1209月の漢詩
2012年9月の自作漢詩



月夜泛江

九重江閣泛舟来　　　　　九重の江閣　舟を泛て来り
三五夜中清宴開　　　　　三五夜中　清宴開く
掻髪絃歌絲佐興　　　　　髪を掻いて絃歌　絲は興を佐け　
哦詩朗詠酒為媒　　　　　詩を哦して朗詠　酒は興を為す
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（赤い字は韻：十灰　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
夜雨秋思

通宵冷雨響蕭蕭　　　　　通宵冷雨　響蕭蕭
断雁征衣葉葉凋　　　　　断雁征衣　葉葉凋す
欄上蝸牛迎此夜　　　　　欄上の蝸牛　此の夜を迎え　
樹陰蟋蟀応今朝　　　　　樹陰の蟋蟀　今朝に応ず
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（赤い字は韻：二蕭　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
旅館一夜

蕭然孤枕夜如何　　　　　蕭然と孤枕　夜如何せん
旅雁一聲驚睡魔　　　　　旅雁一聲　睡魔驚く
客館無聊空露葉　　　　　客館無聊　露葉空しく　
高台俯仰浩煙波　　　　　高台俯仰すれば　煙波浩たり
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（赤い字は韻：五歌　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
秋夜読書

山雲低蓋雨聲酸　　　　　山雲低く蓋い　雨聲酸たり
夕暮千家灯影寒　　　　　夕暮千家　灯影寒し
多事悉忘滄海夢　　　　　多事悉忘す　滄海の夢　
老懐不判尺書難　　　　　老懐判ぜず　尺書の難
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（赤い字は韻：十四寒　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
中秋無月

逐風行旅路三千　　　　　風に逐われ行旅す　路三千
客意生涯詩百篇　　　　　客意生涯に　詩百篇
疲困酔眠秋入夢　　　　　疲困酔眠すれば　秋は夢に入り　　
月無沈沈夜連天　　　　　月無く沈沈と　夜は天に連る
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（赤い字は韻：一先　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
秋霖凄凄

秋霖連日重凄凄　　　　　秋霖連日　重ねて凄凄
絹水江城宿雁啼　　　　　絹水江城に　宿雁啼く
郷思不堪腸欲断　　　　　郷思堪えず　腸は断たんと欲し　
陰雲送雨不成泥　　　　　陰雲雨を送て　泥を成さず
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（赤い字は韻：八斉　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
秋雨懐郷

江上陰雲煙瞑時　　　　　江上陰雲　煙瞑き時
哀蛩切切雨聲悲　　　　　哀蛩切切　雨聲悲し
郷書不届愁生晩　　　　　郷書届かず　愁の生ずる晩く　
橘柚未黄秋到遅　　　　　橘柚未だ黄ならず　秋の到る遅し
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（赤い字は韻：四支　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
夕暮思

山際朦朧輪月生　　　　　山際に朦朧と　輪月生じ
江邊暮霞閉秋城　　　　　江邊の暮霞　秋城を閉す
紅雲漠漠砧千杵　　　　　紅雲漠漠と　砧千杵　
碧樹蕭蕭雁一聲　　　　　碧樹蕭蕭と　雁一声
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（赤い字は韻：八庚　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
江桜観月

半夜江波蟾影流　　　　　半夜江波に　蟾影流れ
一輪清絶在中秋　　　　　一輪清絶　中秋に在り
碧天鴻雁叫寒水　　　　　碧天に鴻雁　寒水に叫び　
白片断雲生遠愁　　　　　白片の断雲　遠愁を生ず
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（赤い字は韻：十一尤　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
銀台望月

今夜良霄月上山　　　　　今夜良霄　月は山に上り
銀台清絶暮雲還　　　　　銀台清絶　暮雲還る
蕭蕭過雁聲猶咽　　　　　蕭蕭と過雁　聲猶を咽び　
秋影嬋娟意自　　　　　秋影嬋娟　意は自ら閧ﾈり
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（赤い字は韻：十五刪　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
渚桜秋夜

素昊中宵雲気高　　　　　素昊中宵　雲気高く
渚宮前面水滔滔　　　　　渚宮前面　水滔々
精華織細流如箭　　　　　精華細を織り　流れ箭の如く　
滑走扁舟利似刀　　　　　滑走す扁舟　利刀に似る
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（赤い字は韻：四豪　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
中秋明月

極目天涯万里風　　　　　極目天涯　万里の風
江山清絶淡朦朧　　　　　江山清絶　淡くして朦朧
秋三五夜将昇兎　　　　　秋三五夜(十五夜）　将に昇らんとす兎　
皎皎常娥欲叫鴻　　　　　皎皎たる常娥(月）　叫ばんと欲す鴻
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（赤い字は韻：一東　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
牀前看月

秋夜蕭蕭鬱不開　　　　　秋夜蕭蕭　鬱開けず
中庭地白月徘徊　　　　　中庭地白く　月徘徊
安知銀髪関門臥　　　　　安んぞ知らん銀髪　門を関じて臥し　
何事吟朋蕩漿来　　　　　何事ぞ吟朋　漿を蕩して来る
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（赤い字は韻：十灰　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
江村雑事

遍村妻女采桑黄　　　　　遍村の妻女　桑黄を采み
田畝衰翁農事忙　　　　　田畝の衰翁　農事忙し
数雁連空新稲滑　　　　　数雁空に連り　新稲滑に　
蕎花如雪薬苗香　　　　　蕎花雪の如く　薬苗香し
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（赤い字は韻：七陽　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
東山西野

黄昏西野菊香濃　　　　　黄昏の西野に　菊香濃く
黛色東山六六峯　　　　　黛色の東山　六六の峯（三十六峯）
出郭行人憔悴盡　　　　　郭を出る行人　憔悴盡き　
林邱紅染日方舂　　　　　林邱紅に染めて　日方に舂く
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（赤い字は韻：二冬　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
霞浦残映

叢菊両開霜葉丹　　　　　叢菊両開き　霜葉丹く
孤舟一繋夕陽寒　　　　　孤舟一繋　夕陽寒し
江間波碧棹聲急　　　　　江間波碧に　棹聲急に　
霞湖染紅帆影残　　　　　霞湖紅に染て　帆影残す
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（赤い字は韻：十四寒　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
秋郊蕭蕭

江上陰雲荒径斜　　　　　江上陰雲　荒径斜めに
暮霞低隔遠村余　　　　　暮霞低く隔て　遠村余なり
蘆洲淡淡飛残雨　　　　　蘆洲淡淡と　残雨飛び　
秋野疎疎落晩花　　　　　秋野疎疎と　落晩落つ
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（赤い字は韻：六麻　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
早 秋

残暑猶長対夕陽　　　　　残暑猶長く　夕陽に対し
早秋尚嫩送新涼　　　　　早秋尚嫩く　新涼を送る
梧桐枯葉無心白　　　　　梧桐の枯葉は　心無く白に　
清節氷輪有意黄　　　　　清節の氷輪は　意有りて黄なり
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（赤い字は韻：七陽　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
西野秋景

僻巷晴空心自清　　　　　僻巷晴空　心自ら清に
幽篁窓外聴秋聲　　　　　幽篁窓外に　秋聲を聴く
衰翁枯坐堂依竹　　　　　衰翁枯坐す　堂は竹に依り　
西野陀行水向城　　　　　西野を陀行して　水は城に向かう
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（赤い字は韻：八庚　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
早秋夕暮

猶未驕陽残暑時　　　　　猶未だ驕陽　残暑の中
碧梧葉落白雲移　　　　　碧梧葉落ち　白雲移る
夕昏喞喞風来壮　　　　　夕昏喞喞　風の来る壮に　
夜色蒼蒼月上遅　　　　　夜色蒼蒼　月の上る遅し
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（赤い字は韻：四支　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
秋　色

西郊暑退荻花風　　　　　西郊暑退き　荻花の風
東畔涼生碧水通　　　　　東畔涼生じ　碧水通ず
野趣啾啾秋色裏　　　　　野趣啾啾と　秋色の裏　
幽篁嫋嫋夕陽中　　　　　幽篁嫋嫋と　夕陽の中
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（赤い字は韻：一東　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
江城秋色

江城秋色夕陽舂　　　　　江城秋色　夕陽舂き
柿実埋階樹影濃　　　　　柿実り階を埋め　樹影濃なり
泣露粉粉荒径菊　　　　　露に泣き紛紛たり　荒径の菊　
吟風切切遠山松　　　　　風に吟じ切切たり　遠山の松
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（赤い字は韻：二冬　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
秋雨惨淡

陰雲雁影遶荒畦　　　　　陰雲に雁影は　荒畦を遶り
残燕探栖高又低　　　　　残燕栖を探し　高又低
落盡梧桐秋惨淡　　　　　梧桐落盡して　秋惨淡　　
垂頭黄稲雨凄凄　　　　　黄稲頭を垂れて　雨凄凄
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（赤い字は韻：八斉　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
咏牽牛花

嫋嫋涼風九月楼　　　　　嫋嫋たり涼風　九月の楼
荷霖終日未全収　　　　　荷霖終日　未だ全く収まらず
牽牛荷謝商初応　　　　　牽牛荷謝して　商初めて応じ　
雲渡天河火乍流　　　　　雲は天河を渡り　火乍ち流る
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（赤い字は韻：十一尤　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
山楼秋夜

爽節先来夜已深　　　　　爽節先ず来りて　夜已に深く
新涼寄階聴虫吟　　　　　新涼階に寄りて　虫吟を聴く
如霜城市砧聲切　　　　　霜の如き城市に　砧聲切に　
煙凝高楼月影沈　　　　　煙凝り高楼に　月影沈む
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（赤い字は韻：十二侵　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
初秋野景

落日西郊秋満芭　　　　　落日の西郊に　秋は芭に満ち
紅雲東嶺月光斜　　　　　紅雲の東嶺に　月光斜めなり
新涼尚嫩風千里　　　　　新涼尚を嫩く　風千里　
残暑猶長荻数花　　　　　残暑猶を長く　荻数花
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（赤い字は韻：六麻　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
初秋雑興

玉露凋傷野景幽　　　　　玉露凋傷　野景幽に
月華皎皎照人愁　　　　　月華皎皎　人の愁いを照らす
蜻蛉紅染日将暮　　　　　蜻蛉紅に染まり　日将に暮れんとし　
雲色悠悠天正秋　　　　　雲色悠悠　天正に秋なり
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（赤い字は韻：十一尤　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
避暑登桜

避暑登楼一雙輪　　　　　暑を避け楼に登れば　一雙の輪
清樽有酒両三人　　　　　清樽酒有り　両三の人
天階夜色秋期近　　　　　天階夜色　秋期近く　
銀燭冷光涼意新　　　　　銀燭冷光　涼意新たなり
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（赤い字は韻：十一真　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
新涼夜会

残暑登高戴酒過　　　　　残暑高きに登り　酒を戴せて過ぎ
新涼懐遠夜如何　　　　　新涼遠きを懐い　夜如何
牽牛花謝知秋早　　　　　牽牛花謝し　秋を知る早く　
臥看天河得月多　　　　　臥して天河を看れば　月を得る多し
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（赤い字は韻：五歌　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
初聞秋声

西風吹満度秋聲　　　　　西風吹満ち　秋声度り
雲色流河万感生　　　　　雲色河に流れて　万感生ず
涼気悠悠清可掬　　　　　涼気悠悠と　掬すべく　
紫峯漠漠画難成　　　　　紫峯漠漠と　画成り難し
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（赤い字は韻：八庚　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）


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