疎疎細雨委黄泥 疎疎たる細雨 黄泥に委せ
漠漠園林遶薬畦 漠漠たる園林 薬畦を遶る
前汀家家梅子熟 前汀の家家 梅子熟し
遠空点点暗雲迷 遠空点点 暗雲迷う
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黄梅熟落雨初晴 黄梅熟し落ち 雨初めて晴れ
田水盈盈蛙乱鳴 田水盈盈 蛙乱れ鳴く
柳渚波揺知鳥立 柳渚波揺いで 鳥の立つを知り
細鱗反映覚魚行 細鱗反映して 魚の行くを覚ゆ
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長江雨歇水愈青 長江雨歇み 水愈々青く
曳杖尋芳杜若汀 杖を曳き芳を尋ぬ 杜若の汀
泛水鴛鴦何處去 水に泛ぶ鴛鴦 何の處にか去る
玉波蕩漾柳邊停 玉波蕩漾 柳邊に停る
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風定池蓮洗俗情 風定り池蓮は 俗情を洗い
蛙聲閣閣報新晴 蛙聲閣閣 新晴を報ず
月明船笛炎威去 月明船笛 炎威去り
水殿波揺涼意生 水殿波揺いで 涼意生ず
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山影南薫首夏天 山影南薫 首夏の天
風江潮動翠微煙 風江潮動き 翠微の煙
月前蛍火当窓外 月前の蛍火 窓外に当たり
水裡飢蚊襲枕邊 水裡の飢蚊 枕邊を襲う
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竟日冥冥無處尋 竟日冥冥 尋る處無く
長江湛湛雨成霖 長江湛湛 雨は霖を成す
垣頽屋漏蝕書簡 垣頽屋漏 書簡蝕ばみ
酌酒吟衣霑首襟 酒を酌み吟衣 首襟霑う
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雲興青山煙雨濛 雲は青山に興り 煙雨濛たり
前庭草樹緑陰中 前庭の草樹 緑陰の中
南薫払露苔光潤 南薫露を払い 苔光潤い
欝気難開塵慮空 欝気開き難く 塵慮空し
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一時清涼香火灰 一時清涼 香火灰し
園林湿湿雨肥梅 園林湿湿たり 雨梅を肥す
喚晴聲過老鶯帰 晴れを喚ぶ聲過ぎ 老鶯帰り
携酒求友隣叟来 酒を携し友を求め 隣叟来る
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柳渚芭蕉只吐芬 柳渚の芭蕉 只だ芬を吐き
新林老宇不堪聞 新林の老宇 聞くの堪えず
難開細細孤峰雨 開き難く細細たり 孤峰の雨
流黛溟濛衆壑雲 黛を流し溟濛たり 衆壑の雲
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六月山村霧雨餘 六月山村 霧雨の餘
農夫叱馬破雲鋤 農夫馬を叱し 雲を破て鋤く
草肥径畔黄梅落 草肥え径畔に 黄梅落ち
水漲秧田密又疎 水漲り秧田は 密又疎なり
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隔水楊堤緑一斉 水を隔て楊堤は 緑一斉
対山杜宇喚晴啼 山に対し杜宇は 晴れを喚んで啼く
柴門蘿蔓誰敲戸 柴門蘿蔓り 誰か戸を敲き
獨坐繙書夢易醒 獨坐書を繙くに 夢醒め易し
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梅節寒威不可禁 梅節寒威 禁ずべからず
今宵冷透襲重衾 今宵冷透り 重衾を襲ぬ
幽庭寂漠煙嵐色 幽庭寂漠 煙嵐の色
破屋蕭然雨滴音 破屋蕭然 雨滴の音
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連日西城煙雨中 連日西城 煙雨の中
桐陰苔湿緑為叢 桐陰苔湿い 緑叢を為す
梅天窓暗庭無月 梅天窓暗く 庭に月無し
柳影絲揺檐有風 柳影絲揺れ 檐に風有り
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梅熟園林雲不開 梅は園林に熟し 雲開かず
桐陰寂寂客心摧 桐陰寂寂たり 客心摧く
蘋生洲渚霏霏雨 蘋は洲渚に生じ 霏霏の雨
草露幽香禽啄苔 草露幽香 禽苔を啄む
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煙雨溟濛草欲薫 煙雨溟濛 草は薫せんと欲す
柴門懶出酔醺醺 柴門出るに懶く 酔て醺醺
蕭然濶迴遭A屋 蕭然と濶轤ｷれば 書は屋に連り
欝欝深林樹掃雲 欝欝たり深林 樹は雲を掃う
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連日蕭森懶出盧 連日蕭森 盧を出るに懶く
満城寂漠入梅初 満城寂漠 入梅の初め
枇杷熟落風雷後 枇杷熟落す 風雷の後
榴火真紅霧雨餘 榴火真紅に 霧雨の餘
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樹上双鳩喚雨啼 樹上の双鳩 雨を喚んで啼き
疎疎梅雨竹孫斉 疎疎たり梅雨 竹孫斉す
橘花馥郁供詩料 橘花馥郁 詩料に供し
漠漠連山作畫題 漠漠たる連山 畫題と作す
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寂寂桐陰無處尋 寂寂たり桐陰 尋ぬる處なく
疎疎梅雨獨沈吟 疎疎たり梅雨 獨り沈吟す
帰思難歇故園夢 帰思歇み難く 故園の夢
涕涙未乾孤客心 涕涙未だ乾かず 孤客の心
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鬱葱蔦葉緑冥濛 鬱葱たる蔦葉 緑冥濛
池面青蓮花幾叢 池面青蓮 花幾叢
燕子乗風林影外 燕子風に乗じ 林影の外
啼蛙浮水雨聲中 啼蛙水に浮んで 雨聲の中
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蚕家乳燕語簾前 蚕家の乳燕 簾前に語り
南畝荷風水満田 南畝荷風 水は田に満つ
閣閣群蛙梅雨節 閣閣たり群蛙 梅雨の節
喧喧雲雀麦秋天 喧喧たり雲雀 麦秋の天
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老叟農忙翠滴衣 老叟農忙 翠衣に滴り
田頭刺指白薔薇 田頭指を刺す 白い薔薇
窓前点点黄梅落 窓前点点と 黄梅落ち
雨後丸丸緑豆肥 雨後丸丸と 緑豆肥ゆ
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橋畔戯魚詩酒船 橋畔魚と戯る 詩酒の船
棹聲投釣緑陰前 棹聲釣を投ず 緑陰の前
尋涼曳杖渓流望 涼を尋ね杖を曳き 渓流に望み
酔臥頽然水閣眠 酔臥し頽然と 水閣に眠る
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東山暮色月昇時 東山暮色 月昇る時
風定煙収対緑池 風定り煙収り 緑池に対す
北樹南橋天造画 北樹南橋 天造の画
蓮香自在自然詩 蓮香自在 自然の詩
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筑波山麓踏青行 筑波山麓 青を踏んで行き
愁血滴花帰去聲 愁血花を滴らせ 帰去の聲
榴火凄紅春已逝 榴火凄紅 春已に逝き
幽林萬樹緑陰成 幽林萬樹 緑陰成る
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江園十畝稲苗抽 江園十畝 稲苗抽んじ
晴日暖風老麦秋 晴日暖風 麦秋老いる
樹暗萋萋深翠滴 樹暗萋萋 深翠滴り
青池点点水華浮 青池点点 水華浮かぶ
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風江潮動水愈青 風江潮動き 水愈々青く
新月茫茫杜若汀 新月茫茫たり 杜若の汀
樹下緑苔含冷露 樹下の緑苔 冷露を含み
飃飃荷葉撲流蛍 飃飃と荷葉は 流蛍を撲つ
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十風五雨緑陰稠 十風五雨 緑陰稠し
迎夏江村麦已秋 迎夏江村 麦已に秋なり
永日咬泥堂上燕 永日泥を咬む 堂上の燕
玉波蕩漾水中鴎 玉波蕩漾 水中の鴎
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無窮草樹暮涼天 無窮草樹 暮涼の天
水殿南風浮白蓮 水殿南風 白蓮浮かぶ
魚躍池邊蛙鼓裏 魚躍る池邊 蛙鼓の裏
階前偏照月明前 階前偏に照す 月明の前
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無風有月萬星明 風無く月有り 萬星明るく
光照緑苔夜亦清 光は緑苔を照らし 夜亦た清し
峰頂白波雲樹色 峰頂白波 雲樹の色
巌陰消闇澗泉聲 巌陰闇に消る 澗泉の聲
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涼風拂面満楼台 涼風面を拂て 楼台に満ち
杜若菖蒲夏色開 杜若菖蒲 夏色開く
燿燿流火無限趣 燿燿たる流火 趣限り無く
飃飃衣袂両三杯 飃飃たり衣袂 両三杯
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