1205月の漢詩
2012年5月の自作漢詩



水　殿

南北東西風度時　　　　　南北東西　風度る時
玉波蕩漾意無限　　　　　玉波蕩漾　意は限り無し
酒旗水殿欣延客　　　　　酒旗水殿　欣んで客を延べ　
遠近停舟笑賦詩　　　　　遠近舟を停め　笑って詩を賦す
○●○○○●◎
●○●●●○◎
○○●●○○●
●●○○●●○

（赤い字は韻：四支　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
五月雨

五月風薫水満田　　　　　五月風薫り　水は田に満ち
農翁耕作日如年　　　　　農翁耕作　日は年の如し
群蛙葉上青荷乱　　　　　群蛙葉上に　青荷乱れ　
孤蝶花陰白雨懸　　　　　孤蝶花陰に　白雨懸かる
●●○○●●◎
○○○●●○◎
○○●●○○●
○●○○●●○

（赤い字は韻：一先　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
梅天寂寥

江村五月草蕭蕭　　　　　江村五月　草蕭蕭
終日梅天雨滴蕉　　　　　終日梅天　雨蕉に滴る
門外紫桐飛寂寂　　　　　門外の紫桐　飛んで寂寂
幽煙翠岳望迢迢　　　　　幽煙翠岳　望めば迢迢
○○●●●○◎
●●○○●●◎
○●●○○●●
○○●●●○◎

（赤い字は韻：二蕭　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
暮春聞鵑

一簾細滴雨聲頻　　　　　一簾細滴　雨聲頻に
樹暗梅天寂四隣　　　　　樹暗梅天　四隣寂たり
幾日残花春已逝　　　　　幾日か残花　春已に逝き
血啼腸断獨傷神　　　　　血啼き腸断ち　獨り神を傷む
●○●●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
●○○●●○◎

（赤い字は韻：十一真　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
初夏行楽

紫峯山麓踏青行　　　　　紫峯山麓　青を踏んで行く
深樹陰中帰去聲　　　　　深樹陰中に　帰去の聲
野水濺濺空翠滴　　　　　野水濺濺　空翠滴り
斜陽紅照暮雲平　　　　　斜陽紅に照らし　暮雲平なり
●○○●●○◎
○●○○○●◎
●●○○○●●
○○○●●○◎

（赤い字は韻：八庚　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
懐郷万里

啼月遊魂繚乱飛　　　　　月に啼き遊魂　繚乱して飛び
千年冤魄不如帰　　　　　千年冤魄　帰るに如かず
故人書断猶存否　　　　　故人書断え　猶存するや否や　
万里遥思果是非　　　　　万里遥に思う　果して是か非か
○●○○●●◎
○○○●●○◎
●○○●○○●
●●○○●●○

（赤い字は韻：五微　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
暮春残映

古藤花落乱如絲　　　　　古藤花落ち　乱れて絲の如く
杜宇三聲啼血悲　　　　　杜宇三聲　啼血悲しむ
多病更残催老早　　　　　多病更に残し　老を催すは早く
不才夢断得遅　　　　　不才夢断え　閧得るは遅し
●○○●●○◎
●●○○●●◎
○●○○○●●
●○○●●○◎

（赤い字は韻：四支　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
梅　霖

山園三畝菜蔬甘　　　　　山園三畝　菜蔬甘く
昨夜梅霖水漲潭　　　　　昨夜梅霖　水潭に漲る
曳杖来追嵐翠滴　　　　　杖を曳て来追すれば　嵐翠滴り
薫風疎竹露珠含　　　　　薫風疎竹　露珠含む
○○○●●○◎
●●○○●●◎
○●○○○●●
○○○●●○◎

（赤い字は韻：十三覃　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
江邊五月

江邊五月麦雲秋　　　　　江邊五月　麦雲の秋
晴日南風一釣舟　　　　　晴日南風　一釣の舟
孤燕鋭飛過柳渚　　　　　孤燕鋭飛し　柳渚を過ぎ
双鴎緩行傍蘆洲　　　　　双鴎緩行し　蘆洲に傍ふ
○○●●●○◎
○●○○●●◎
●●●○○●●
○○●●●○◎

（赤い字は韻：十一尤　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
終春事

首夏南風入柳條　　　　　首夏南風　柳條に入り
吹過横塘酒旗揺　　　　　横塘を吹き過ぎ　酒旗揺らぐ
摘茶収麦惟無事　　　　　茶を摘み麦を収め　惟だ事無く　
觴酌悠悠陋巷瓢　　　　　觴酌悠悠　陋巷の瓢
●●○○●●◎
○○○●●○◎
●○○●○○●
●●○○●●○

（赤い字は韻：二蕭　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
初夏新竹

雨過江潭山更鮮　　　　　雨は江潭を過ぎ　山更に鮮に
草深樹暗古藤纏　　　　　草深く樹暗く　古藤纏う
一窓脩竹碧如染　　　　　一窓脩竹　碧染むるが如く　
小蝶穿花紅欲然　　　　　小蝶花を穿て　紅然えんと欲す
●●○○○●◎
●○●●●○◎
●○●●●○●
●●○○○●○

（赤い字は韻：一先　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
初夏江村

春去江堤長蕨薇　　　　　春去り江堤に　蕨薇長じ
夏来麦隴一鵑飛　　　　　夏来り麦隴に　一鵑飛ぶ
窓前垂糸藤花落　　　　　窓前糸を垂れ　藤花落ち　
雨後如争早筍肥　　　　　雨後争う如く　早筍肥ゆ
○●○○●●◎
●○●●●○◎
○○○●○○●
●●○○●●○

（赤い字は韻：五微　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
残　春

門外榴紅處處村　　　　　門外榴紅　處處の村
田頭閣閣乱蛙喧　　　　　田頭閣閣　乱蛙喧し
蝶来芍薬残春色　　　　　蝶芍薬に来りて　残春の色　
雨過千家屋漏痕　　　　　雨千家を過ぎて　屋漏の痕
○●○○●●◎
○○●●●○◎
●○●●○○●
●●○○●●○

（赤い字は韻：十三元　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春　嵐

雨後稍抽新筍甘　　　　　雨後稍々抽ず　新筍甘く
雙騒斗酒小茅庵　　　　　雙騒斗酒　小茅庵
江城皎皎春宵月　　　　　江城皎皎　春宵の月　
窓外香風滴翠嵐　　　　　窓外香風　翠嵐滴る
●●●○○●◎
○○●●●○◎
○○●●○○●
○●○○●●○

（赤い字は韻：十三覃　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
暮春暖風

挿田農父叱耕牛　　　　　挿田の農父　耕牛を叱り
白髪波浪近麦秋　　　　　白髪波浪　麦秋近し
晴日暖風新翠滴　　　　　晴日暖風　新翠滴り
江村五月夕陽収　　　　　江村五月　夕陽収まる
●○○●●○◎
●●○○●●◎
○●●○○●●
○○●●●○◎

（赤い字は韻：十一尤　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
初夏緑陰

風揺黄蝶舞簷前　　　　　風揺いで黄蝶は　簷前に舞い
水満香魚躍浅淵　　　　　水満ちて香魚は　浅淵に躍る
落盡椿花紅布徑　　　　　椿花落ち盡し　紅徑に布き
夭夭樟樹緑遮天　　　　　樟樹夭夭と　緑天を遮る
○○○●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
○○○●●○◎

（赤い字は韻：一先　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
初夏田園

茅屋門前榴火焼　　　　　茅屋門前に　榴火焼け
江西麦隴草蕭蕭　　　　　江西麦隴　草蕭蕭
早朝濃霧煙浮竹　　　　　早朝濃霧　煙竹に浮かび　
午後風生雨洗蕉　　　　　午後風生じ　雨蕉を洗う
○●○○○●◎
○○●●●○◎
●○●●○○●
●●○○●●○

（赤い字は韻：二蕭　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
江村首夏

流水濺濺暑気微　　　　　流水濺濺　暑気は微に
江村五月去綿衣　　　　　江村五月　綿衣を去る
群蛙跳上藤花落　　　　　群蛙跳び上って　藤花落ち　
乳燕来訪梅子肥　　　　　乳燕来訪し　梅子肥ゆ
○●○○●●◎
○○●●●○◎
○○○●○○●
●●○○○●○

（赤い字は韻：五微　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
新　緑

庭樹紅稀水上村　　　　　庭樹紅稀なり　水上の村
十風五雨迸竜孫　　　　　十風五雨　竜孫迸る
啼蛙閣閣聲環屋　　　　　啼蛙閣閣　聲屋を環り　
新翠夭夭影映門　　　　　新翠夭夭　影門に映ず
○●○○●●◎
●○●●●○◎
○○●●○○●
○●○○●●○

（赤い字は韻：十三元　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
麦　風

残春青隴麦風軽　　　　　残春青隴に　麦風軽く
経雨紅深花満城　　　　　雨を経て紅深く　花城に満つ
高閣斜暉涼気漲　　　　　高閣斜暉　涼気漲り
菜園日暮緑陰清　　　　　菜園日暮　緑陰清し
○○○●●○◎
○●○○○●◎
○●○○○●●
●○●●●○◎

（赤い字は韻：八庚　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
惜　花

眼随片片惜花愁　　　　　眼は片片に随い　惜花の愁
叢竹双鶯今在不　　　　　叢竹の双鶯　今在りや不や
委地一枝紅薬老　　　　　地に委し一枝　紅薬老い
飄風満樹緑陰幽　　　　　風に飄り満樹　緑陰幽なり
●○●●●○◎
○●○○○●◎
●●●○○●●
○○●●●○◎

（赤い字は韻：十一尤　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
落　花

暮春何意雨凄凄　　　　　暮春何の意ぞ　雨凄凄
風急長江水拍堤　　　　　風急に長江　水は堤を拍つ
恨満枝枝窓欲暗　　　　　恨は枝枝に満ち　窓暗からんと欲し
落花片片踏為泥　　　　　落花片片　踏んで泥と為る
●○○●●○◎
○●○○●●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎

（赤い字は韻：八斉　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
傷　春

将暮傷春懶更加　　　　　将に暮れんと春を傷んで　懶更に加わり
東風吹雨寂無譁　　　　　東風雨を吹いて　寂として譁無し
長年多病消愁酒　　　　　長年多病　愁いを消す酒　
半夜沈沈破睡茶　　　　　半夜沈沈　睡を破る茶
○●○○●●◎
○○○●●○◎
○○●●○○●
●●○○●●○

（赤い字は韻：六麻　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
江村暮春

初夏花衰薬草肥　　　　　初夏花衰え　薬草肥え
陰雲着雨燕双飛　　　　　陰雲雨を着け　燕双飛ぶ
江邊麦秀鶯猶在　　　　　江邊麦秀で　鶯猶を在り　
園裡春深蝶已稀　　　　　園裡春深く　蝶已に稀なり
●●○○●●◎
○○●●●○◎
○○●●○○●
○●○○●●○

（赤い字は韻：五微　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
雨中送春

疎籬緑水飽春風　　　　　疎籬緑水　春風に飽き
幾日残花逐落紅　　　　　幾日か残花は　落紅を逐う
為惜懶鶯林影外　　　　　為に惜しむ懶鶯は　林影の外
誰知雲雀雨聲中　　　　　誰か知る雲雀は　雨聲の中
○○●●●○◎
●●○○●●◎
●●●○○●●
○○○●●○◎

（赤い字は韻：一東　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
春野競艶

枝枝如笑百花然　　　　　枝枝笑う如く　百花然え
灼灼芳姿倶闘妍　　　　　灼灼たる芳姿　倶に妍を闘はす
秀色流霞明媚景　　　　　秀色霞を流して　明媚の景
恣風送暖艶陽天　　　　　恣風暖を送りて　艶陽の天
○○○●●○◎
●●○○○●◎
●●○○○●●
●○○●●○◎

（赤い字は韻：一先　七言絶句平起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）
牡丹園

萬岳紫雲香霧横　　　　　萬岳紫雲　香霧横り
一園国艶載酒行　　　　　一園国艶　酒を載て行く
千花紅錦迎人笑　　　　　千花紅錦　人を迎えて笑い　
百草青羅随意生　　　　　百草青羅　意に随て生ず
●●●○○●◎
●○●●●○◎
●○○●○○●
●●○○●●○

（赤い字は韻：八庚　七言絶句仄起式　　平音は○、仄音は●、韻は◎）
（平仄規則は２・４不同、２・６対、１・３・５不論、４字目孤平不許、下三連不許、同字相侵）


漢詩へ戻る ホームに戻る
inserted by FC2 system