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ベンジャミン・フルフォード著 「世界と日本の絶対支配者ルシフェリアン」

  講談社(2008年11月)

世界の最終支配を企む闇の勢力の代表 ロスチャイルドとロックフェラー

1961年カナダの外交官の家に生まれ、上智大学を経てカナダのブリティシュ・コロンビア大学卒業。日経ウィークリー記者、米国経済誌「フォーブス」のアジア太平洋支局長を務めて、現在はフリーのジャーナリストである。日本の国内メディアでは殆どタブーとされているようなテーマに度々言及し、それを正面から問題提起するスタンスで多数の書籍を発表する一方、メディアの在り方それ自体をも強烈に批判している。近年は『 9・11テロ捏造―日本と世界をだまし続ける独裁国家アメリカ 』(徳間書店)や『 暴かれた9.11疑惑の真相。 』(扶桑社)で、9.11の同時多発テロおよびそれ以降のアメリカの暗部等をも広く扱うようになった。 一方でアジアとの協調を主張し、日本はアジアと連携し、堕落した西洋社会の支配を打ち破るべきだと主張している。ヤクザ・リセッション、泥棒国家(クレプトクラシー)、八百長国家、銀行批判、裁判所批判、マスコミ批判、日本の経済破綻、アメリカ同時多発テロ事件、ユダヤ問題への言及、地震とアメリカ政府のプラズマ兵器などを話題にして、常識を打ち破るような危険な意見を述べては世間を騒然とさせている。

わたしは危険な意見だけに、ひょっとしたら真実かも知れないと思うと、秘密を知った者だけが味わう麻薬的な快感を覚える。 本書は9.11事件をロックフェラー石油財閥をバックにしたブッシュら米国ネオコン一味の自作自演の戦争のシナリオだと断定する。そして9.11事件がアフガニスタン・イラク戦争に発展し、石油資本はガスと石油の膨大な利権を手にしたのである。結果から見るとその通りに解釈できる。わたしも9.11事件を「満州鉄道爆破事変」と見た。その結果満州国が出来たのだから。本書はこれらの戦争を計画した闇の勢力の探求に入る。ネオコンを操るのは表向きは石油エネルギー資本である、ロスチャイルドとロックフェラーが浮かび上がってくる。しかし本書はもっとトップにいる最終戦争(世界帝国)を希求する勢力として「絶対支配者ルシフェリアン」を想定するのである。古代バビロニアの堕天使ルシファーまで遡る。カトリックキリスト教により排斥された邪教集団である。かれらがユダヤ人に紛れ込んで金融資本を形成し、欧州で戦争ビジネスを開始する。数々の歴史的戦争を検証して、戦争遂行に資金を供給したルシフェリンの指導者ロスチャイルド家の支配を明らかにする。フランス革命と米国独立戦争そして明治維新、ロシア革命までロスチャイルド家の仕業だという。イギリス金融を支配したロスチャイルドと手を組んだ石油・鉄道資本ロックフェラーがアメリカを乗っ取ったのは20世紀始めである。彼らが第1次世界大戦でロシア革命を演じ、第2次世界大戦でイスラエルと云うユダヤ国家をでっち上げ、9.11以後のイラク戦争で古代バビロニアの地を支配したのだ。地球温暖化論争は石油資本と原子力資本の争いに過ぎず、ルシフェリンのリスクヘッジである。そして地球環境問題に優生思想と差別思想を混入して未開発国の抹殺を狙っているというのだ。

ところが、ルシフェリンによってアメリカ自身がめちゃくちゃにされ、国家財政は破綻し、ドル崩壊も真近い。ロシアやインド、中国、中南米では米国支配からの独立に希望を見出している。というお話であるが、どうですか、信じますか。たしかにソ連崩壊後はアメリカ一国主義が露骨で、対イスラム原理主義戦争のストーリーに活路を見出そうとしている事は確かである。アメリカの戦争ビジネス、経済破壊ビジネス、グローバル経済支配、メディア支配を問題にした著書を読んできたが、その推進勢力は帰納法的にいえば経済界の少数の支配者群(奥の院)として注目していた。それだけでも十分説明可能なのであるが、本書のいう「絶対支配者ルシフェリン」を設定した演繹法の説明は概念として主体論争として面白い。その実体があるのかというとわからない。しかしキューバ危機を回避したケネディ大統領を暗殺した勢力が絶対支配者ルシフェリンの手先であると云う説明は説得力がある。J.Fケネディだけでなくケネディ一家の3人まで暗殺されたのだから、ますます真実味を帯びてくる。セキュリティが一番厳しいはずの大統領が暗殺されるということは、9.11事件でスクランブル発進をさせなかった空軍の不可解さと同じレベルである。別の支配者を想定しなければ、アメリカを誰が支配しているのか説明が付かないのである。

戦争ビジネスとアメリカの世界支配戦略については、ノーム・チョムスキー著 「覇権か生存かーアメリカの世界戦略と人類の未来ー」 集英社新書(2004年9月)
破壊ビジネスについては、原田武夫著 「仕掛け、壊し、奪い去るアメリカの論理」 ブックマン社(2007年1月)
金融経済を支配する財閥については、広瀬隆著 「アメリカの経済支配者」 集英社新書(1999年12月)
9.11事件謀略説(自作自演説)については、デヴィッド・グリフィン著 「9.11事件は謀略か」 緑風出版(2007年9月刊)
核兵器戦略については、へレン・カルディコット著 「狂気の核武装大国アメリカ」 集英社新書(2008年7月刊)
石油支配戦略については、浜田和幸著 「石油の支配者」 文春新書(2008年10月)
メディア支配については、ノーム・チョムスキー著 「メディアコントロールー正義なき民主主義と国際社会ー」 集英社新書(2003年4月)
を「読書ノート」において紹介したので、参考にして欲しい。アメリカの戦略を概観するため、下に要点を記す。

ノーム・チョムスキー著 「覇権か生存かーアメリカの世界戦略と人類の未来ー」 集英社新書
アメリカの国家安全保障戦略は、対等な競争相手のいない一極世界を維持するために根本的に取り組みべきことは、相手が対等になろうとする意志を挫くことである。そのために防衛の国際的な規範(国際法、国連憲章)を無視し、アメリカを制約することから徹底して自由になることである。アメリカは意のままに「予防戦争」を開始する権利を主張する。「恐れがある」と思えば国連を無視して、自由にイラク戦争をすることが出来るのである。アメリカ帝国の壮大な戦略の目的はアメリカの権力と地位と威信を脅かす全ての朝鮮を阻止することだ。予防戦争の標的になる場合次の条件がなければならない。1:相手には抑止力が無い、2:倒すべき価値のあること、3:相手を究極の悪と決め付け我々の脅威と描く方法があること である。そういう意味でフセインとイラクは理想的な相手であった。(イラクは湾岸戦争以来経済封鎖で崩壊寸前まで窮迫していたので戦争する力はなかった、石油資源の管理はアメリカエネルギー産業にとって垂涎の的だ、フセインにはクルド人虐殺という汚名がある。あとは大量破壊兵器を持っている恐れがあるという口実だけで十分だ。徳川家康が幼少の豊臣秀頼を絞め殺すくらい簡単なこと)まさにイラクはアメリカにとって予防戦争政策の実験台にとってうってつけであった。拒否権の行使によってアメリカ単独行動主義は国連をお払い箱にした。ブッシュとパウエルに「アメリカには国連安全保障理事会はいらない」とまで言わしめた。

原田武夫著 「仕掛け、壊し、奪い去るアメリカの論理」 ブックマン社
米国の国内でも実は永久的に支配する側と支配される側の関係が固定されている。普段は見えにくい支配する側を「奥の院」と呼ぼう。奥の院は何かというと金融資本主義で利益を上げる複数の閨閥家族である。それはイギリスからの移民者でアメリカを創造した家族の子孫である。具体的にいえばロックフェラー家、カーネギー家、ヴァンダービルト家、アスター家、メロン家、ヂュポン家、モルガン家などを指すようで、資産額は10−20兆円である。米国は「自由で民主的な国家というイメージで語られるが、これは奥の院の余裕なのだ。奥の院はその富でもって政府、軍、情報機関を支配する。奥の院はこれらの機関を使って、買収する企業や国の価値をまず下げる工作、リスクの演出をする。株の価値が下ったら買収にかかる。米国の支配者と金融資本主義が日本に仕掛けてくる規制緩和と企業買収のもたらす危険性と対処法を描いたものであるが、本書はそのショッキングな書名からして、米国金融資本の恐るべき収奪システムを明快に説明されている点で驚愕の一言である。世界中から資産を奪うために米国の政治・軍事・情報・金融機関が一体となって機能する構造を見るべきだという。日本の歴代政府・首相は唯々諾々とアメリカの要求に従って国民の財産を売り、世界にほこる生産システムや社会制度を構造改革と称して破壊してきた。

広瀬隆著 「アメリカの経済支配者」 集英社新書
日本に多大な犠牲を強いて、世界経済を動かしているアメリカの真の支配者は政治の表に出る大統領でもなく二大政党でもない。ロックフェラー、ヴェンダービルト、モルガン、アスター、グッケンハイム、など少数の財閥の閨閥である。彼らは欧州の財閥ロスチャイルドとも繋がっており、ウォール街のビジネスはその指示と要請にしたがって動かされる。ヘッジファンドの大物ですら実は財閥に使用されると投棄屋に過ぎない。村上ファンドは更にその下の日本エージェントの使い走りである。現在に日本やアジアは欧米財閥の金融資本主義の猛威に翻弄され、国家全体が傾きかねないほどの影響と略奪を受けてきた。戦争と石油とエレクトロニックスという産業投資によって20世紀は大いに活況を呈したが、世紀末から米国は金融資本主義一辺倒になりヘッジファンドやデリバティブの証券投機に邁進し、世界の国々でハゲタカ金融による破壊ビジネスで大金を稼いだ。このために全ての経済秩序が失われた。確かに金は産業投資で重要なものではあるが、それが一極に集中して大多数を貧困に追い込む原則は避けなければならない。投機が投機を呼ぶ狂った現状は改めなければならない。1990年代は日本は米国によって金融機関が大打撃をうけ、買収により国民の富がアメリカに持ってゆかれた。日本人はアメリカのエージェンシー(経済評論家・官僚・政治家・米系金融機関で働く日本人)から抜け出し、経済を産業(実業)の裏付けによって実りある物に再構築しなければならない。

デヴィッド・グリフィン著 「9.11事件は謀略か」 緑風出版
9.11事件に対するアメリカの反応は真珠湾攻撃に対する反応と同じものであるべきだとブッシュUおよび政府関係者・メディアは宣伝してきた。公式見解は「偶然説」に分類される。報道管制を敷いて市民的自由を「愛国者法」で封じ込め、それからアフガニスタン戦争とイラク戦争へ突っ走った。ブッシュUの帝国主義を、本書の序文を書いたプリンストン大学教授リチャード・フォーク氏は「地球支配計画」と呼んだ。9.11事件について報道機関はやるべき仕事をおこなわなかったばかりでなく、ニューヨークタイムズのような主流メデァが調査報道を許可しなかった。公式説明への反論は戦争準備を妨げるものとして排斥され、非愛国的であるだけでなく神聖な戦いを汚すものであるとして切り捨てられた。面白い事にアメリカの左翼も「偶然説」に立脚した論を展開した。ところが著者が2003年ごろから9.11事件を調べてゆくうちに、インターネット上で公式説明に反対の証拠を提示し米国政府が共犯関係にあると云う主張をなす人々がいることに気がついた。ポール・トンプソンが時系列にデータを検証して共犯説を唱えた。ナフェズ・アーメドは「9.11事件日政府機能停止」説から政府の共犯関係を疑った。フランスの研究者ティエリ・メサンはペンタゴン衝突物体は飛行機ではなくミサイルであることを写真から検証した。さてあの9.11事件は「イスラム教徒の狂信的テロの犯行」と云うアメリカ政府の宣伝を信じていたのはアメリカ国民だけであって、欧州では当初から「アメリカ政府が関与した謀略説」が囁かれていた。「真珠湾攻撃」を利用したのか、いや「自作自演のやらせテロ」だと説である。犯罪学の原理「そのことによって一番利益を受けるものが犯人である」に従えば、9.11で儲けた人々は米国石油資本と軍需・金融資本である事は明白である。すると殺した犯人は計画者である米国資本と実行犯であるその手下で、殺されたのはアフガニスタンとイラクの国民である。

へレン・カルディコット著 「狂気の核武装大国アメリカ」 集英社新書
アメリカ政府の核政策をまとめてみよう。アメリカは現在2000の地上配備型大陸間弾道ミサイルICBMに搭載された水素爆弾、潜水艦に搭載された3456の核ミサイル、航空機に搭載された1750の核兵器をもつ。合計7206の核兵器のうち2500の核兵器がボタン一つで発射される形態態勢にある。そして核戦争に勝利するための計画がいつでも実行可能な状態にある。ロシアもほぼ同数の戦略核兵器を持っている。国防総省が攻撃目標を定める単一統合作戦計画SIOPは現在3000の核施設・政府首脳部・工場などを攻撃目標とし、そのうち2260はロシア国内である。2000年アメリカは中国に最恵国待遇を与える一方で、中国の地点をSIOPに含めた。SIOPにはイランやイラクなどの非核保有国も含まれている。エネルギー省の原子力研究所は第2次マンハッタン科学事業計画に着手した。向こう15年毎年6000億円をかけて現核兵器の安全生と信頼性を確認するというものだ。ブッシュ政権は国家ミサイル防衛NMDシステムを優先して推進する。 米国金融資本やグローバリズム戦略は軍事戦略に密接に関係する。「見えざる市場の手は、見えざる鉄拳なしには機能しない」と云う人がいた。恐ろしい言葉である。自由を標榜する国際市場は軍隊が守っているというのだ。

浜田和幸著 「石油の支配者」 文春新書
原油価格を動かしているのはアメリカの金融戦略である。第1次石油ショックの真相を知る人は少ない。1969年アメリカは深刻な景気後退局面に陥った。ドル売りから金融パニックとなった。1971年ニクソン大統領はドル・金の交換を停止し、1973年ドルの10%切り下げを断行した。ドルの信用が低下して世界の金は欧州と日本へ流れた。1973年10月第4次中東戦争が起きたので、原油価格は4倍に跳ね上がった。このオイルマネーはそっくりアメリカに還流し不動産や株式に吸収された。見ようによっては、アメリカの経済状態を救うために中東戦争が計画され、原油高から上がった金がアメリカに還流する事でアメリカは経済破綻から救われたといえる。この筋書きを書いたのがキッシンジャー国務長官であった。そして原油取引はドルに限ると云うペトロダラーが始まった。石油をめぐる熱き戦いは中東からロシア、中国、アフリカに重心を移しつつある。アメリカの謀略機関はこの地に紛争の種を作るべく虎視眈々と狙っている。グルジアにロシアが侵攻したのは、カスピ海の天然ガス輸送パイプラインをトルコを経由しないで黒海に持ってくるためである。1980年代のソ連のアフガニスタン侵攻もやはりガスパイプライン確保を狙ったものだ。これはアメリカの謀略機関に巻き返され、ソ連邦崩壊の元を作った。今回のグルジア侵攻は、ロシアが持っていたイラク内の油田開発権益を、イラク戦争で見事にアメリカとイギリスに奪われた仕返しでもある。油田開発が進めば3分の1はアフリカ原油になるだろうといわれている。安定した国家がないのがアメリカの付け入るもとである。アメリカ国防省は「アフリカ軍司令部」を設け、本格的なアフリカ進出に乗り出した。アフリカのどこかで戦争が起きる日は近い。

ノーム・チョムスキー著 「メディアコントロールー正義なき民主主義と国際社会ー」 集英社新書
民主主義社会には二つの概念がある。普通の定義では大衆が情報にアクセスでき、意思決定に参加し影響を及ぼすことが出来る社会のことをいう。それに対して一般の人びとを意思決定に参加させず、情報のアクセスは巧妙に管理される社会のことである。ここで情報アクセスに関わるのがメディアのことである。後の社会民主主義は日本で言えば封建社会の「知らしめず、寄らしめず」という武士階級の政治倫理に類似する。情報公開と意思決定参加が基本的に異なる社会であるが特権階級はそれを大衆に悟られてはまずいのでメディアという広報機関をコントロールするのである。公益の最終決定者は特権階級にあり、大衆民主主義にあるのではない。全体主義国家や軍事政権なら逸脱した大衆の要求には暴力や棍棒で答えるが、民主主義社会では組織的宣伝で誘導するのである。広報産業を開拓したのはアメリカである。目的は一貫して「大衆の考えを操作する」ことであった。誰もが反対できないスローガン、誰もが賛成するスローガン即ち星条旗のもとに団結することであった。このスローガンでストライキ抑圧、赤狩りが行われ、テレビ新聞には特定のメッセージだけを流させるので大衆はそれ以外の選択肢を知らないのである。そして大衆には恐るべき敵を常にでっち上げておいて権力側に目が向かないように、恐怖で支配する

戦争の歴史と闇の勢力

本書は最初のテーゼ「絶対支配者ルシフェリン」を世界最初の文明である古代メソポタミア文明(バビロニア)にもとめている。そして後の世界の歴史を演繹的に説明しようとするのである。まず古代バビロニア文明に発祥について、ブライアン・フェイガン著 「古代文明と気候大変動」 河出文庫からその起こりを引用する。
「紀元前5800年からの気候温暖化の恩恵によって、チグリス・ユーフラテス川の三日月一帯に農耕民が集まり、定住地の中心は感慨用水路を張り巡らして、緑の農耕地が広がった。これらのうち紀元前3000年ごろからメソポタミア文明はウルクを中心とする南部の文明と、バビロンからマリに位置する北部の文明が勃興した。南部文明はシュメール文明といい楔形文字を持った。ウルクの都市国家は紀元前3500ごろに始まるが中央集権制の農耕生活を続けていたが、紀元前2300年にウンマのルガルザゲシ王がウルクを併合し南部を統一した。北部にはキシュのサルゴン王が紀元前2334年バビロンにアデカ王朝を開いた。そしてウルのシュメール都市国家連合を打ち破り、さらに北部のマリも占領して、名実ともにメソポタミア全土を統一した。エジプトでは、紀元前3100年にメネス王が多数の王国を一つのエジプトに統一した。ところが紀元前2184年から150年間はナイル川の氾濫が少なくなったので、ファラオの支配するエジプト古王国は分裂と抗争の時代に入った。再統一されるのは紀元前2046年メンチュヘテプ二世によってである。中央集権化と土地の組織化という巧妙な戦略は、気候変動に対する最良の防禦手段である事が明白となった。紀元前2000年ごろメソポタミアとエジプトに古代帝国が誕生した。」

本書の話は9.11同時テロ事件からはじまるが、この事件が米国支配者たちの戦争ビジネスによる謀略事件であると云う結論はデヴィッド・グリフィン著 「9.11事件は謀略か」に詳しく述べられている。デヴィッド・グリフィン氏は謀略としか考えられないという証拠を40ほどあげて将来の検証に付すという謙虚な態度を示している。しかし謀略の主体が誰かということは読めば明らかで、誰が得をしたかという犯罪学の原則からネオコンである事は確かであるという。ベンジャミン・フルフォード氏の結論と同じである。9.11謀略説については繰り返さない。問題はそれより先の、ブッシュ大統領らネオコンもある闇の勢力の手先であると本書は云う。その闇の勢力のルーツ探しから始めよう。なお本書を読んでいくと、ベンジャミン・フルフォード氏が異様なほど「闇の世界」、「地下組織」、「アンダーーグラウンド」、「秘密結社」、「フリーメーソン」、「ヤクザ組織」、「オカルト」、「UFO」、「邪教」などの非合理な組織に興味を持っていることがわかる。あまりいい気はしないのだが、先ずは付き合って著者が言いたい事を聞いてみよう。

1878年ごろからアメリカで開催される「ボヘミアングルーブ」と云うキャンプがある。生贄の儀式として人形を焼いて、大統領経験者や財界の大物、学者などが秘密裏に原爆製造とか世界の重大課題について話し合うと云う。世界の謀略論にはいつもロスチャイルド家が話題に上がる。ある人が「ロスチャイルド家はニムロードの子孫だ」と指摘した。旧約聖書の創世記では「ノアの系譜」はノアーハムークシーニムロードとして描かれ、ニムロードは世界最初の権力者となったとされる人物である。先に説明した古代バビロニア文明が紀元前2000年ごろに統一王朝を作ったアデカ王朝のキシュではないかと考えられる。旧約聖書の創世記は神から始まる演繹法的記述で、古代バビロニアや古代エジプト文明の王朝の歴史を反映しているようだ。ニムロードはバベルの塔の建設者で、神の怒りを買った堕天使ルシファーの子孫であるといわれる。ニムロードは地上最初の権力者で、人間を家畜化する野心を持つ邪教を信じた神への反逆者だと旧約聖書はいうのである。ニムロードは食料(金)、権力(暴力、国家)と智慧(情報、知識)の三つを併せ持つよこしまな神様である。彼ら神様集団がルシフェリアンである。世界の富を独占するユダヤ人金融資本と云う決め付けで、シェークスピアの「ヴェニスの商人」に描かれたように欧州では昔からユダヤ人の金融支配欲を見てきた。またノーベル賞受賞者や音楽家にユダヤ人の知性の優秀さを見てきた。そして彼らが金を武器に権力・国家を奪ったらまさにニムロードであると著者は云う。面白い論理の展開である。ところがユダヤ人とニムロードは繋がらない。ユダヤ人とルシフェリアンは同一ではない。ルシフェリアンは日本で喩えれば「藤原氏」であり「天皇家」に混入して血を奪い取った家である。いまや天皇家は藤原家の血といったほうが正しい。ユダヤ人の起源には二つの流れがある。7世紀ごろカスピ海の北に起こったハザール王国が10世紀にユダヤ教に改宗して「アシュケナージ」と云うユダヤ人になった。ウラジミール・アシュケナージという世界的なロシア系ユダヤ人ピアニストもこの流れを汲む者である。この「アシュケナージ」にルシフェリアンが混入し、もともとのユダヤ人「スファラディ」を支配してユダヤ人に成りすましている。そしてユダヤ人は欧州へ逃亡した。現在シオニズムにより建国されたイスラエルの指導者はハザール人の血を引く「アシュケナージ」であり、本当のユダヤ人はイスラエルの底辺にいる人々である。

「ルシフェリアン」はカトリック系キリスト教を敵とすると云う特徴はどこに由来するのだろう。それにはキリスト教の成立過程を見る必要がある。AD330年ローマ帝国で行われた「コンスタンティン」会議まで遡る。この会議で古くからあったさまざまな宗教を合体させてできたのが、今のキリスト教である。そしてそれぞれの宗教の神話を都合のいいように変えて取り込んだ。復活と云う神話は古代バビロニアの太陽の復活から取ったようだ。同じように日本の「古事記」神話も古代王国を作った天皇家が豪族のもつ神話を粉飾して取り込み、自身の権力の正当性を述べたものだ。後でその豪族を次々に亡ぼせば、誰も文句を言えなくなると云う目論見である。古代バビロニアの神話を取られたことに怒った「ルシフェリアン」は正統キリスト教であるカトリック教に敵対心を抱くのだと著者はいう。

ここで現在のネオコンを操るロスチャイルド家とロックフェラー家についてその起こりと基盤を述べておこう。ロスチャイルド家は18世紀始めドイツのフランクフルトにすむ415世帯のユダヤ人の家では11番目の家柄に過ぎなかった。ユダヤ人の1/4は金貸し業に従事していた。それが100年後には欧州の貴族にまで成り上がったのだ。イギリス王室から財政的功績より貴族の紋章を与えられ(「赤い盾」)、全世界のカトリック教会の財政を一手に握った。欧州ロスチャイルド家の始祖といわれるマイアー・アムシェル・ロスチャイルドはイギリス銀行にロスチャイルド発行小切手の流通を認めさせ、イギリス金融界を二分するようになった。そうしてイギリス銀行を自分達の支配下において、通貨を支配することで世界支配を目指し始めたとされる。アメリカでは第2合衆国銀行ができた時、ロスチャイルド家の支配が始まった。ロックフェラー家の由来はあまり良く知られていないが、19世紀中頃までは詐欺と強盗と破廉恥罪と云うとんでもない家系であったといわれる。1870年ジョン・ロックフェラーはスタンダード・オイル社を設立して、鉄道会社と組んで石油のコストダウンと独占を図った。この過程でのロックフェラーのやり方が、暴力団まがいの脅迫と破壊ビジネスを行い、所謂ダーティな企業のイメージで塗られている。19世紀の終わりごろロスチャイルド家はアメリカの鉄道を95%支配していた。ここでロスチャイルドとロックフェラーが結びついた。ハイエナのような破壊ビジネスを得意とする両家が結びついたのである。

西欧の歴史を代表する啓蒙と知性の世紀であるフランス革命、ついでナポレオン時代と英仏戦争などはロスチャイルド家の資本抜きには語れない。ドイツロスチャイルド家を創設したマイアー・アムシェル・ロスチャイルドは息子をそれぞれ独立させて支店を持たせた。ネイサンはロンドン・ロスチャイルドへ、ジェームスはフランス・ロスチャイルドを、サモロンはオーストリア・ロスチャイルドを、カールはイタリア・ロスチャイルドを設立した。ネイサン・ロスチャイルドこそロスチャイルド家の本格的な栄華を築いた大財閥となった。各支店の政府と重要人物を操って「戦争ビジネス」を引き起こした。勿論戦争には賭けのリスクヘッジを取らなければならない。1776年のアメリカ独立戦争では、イギリスの資金源であるアメリカ植民地を分断し自分の財布へ入れるため、フランス、スペイン、オランダと結んでイギリスに戦争を仕掛けた。アメリカの金融はロスチャイルド家からロックフェラー家が1913年連邦準備銀行を作って支配下に置いた。20世紀の第1次世界大戦やロシア革命までルシフェリアンの資金が流れていたと云う。レーニンを援助して共産主義と云う独裁国家でルシフェリアンが世界を支配する実験となった。第2次世界大戦の原因を作ったドイツのヒットラーにも財界挙げての援助金が流れた。要するにルシフェリアンは狙いをつけた国家に、対立する要因を持ち込み両者に戦争を仕掛けて戦わせ、独裁国家をつくらせて間接に支配する体制が性に合っているようだ。これは植民地主義の常套手段であった。民主主義は支配(収奪)の効率を低下させるので嫌うのである。民意などない国家体制が一番収奪には効率的だと云うのだ。経済界や企業の支配体制(ガバナビリティ)も同じ思想で動いている。だから企業は資本の論理に基づいた冷酷な支配(労働者の収奪・他の資本の収奪すなわち独占)が可能となる。資本は腐敗するというのは、ルシフェリアンが支配するからだ。ヒットラーはロスチャイルド家の私生児で、膨大な資金力で政権を合法的に奪ったとまことしやかに伝えられる。

幕末1853年アメリカのペリー提督率いる黒船が浦賀に近づいた。実はペリーはロスチャイルド家と繋がっていた。ロスチャイルドがアメリカに送り込んだエージェントであるオーガスト・ベルモントにペリーの娘が嫁いだのである。ロスチャイルドの真の目的は植民地争奪戦に負けじと中国進出を狙うロシアをけん制する勢力を極東に作るためであった。そのために日本を近代化し軍事国家にするため、先ずは旧政権である鎖国政策をしく徳川幕府を潰すことであった。先鋭的な長州と同調する薩摩を英国が指導し、徳川幕府にはフランスがつくと云ういわば代理戦争が引き起こされた。明治維新がなって近代化が始まると、戦争の予行演習として朝鮮や台湾に出兵し、ついに日清戦争に勝利し、日英同盟を結んで日露戦争の準備に入った。高橋是清は戦争資金をニューヨークでロスチャイルド家と深い関係にあるシフ家から得た。勿論資金の出る元はロスチャイルド家であった。

絶対支配者ルシフェリンの世界支配戦略

歴史上の戦争や経済については、信じられないくらいに頭のいい一握りの戦略家(謀略家)のグループがその都度存在し、その劇的な効果の故にその手法を真似る集団が次から次へと現れた、それが現在の金融支配者だとして考えれば一応つじつまが合う。それを「奥の院」と言ってもいいし、「闇の勢力」と言ってもいい。ユダヤ人の衣を着た古代バビロニアの末裔が世界帝国の野望を使命とするというシナリオについて考えよう。著者は狂信的神様グループの存在を仮定するわけである。ニーチェは『神は死んだ」といった。マルクスも「神=宗教はアヘンだ」と言って否定した。織田信長は自分が神になろうとした。過去には「神はいない、自分が神だ」という人は結構存在した。文明的には神とは偉人のことである。特に日本は神様だらけである。しかしこの「ルシフェリアン」という神様グループは多少性質が悪い。人間を家畜化したがっている。

1925年大英博物館において、アメリカのアルバート・パイクというルシフェリアンの頭目が1871年にイタリアのフリーメイソンに送った手紙が展示された。そこには「世界を統一するには三つの世界大戦が必要だ」と書かれていたという。(いまでは大英博物館はその手紙の存在を否定している) 第1次世界大戦ではロシア革命が起こり、宗教を否定する共産独裁政権が生まれた。第2次世界大戦ではナチズムによるファッシズム帝国を目論んだがこれは破れて、米ソ2大帝国による世界支配が完成し、かつシオニズムによるユダヤ人国家イスラエルが建国され、ルシフェリアンの足場が中東に出来た。三つ目の世界大戦はシオニストとイスラム教のアラブ諸国で勃発するはずだという。そして世界が混乱し絶望の淵に立たされた時、ルシフェリアンは世界帝国を建設するというものだ。これまでの戦争は世界を一つにまとめるための色々な揺さぶり戦略で、成功したものもあれば失敗したものもある。しだいに世界は一つに向かっている。「平和のために世界は一つになろう」と云う運動も思想改造戦略である。ルシフェリアンの最終目標は、全人類を支配すること。米ソの冷戦で本当に核戦争を狙って1962年キューバ危機が作られた。世界を一挙に統一するには核戦争は効果的であると云うのだ。J.Fケネディは核戦争の危機を回避した。これを怒ったルシフェリアンの手によってケネディ一家は次々と暗殺された。どう、信じますか?しかしなんかケネディ暗殺の謎が解けたような気もする。そして米ソ冷戦でソ連は疲労し、資本主義が勝った。するともうソ連は用済みとばかりに、1989年1月日米欧3極委員会のメンバーが集まって秘密会議を開催した。その会議でロックフェラーは「ソ連を解体するなら、欧州を一つにまとめよう」と提案したと云う。それが1991年マーストリヒト条約で合意された今のEUである。EUの政治体制、計画経済などを見るとまさにソ連社会主義とかわらない。国をなくして統一政府をという流れはソ連邦と同じ政治体制である。世界政府に向かってルシフェリアンの戦略は進んでいる。

1997年ラムズフェルド元国防長官やチェイニー副大統領などのネオコンは「アメリカ新世紀プロジェクトPNAC」が発足し、敵をソ連からイスラムへ鞍替えした。イスラム国で一族支配の石油産出国はほとんどがロックフェラーの支配化にある。ここに敵対する者どうしを作って、戦わせるのがルシフェリアンの戦略である。そして両方に出資して儲けようと云う金融資本の思惑もある。9.11事件で見たようにビン・ラディン家はサウジアラビアの大富豪で政治的影響力の大きな一族で、ブッシュ家は20年以上にわたり石油ビジネスの密接な関係が有り、ビン・ラディン家一族の多くの人々はアメリカのブッシュ家の近くに住んでいた。手を結んだもの同志がとんだ猿芝居を演じたのが9.11事件であった。9.11後ブッシュ大統領は米国を恐ろしい反動国家体制にした。国民を完璧に管理できる自由のない警察国家にしたのである。そしてアフガンからイラク戦争へ突っ走り、イラクでは120万人を虐殺した。

地球環境問題は実は資源戦争であり、有色人種のすむ開発途上国への差別政策である事は賢明な人なら気付いているはずである。この差別思想は白色人種優生思想にも関連している。リッカルド・カッショーリ/アントニオ・ガスパリ著  「環境活動家のウソ」 洋泉社新書ではバチカン教皇庁が環境運動の優生主義の危険性に警鐘を鳴らしたのだ。その概要を記す。
「人種差別と優生学はナチスにおいてユダヤ人虐殺になり、その非人間性は激しく非難され、第2次大戦後は優秀民族とか優生学とか云う言葉は排斥された。ところがアーリア系民族の優秀さを信奉する人々は欧米において根強く残っている。その人たちが国連に働きかけ後進国の人口抑制、産児制限に取り組んでいる。優生学を信奉する人は財閥からの援助を得て、地球環境運動と結合したのだ。資金提供者にはロックフェラー、フォード、メロン、デュポン、スタンダード石油、シェル財閥が優生学協会の時と同じく入っている。地球環境運動の持続可能な発展は、経済のみならず人口の抑制をも視野に入れている。そこで編み出した戦略とは、地球は今にも壊れるような「扇動的災害論」で世界中の人々の感情を震え上がらせ、成長の抑制(先進国の特定国は適用を免れます)のためなら、人口抑制(後進国の人口である)もやむをえないと思い込ませるためである。そのためキリスト教の博愛主義は邪魔になるので、環境活動家は自然崇拝の新しい宗教を考えようとしていると、バチカンは危惧を感じたのだ。白人アングロサクソンだけが地球というノアの箱船に乗る権利がある。アジア・アフリカ(日本人もそうです)人は狭い地球から追い出してしまう、民族自滅のプログラムを環境問題や経済発展・人口問題に埋め込もうと云う戦略である。人間中心主義が環境を軽視していると云う理由で環境活動家はキリスト教を目の仇にしている。人間は地球の癌であると云うことを公言するアニマリズム・地球解放運動の思想とガイヤ理論、自発的人類絶滅運動VHEMTの思想は人間嫌悪から人間否定の恐ろしいペシミズムである。したがってエコロジー的イデオロギーは汎神論、多神教、自然崇拝アニミズムをまねた新興宗教である。」 ここにもロックフラー財閥の名前がある。有色人種の根絶やしという「優生思想」はルシフェリアンと深い関係にあるのかもしれない。彼らにとって「地球温暖化問題」とは有色人種に資源を使わせない戦略なのである。

ネオコン勢力は偽札と麻薬をリンクさせたビジネスを展開している。英国の東インド会社の「アヘン戦争」と同じく、米国ではCIAが南米に地下造幣局(偽札印刷所)を持ち、世界各地で麻薬ビジネスを展開している。北朝鮮の麻薬製造と協定を結んでいるため、六者会談でも北に対する甘い外交(弱腰)しか出来ないのは、香港でのマネーロンダリングの仕返しを北から受けているのである。石油をアメリカドルで売買するのと同じく、麻薬にもドル支配を強めている。ロックフェラー財団が世界に穀物特許の95%を支配しているのも、エタノール燃料で世界の穀物価格を引き上げているのも、彼らの食糧政策である。穀物先物取引で膨大な利益を奪うだけでなく、未開発国を飢餓に追い込むつもりらしい。著者はさらに恐ろしい推測をする。エイズ、SARS、鳥インフルエンザウイルスなどを作り出し、そしてタミフルを開発してぼろもうけをしているのもこれらの神様グループであるという。金のない未開発故国の人口を減らし、金のある国にタミフルを売って利益を上げると云う、1石2鳥の戦略らしい。ホントかな。UFO騒ぎを作ろうとしているのもこの神様グループらしいという。多発する世界の巨大地震をプラズマ装置HAARPで作ったのもこの神様グループらしい。ユビキタスコンピューティング技術でICチップを人間に埋め込んで人間の商品化を企てているらしい。ボーイスカウト組織は軍国主義少年の養成機関らしいと云うのは平凡な推測だ。最期に、2012年(あと3年)でマヤ暦が終了するそうだが、その世紀末思想とノアの箱舟に乗れる選民思想からルシフェリアンが何かを起こしそうだと著者は恐怖する。歴代のアメリカ大統領のうち10人くらいがフリーメーソンと云う秘密結社の会員であった。そしてフリーメーソンのトップははルシフェリアンに乗っ取られたいたらしい。これらの著者の推測を信じますか。

アメリカに抗する国々

こんな恐ろしい神様に支配されていると思うだけで戦慄を覚える。これは本当に実在するのだろうか。恐ろしいほど頭のいい戦略家の支配への恐怖が作り出した幻想ではないだろうかという気もする。著者のオカルト趣味が昂じて、描き出された悪魔の司令塔ではないだろうか。ワーグナーの劇音楽「指輪」のようなストーリ−である。とは云うもののもう少しお付き合い願いたい。何か役に立つ情報もあるだろう。この章ではルシフェリアンの纏めと対策を行う。

古代バビロニアが栄えていた紀元前2000年ごろ、太陽を神とする独裁者の王がいた。ところがローマ時代末期に皇帝は支配の道具としてキリスト教を認可し広めた。当然他の宗教は圧迫され追放された。バビロニアの貴族らはニムロードの末裔を自称し悪魔教を信仰する秘密結社を結んで欧州へ移動した。中東・中央アジアから欧州への民族大移動に時期にあたる。近代になると欧州宗教界はローマカトリックとプロテスタントに分裂し、ルシフェリアンは欧州のユダヤ人に紛れ込み金融の力によってイギリス・アメリカという帝国を乗っ取った。二つの世界大戦によって、アメリカ・イギリス・オランダ・フランス・ドイツ・ベルギー・カナダ・スイス・イスラエルなどを支配し、ある程度世界制覇の道が開けた彼らはつぎの世界大戦を計画し人類の征服と云う最終目標に向かっている。というのが著者のストーリーである。こういうアプリオリに神様集団を仮定し、演繹的に世界歴史と戦争を解釈するとなんか当っているような気もする。分りやすい荒唐無稽なワーグナー劇のストーリを見ているようだ。しかし現在、ルシフェリアンの支配を逃れようとする国々もある。北欧のスウェーデン、ノルウェー、デンマークは本物の民主主義国家である。中国・ロシアやモンゴル・中南米はこの支配から独立して独自の歩みを開始した。ルシフェリアン=世界金融資本のトップは20世紀始めロスチャイルドからロックフェラーに代わった。そして覇権は欧州からアメリカに移動したのだ。

第2次大戦以降、ルシフェリアンは国連を使って米ソ対決の最終戦争を仕掛けた。日本は占領によって他に選択の余地はなく米国追従が国策となった。ソ連邦が自壊して敵が消失してしまったので、彼らは慌ててイスラム原理主義と手を結んで対立の火種を醸成した。裏では石油を通じて米国石油資本とアラブ産油国が繋がっている事は万人が認めるところである。しかし両者の戦争能力が違いすぎて真剣勝負にはならない。9.11後をみていると猿芝居という観を拭えない。ポールオニールが2002年に辞任させられた理由は、連銀セントルイス地区が「アメリカは既に倒産している」と云うレポートを出そうとしたからだといわれる。ブッシュやチェイニーが「イランを核兵器で攻撃せよ」と云う命令に対しアメリカ空軍の一部で反乱が起きたといわれる。(ブッシュ家はロスチャイルドのジョージ・H・シャープに乗っ取っとられていた。)石油を巡ってルシフェリアンには二つの派閥があるようだ。地球温暖化防止を叫ぶ欧州ロスチャイル家は原子力利権を狙う人々であり、中東の石油利権を狙うのはアメリカロックフェラー家である。彼らが抗争しているのである。地球環境問題とはそういう問題なのだ。地球征服の道具をめぐる争いである。アメリカを奪い取ったロックフェラー家は石油と軍事を押さえて世界支配を考える戦略である。9.11謀略を起こしたのは中近東の石油支配と占領の拠点確保(バビロニアに自分らの国家を)ねらうネオコン勢力である。石油のドル支配からしだいに離れてゆく国がいる。中南米とアフリカ、彼らを支援する中国、自主資源外交を展開するロシアである。日本はアメリカによってバレル180ドルの石油を買わされていた2008年秋に、バレル20ドル以下と云う格安の石油が取引されているのだ。日本における「雇われ右翼」は決してアメリカに牙を剥かない。仮想敵国ソ連を失った右翼はアジア民族を侮辱することしか能がない。アメリカ軍事戦略は中国脅威論を宣伝しているが、賢明な中国は決して挑発に乗らない。アメリカの軍事衛星を撃墜してアメリカの真意を伺うのである。サブプライムローンが引き起こしたアメリカの金融危機は、世界金融資本の破壊ビジネスである。世界から数百兆円を集めてアメリカに還流しようとする企みである。


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