渚清沙白早霜繁　　　　　渚清く沙白く　早霜繁し　
遠仰寒山紅葉村　　　　　寒山を遠く仰ぐ　紅葉の村
掩屋竹叢遮雨露　　　　　屋を掩う竹叢は　雨露を遮り　
東籬黄菊給晨昏　　　　　東籬の黄菊　晨昏に給す
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秋風颯颯暮煙飛　　　　　秋風颯颯　暮煙飛び　
馥郁菊籬香入衣　　　　　馥郁たる菊籬　香は衣に入る
多病衰翁寒覚早　　　　　多病の衰翁　寒覚え早く　
指南雁度信来稀　　　　　南を指し雁度るとも　信来るは稀なり
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晩節梧桐揺落時　　　　　晩節の梧桐　揺落の時
長堤薄白草離離　　　　　長堤の薄白く　草は離離たり
孤村寂漠秋将老　　　　　孤村寂漠　秋将に老い
一路歴霜黄菊衰　　　　　一路霜を歴て　黄菊衰う
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嵐気縦横宿鳥驚　　　　　嵐気縦横　宿鳥驚き
寒燈寂漠坐深更　　　　　寒燈寂漠　深更に坐す
空院丈室無人語　　　　　空院丈室　人語無く
桐下虚檐滴雨聲　　　　　桐下虚檐に　雨聲滴る
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橘柚江村三逕荒　　　　　橘柚の江村　三逕荒れ
梧桐落影夜方長　　　　　梧桐影を落して　夜方に長し
懐郷書信孤燈下　　　　　懐郷信を書く　孤燈の下
虫韻忘憂流水傍　　　　　虫韻憂を忘る　流水の傍
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夜色秋光已正宵　　　　　夜色秋光　已に正宵
疎燈自照意蕭條　　　　　疎燈自ら照らし　意蕭條たり
異郷老骨身難寄　　　　　異郷に老骨　身を寄せ難く
一枕回懐夢且遥　　　　　一枕回懐すれば　夢且つ遥かなり
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満天銀漢雁南翔　　　　　満天の銀漢に　雁南へ翔り　
露下寒風草樹荒　　　　　露下寒風　草樹荒れる
万里江邊雲共水　　　　　万里江邊　雲は水と共にし　
千家深夜月如霜　　　　　千家深夜　月は霜の如し
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毎逢佳節白頭新　　　　　佳節に逢う毎に　白頭新たに　
獨居空江燈火親　　　　　空江に獨居して　燈火に親しむ
満月猶懸還照客　　　　　満月猶を懸りて　還た客を照らし　
徘徊形影更随人　　　　　徘徊すれば形影は　更に人に随う
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残秋暮景落紅薫　　　　　残秋暮景　落紅薫し　
風急天高雁陣分　　　　　風急に天高く　雁陣分る
褐変如飛霜後葉　　　　　褐変飛ぶが如く　霜後の葉　
中宵掩桂雨餘雲　　　　　中宵桂を掩う　雨餘の雲
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江桜夕照対残霞　　　　　江桜夕照　残霞に対し　
雅會高吟笑語譁　　　　　雅會高吟　笑語譁し
白髪遊人須酩酊　　　　　白髪の遊人　須く酩酊し　
黄花籬下任欹斜　　　　　黄花は籬下に　欹斜に任す
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残響綿綿聞暮鐘　　　　　残響綿綿と　暮鐘を聞く
哀聲切切石中蛩　　　　　哀聲切切たり　石中の蛩
中秋金桂芳香遍　　　　　中秋の金桂　芳香遍く
荒逕黄英菊気濃　　　　　荒逕の黄英　菊気濃かなり
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江上紅雲蜻蛉翻　　　　　江上紅雲　蜻蛉翻り
高楼対月夕煙昏　　　　　高楼月に対し　夕煙昏し
孤舟一繋蒹葭浦　　　　　孤舟一繋　蒹葭の浦
叢菊双開橘柚村　　　　　叢菊双開す　橘柚の村
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天高携信雁初飛　　　　　天高く信を携え　雁初めて飛び　
兄弟菊觴香入衣　　　　　兄弟菊觴　香は衣に入る
颯颯秋風寒葦動　　　　　颯颯たる秋風　寒葦動き　
悠悠連嶂午煙微　　　　　悠悠たる連嶂　午煙微なり
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江邊緩歩夕陽舂　　　　　江邊緩歩　夕陽舂き　
何所花園問老農　　　　　花園何処と　老農に問う
籬菊放香秋暑浅　　　　　籬菊香を放ちて　秋暑浅く　
�闖ｼ渺渺暮煙濃　　　　　�闖ｼ渺渺と　暮煙濃なり
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雅人多在酔東籬　　　　　雅人多在　東籬に酔う　
散策故園光陰移　　　　　故園を散策すれば　光陰移る
沙白渚清秋色好　　　　　沙白く渚清くして　秋色好く　
霜風颯颯菊花衰　　　　　霜風颯颯と　菊花衰う
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梵聲香城一塵無　　　　　梵聲香城に　一塵無く　
独居更深燭影孤　　　　　独居更に深く　燭影孤なり
夜色秋光通点点　　　　　夜色秋光　点点と通じ　
空山皎皎吐明珠　　　　　空山皎皎と　明珠を吐く
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十月化城松影横　　　　　十月化城　松影横り
空山寂漠月三更　　　　　空山寂漠として　月三更
梧桐廃葉已無色　　　　　梧桐の廃葉　已に色無く
帰雁天高先有聲　　　　　帰雁天高くして　先ず聲有り
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絹水江城夜偏長　　　　　絹水江城　夜偏に長し
窮愁橘柚思家郷　　　　　窮愁橘柚　家郷を思う
桂香対酒孤秋月　　　　　桂香酒に対す　孤秋の月
顔色凄然両鬢霜　　　　　顔色凄然　両鬢の霜
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僻村独居晩蕭蕭　　　　　僻村独居　晩蕭蕭たり　
江隴蕎花明月邀　　　　　江隴蕎花　明月を邀う
霜草蒼蒼寒蟋蟀　　　　　霜草蒼蒼たり　寒蟋蟀　
疎燈暗暗雨芭蕉　　　　　疎燈暗暗たり　雨芭蕉
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空山秋色暮天雲　　　　　空山秋色　暮天の雲　
柳渚黄昏日夜分　　　　　柳渚黄昏　日夜分つ
霜草蒼蒼寒露洗　　　　　霜草蒼蒼　寒露洗い　
江城千家夕陽薫　　　　　江城千家　夕陽薫す
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獨坐読書燈火親　　　　　獨坐し読書　燈火親しむ
蒼天露下月如輪　　　　　蒼天露下　月は輪の如し
蕎花欺雪十三夜　　　　　蕎花雪を欺く　十三夜
江渚銀台一曲新　　　　　江渚銀台　一曲新たなリ
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去歳老翁筋力衰　　　　　去歳老翁　筋力衰え
今秋気窒苦低垂　　　　　今秋気窒ぎ　低垂に苦しむ
飄然枯葉西風裡　　　　　飄然たる枯葉　西風の裡
淅瀝寒威襟袖知　　　　　淅瀝たる寒威　襟袖知る
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秋霖細細隔雲泥　　　　　秋霖細細　雲泥を隔ち　
黛色昏煙路欲迷　　　　　黛色昏煙　路迷んと欲す
橘柚緑黄疎雨外　　　　　橘柚緑黄に　疎雨の外　
江村熟柿紫峯西　　　　　江村熟柿　紫峯の西
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江邊暮雨浩煙波　　　　　江邊暮雨　煙波浩たり　
郷思不堪無幾何　　　　　郷思堪えず　幾何とも無し
軒下空虚巣燕少　　　　　軒下は空虚　巣燕少く　
庭中凄惨病蝉多　　　　　庭中は凄惨　病蝉多し
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離別京都歳月遥　　　　　京都を離別し　歳月遥かに
空懐老骨気蕭條　　　　　空懐す老骨　気は蕭條
月明秋思愁低斂　　　　　月明秋思　愁は低く斂り
皎皎天光涙暗銷　　　　　皎皎たる天光　涙は暗に銷す
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江上陰雲愁更酸　　　　　江上陰雲　愁更に酸たり
哀蛩切切井梧寒　　　　　哀蛩切切と　井梧寒し
蕎花淡白秋光早　　　　　蕎花淡白に　秋光早く
零露無聲夜色闌　　　　　零露聲無く　夜色闌なり
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孤駅黄昏秋暮天　　　　　孤駅黄昏　秋暮の天
雁聲一笛破寒煙　　　　　雁聲一笛　寒煙を破る
梧桐寂漠催黄落　　　　　梧桐寂漠　黄落を催し
灯下蕭然老病蝉　　　　　灯下蕭然と　病蝉老ゆ
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栖遠帰鴉上下迷　　　　　栖遠く帰鴉　上下に迷い
侵階暗夜雨凄凄　　　　　階を侵して暗夜　雨凄凄たり
無人戴酒空欹枕　　　　　酒を戴る人無く　空しく枕を欹て
不適郷心皓首啼　　　　　郷心適わず　皓首啼く
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如何泥径旅人悲　　　　　泥径如何せん　旅人悲しみ　
不歇秋霖水満池　　　　　秋霖歇まず　水池に満つ
渺渺大河長雨注　　　　　渺渺たる大河に　長雨注ぎ　
誰知一夜壊橋危　　　　　誰か知らん一夜にして　壊橋危しと
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禾稼班点未全収　　　　　禾稼班に点し　未だ全く収めず　
白髪独居無那愁　　　　　白髪独居して　愁いを那するとも無し
兀坐望郷千里夢　　　　　兀坐し望郷　千里の夢　
高山明鏡一天秋　　　　　高山明鏡　一天の秋
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高楼対月武昌城　　　　　高楼月に対す　武昌城　
冷気覆江煙霧生　　　　　冷気江を覆い　煙霧生ず
零露無聲秋半急　　　　　零露聲無く　秋半ば急に　
中庭地白夜深明　　　　　中庭地白く　夜深く明なり
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