西州中伏熾炎威 西州中伏 炎威熾に
溽暑如湯計已非 溽暑湯の如く 計已に非なり
赤日燎空憂旱魃 赤日空を燎き 旱魃を憂い
白雲飛火湿麻衣 白雲火を飛し 麻衣を湿す
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午天高臥汗為珠 午天高臥すれど 汗珠を為し
避暑山村涼味無 山村に避暑すれど 涼味無し
烈日炎炎中伏熱 烈日炎炎たり 中伏の熱
満身如酔我忘吾 満身酔うが如く 我れ吾を忘る
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夏日村人祈地蘇 夏日村人 地の蘇らんを祈るも
電光雲雨竟虚無 電光雲雨 竟に虚無
熱終難減不成睡 熱終に減じ難く 睡を成さず
老骨欲枯愁病躯 老骨枯れんと欲して 病躯を愁う
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抛書癒渇氷無功 書を抛ち渇を癒す 氷功無く
赤日消金如火攻 赤日金を消し 火攻めの如し
流汗病翁頻祈雨 汗を流す病翁 頻に雨を祈り
曲肱痩骨待清風 肱を曲げ痩骨 清風を待つ
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如峯傲弄火雲升 峯の如く傲弄 火雲升り
汗滴煩襟気鬱蒸 汗滴り煩襟 気鬱蒸たり
日午旱苗枯欲盡 日午旱苗 枯れて盡んと欲し
瓶中高臥轉難勝 瓶中に高臥し 轉た勝へ難し
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街頭赫赫暑如焚 街頭赫赫と 暑焚くが如く
江上空雷聳夏雲 江上空雷 夏雲聳ゆ
水浴河童張火傘 水浴す河童 火傘を張り
午天日暮帯蝉熏 午天日暮れ 蝉熏を帯びる
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二三西子送香奇 二三の西子 香を送って奇なり
七月東都不忍池 七月東都 不忍池
一陣南風涼気足 一陣の南風 涼気足り
五更待暁月残時 五更暁を待つ 月残の時
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青波映影月嬋妍 青波影を映して 月嬋妍
碧水尋涼上酒船 碧水涼を尋ねて 酒船に上がる
白雨初過心地爽 白雨初て過ぎ 心地爽に
紅蓮和露浄娟娟 紅蓮露に和して 浄娟娟たり
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東西南北柳青青 東西南北 柳青青
一同雅延池畔亭 一同雅延す 池畔の亭
散歩長橋萍泛泛 長橋を散歩す 萍泛泛
風江潮動霧冥冥 風江潮動き 霧冥冥
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西城東岸片帆横 西城東岸に 片帆横たわり
梅雨初過江水平 梅雨初めて過ぎ 江水平なり
小燕雙雙撩乱去 小燕雙雙 撩乱して去り
群蛙閣閣碧畦鳴 群蛙閣閣 碧畦に鳴く
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赤帝消金日正中 赤帝金を消し 日正に中に
旱雲飛火起炎風 旱雲火を飛し 炎風起る
蒼蝿擾擾如雷鼓 蒼蝿擾擾と 雷鼓の如く
欲雨農翁祈社公 雨を欲し農翁 社公に祈る
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西城酷吏暑如焚 西城酷吏 暑焚くが如く
江上炎天只火雲 江上炎天 只だ火雲
日午無聲人困睡 日午聲無く 人困睡し
北窓裸体臥看蚊 北窓裸体にて 臥して蚊を看る
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西城白日午風微 西城白日 午風微に
万象乾枯過客稀 万象乾枯し 過客稀なり
江上空雷都似火 江上空雷 都て火に似て
瘴雲不滅熾炎威 瘴雲滅せず 炎威熾たり
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高天爽気亦全無 高天爽気 亦全く無く
矮屋蒸煩不可居 矮屋蒸煩 居る可らず
赤帝焦身三伏日 赤帝身を焦す 三伏の日
緑陰隠几半心枯 緑陰几に隠りて 半心枯る
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三伏南洲炎熱中 三伏南洲 炎熱の中
驕陽赫赫燎長空 驕陽赫赫と 長空を燎く
溽蒸衣湿汗如雨 溽蒸衣湿い 汗は雨の如く
日午曲肱心力窮 日午肱を曲げ 心力窮まる
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大地生霊半酔中 大地生霊 半酔の中
臥床斗室病眠翁 斗室に臥床す 病眠の翁
飢蚊隠隠不成睡 飢蚊隠隠 睡を成さず
夜暑依然午熱同 夜暑依然として 午熱に同じ
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冥冥細滴雨聲連 冥冥たる細滴 雨聲連り
湛湛長江帯水煙 湛湛たる長江 水煙を帯びる
千里沈陰雲幕幕 千里沈陰 雲幕幕たり
秧風馥郁碧田田 秧風馥郁 碧田田たり
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冥蒙小雨緑陰深 冥蒙たる小雨 緑陰深く
水漲啄魚葉底禽 水漲り魚を啄む 葉底の禽
老燕飄然啼入樹 老燕飄然と 啼いて樹に入り
翠渓寂寞不成音 翠渓寂寞 音を成さず
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西湖水上坐池台 西湖水上 池台に坐し
清露青冥煙霧開 清露青冥 煙霧開く
玉色紅妝香四散 玉色紅妝 香四散し
南薫払面入簾来 南薫面を払い 簾に入り来たる
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雨霽鳩鳴玉漏終 雨霽れ鳩鳴いて 玉漏終り
林間湿潤梵王宮 林間湿潤 梵王の宮
雲峰苔壁亭亭翠 雲峰苔壁 亭亭として翠に
水満池中點點紅 水満ち池中 點點と紅なり
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暁色南薫涼満池 暁色南薫 涼は池に満ち
浮香繞岸露華滋 浮香岸を繞りて 露華滋し
迎風緑蓋青波上 風を迎え緑蓋は 青波の上
映水西施白玉姿 水に映じ西施は 白玉の姿
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疎疎細雨緑為叢 疎疎たる細雨 緑叢を為し
寂寂桐陰冥霧中 寂寂たる桐陰 冥霧の中
水漲雲迷天欲白 水漲り雲迷い 天白からんと欲し
客稀懶出酔顔紅 客稀に出るに懶く 酔顔紅なり
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西都禅寺絶塵埃 西都禅寺 塵埃を絶ち
一陣南風侵暁来 一陣の南風 暁を侵して来る
清露墜珠香十里 清露珠を墜して 香十里
嬌紅含笑二三開 嬌紅笑を含んで 二三開く
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扁舟来到水亭涼 扁舟来到 水亭涼し
湖面青冥倚胡牀 湖面青冥 胡牀に倚す
緑蓋波心浮小葉 緑蓋波心に 小葉を浮かべ
紅粧冉冉散清香 紅粧冉冉と 清香を散ず
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乳燕飄旋落遠汀 乳燕飄旋 遠汀に落ち
蛙聲閣閣帯愁聴 蛙聲閣閣 愁いを帯びて聴く
江村七月新秧長 江村七月 新秧長じ
岸上前山映水青 岸上前山 水に映じて青し
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雲霧難開煙雨深 雲霧開き難く 煙雨深く
梅天易湿昼沈沈 梅天湿い易く 昼沈沈
読書竟日因慵廃 読書竟日 慵に因て廃し
窓暗蕭然獨自斟 窓暗く蕭然と 獨り自ら斟む
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東湖冒暁歩池塘 東湖暁を冒して 池塘を歩す
西子花開畏日長 西子花開いて 日の長きを畏る
含笑凝粧香冉冉 笑みを含み粧を凝して 香冉冉たり
風来珠露撲鴛鴦 風来りて珠露 鴛鴦を撲つ
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深渓採薬緑相侵 深渓薬を採れば 緑相侵す
塵外乗風鐘磬音 塵外風に乗て 鐘磬の音
聳聳連峰雲幕幕 聳聳たる連峰 雲幕幕
三山香域午蕭森 三山香域 午蕭森たり
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七月初晴詩酒催 七月初めて晴れ 詩酒催し
扁舟巡岸且徘徊 扁舟岸を巡りて 且つ徘徊す
芳香満袖微風起 芳香袖に満ちて 微風起り
水面青冥細雨来 水面青冥 細雨来る
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水郷荷葉白参差 水郷荷葉に 白参差
一陣南薫脈脈吹 一陣の南薫 脈脈と吹く
榴火花開紅欲墜 榴火花開いて 紅墜んと欲し
時揺軽扇坐拈詩 時に軽扇を揺ぎ 坐して詩を拈る
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梅天雨霽半晴陰 梅天雨霽れ 半ば晴陰
雲霧難開緑樹林 雲霧開き難し 緑樹の林
麗品芭蕉臨水映 麗品なり芭蕉 水に臨んで映じ
尋芳楼殿帯愁斟 芳を尋ね楼殿に 愁を帯びて斟む
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