 雨淫淫たり
麦熟蛙聲聒     麦熟して 蛙聲聒びすしく
冥冥緑樹深     冥冥として 緑樹深し

(韻:十二侵  平起式)



思 母

故郷千里遠     故郷 千里遠く
慈母待吾歸     慈母 吾が歸りを待つ
衣錦惟何日     錦を衣るは 惟れ何れの日ぞ
客愁看倚扉     客愁 看みす扉に倚る

(韻:十二侵  平起式)



望 郷

歸雁永相憶     歸雁は 永く相憶う
夢遥巡北堂     夢は遥かに 北堂を巡る
懐郷心瑟瑟     懐郷 心瑟瑟たり
行路望渺渺     行路 望めば渺渺たり

(韻:七陽  仄起式)




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