ごまめの歯ぎしり  041027

    

・・ 【新潟県中越地震】 10/27 ワゴン車から男児救出、母親は死亡・・
NHK1チャンネルテレビ中継での間違い報道について

 

今日は私の誕生日です。それはさておき今日は昼過ぎより新潟中越地震災害現場での救出テレビ中継に釘付けになった。奇跡的に長男が救出されたことで万歳を叫んだが、母親は死亡が確認された。残念至極である。さて朝日新聞ホームページasahi.comの記事を下に示す。

「新潟県中越地震の発生から5日目の27日午後、同県長岡市妙見町の土砂崩れ現場で、母子3人が乗っていたワゴン車の中から2歳の男の子が見つかり、無事に救出された。地震発生から約92時間ぶりの救出となった。ともに車内に閉じこめられていた母親は死亡が確認され、女児は救出活動が続いている。 救出されたのは、同県小出町中原の皆川優太ちゃん(2)。亡くなったのは、優太ちゃんの母親の貴子さん(39)で、長女真優(まゆ)ちゃん(3)の捜索が続いている。 優太ちゃんは27日午後2時半すぎ、土砂にはさまれていた車の中から、救急隊員に抱きかかえられて助け出された。治療にあたった病院によると、頭にけがをしており、脱水症状がみられたが、意識ははっきりしている。貴子さんは車の中から運び出されたが、搬送先の病院で死亡が確認された。 (04/10/27) 」

ところで問題なのが、NHKのテレビ報道を見ていた人は母親の死亡を知って、期待を持たせたNHKの報道にがっかりしたはずである。なぜなら「電磁波検出法により3人の心臓音が聞こえた」「救出隊の呼びかけに母親が答えた」という話をアナウンサーが何回もしていた。「電磁波検出法により3人の心臓音が聞こえた」という報道は機器の間違い(誤動作)、信頼性がない方法であったというような科学的説明で解決するしNHKの責任ではないにしても、「救出隊の呼びかけに母親が答えた」という話は誤報道である。「母親は土砂に埋もれた窒息死であった」と午後7時の赤十字の記者会見で明らかにされた。数日前に死んだ人が答えるはずも無い。恐らく男児のうめき声を聞いた消防団員が女の声と判断したのであろう。上の2つがセットになって3人の生存に期待が膨らんだのであろう。明らかに間違い報道である。それにしても今回のテレビ報道が間違った情報源に長時間支配されていたことが分かってがっかりした。また最新兵器と紹介された電磁波検出法もいかに頼りない方法であるかも分かってがっかりした。


・・・・・・追    記   (10月29日午後2時アップ)・・・・・
朝日新聞よりの説明(10月29日朝 Asahi.comより全文掲載)


「母子3人生存?」土砂崩れ現場で情報混乱 精査できず

 新潟県中越地震の土砂崩れ現場での母子3人の救出活動をめぐり、男児が救出された27日午後、1時間余りにわたって、「3人生存の模様」「母親も生存」といった速報が相次いだ。その後、母親と長女は亡くなっていたことが分かった。奇跡的な救出を伝える取材現場で、不正確な情報が交錯した。
 ●声の主あいまい
 「3人とも生きている」「声をかけると女性が呼びかけに応える」「2人搬送して、もう1人も生存しているようだ」「母親は車内で立っている」  この日流れた不正確な情報は多岐にわたった。母子の救出には、東京消防庁や他県の消防、新潟県や同県警、長岡市、自衛隊など多くの組織がかかわり、メディア側はそれぞれの組織への取材や情報収集に走った。  車が埋まっていた新潟県長岡市の現場で、午後2時、救助犬が反応。2時31分、レスキュー隊員の呼びかけに地中から応える声がした。  東京消防庁の隊員は最初、「あー」「うー」という声を聞いた。小さな呼吸のような声。「男か女か、1人か複数かも分からなかった」  別の隊員も「3人とも生きていればという気持ちはあったが、安否は分からなかった」と話す。  だが、その場で声を出したのが誰なのかを確認できないまま、情報は短時間のうちに関係先を駆けめぐった。  長岡市災害対策本部は午後2時15分すぎ、「東京消防庁のレスキュー隊が、3人の生存を確認したようだ」と発表した。
 ●消防発表も訂正
 東京消防庁は、午後2時50分ごろ、広報課のホワイトボードに「14・31 女性の肉声確認/14・39 男の子(1名)救出(生存)」と書き出した。長男救出後の午後3時ごろには、「人命探査装置(シリウス)で人の心臓の鼓動の波形を確認」と書き加えた。  同庁によると、現場のレスキュー隊員と無線で連絡をとりあっていた現地の職員が逐次、同庁本部へ報告していた。  同庁広報課は「一刻も早く現場の状況をお知らせしようとしたが、女性の肉声とは長男の声だった可能性が高い。喜ばしい知らせを伝えようとするあまり、結果として誤ったのは残念だ」としている。  総務省消防庁でも詰めかけた記者に対し、午後3時16分、「14時29分女性及び男児1名の生存を確認」との文書を発表したが、4分後に「女性及び」の部分を削除した。  テレビ局では、NHKが「人命探査装置で3人の心臓の波形を確認」と報じたほか、日本テレビやTBS、テレビ朝日、テレビ東京も「母子3人の生存を確認」などと速報。共同通信や時事通信も「3人の生存確認」などと配信した。  地元の新潟日報は輪転機を止め、夕刊一面トップで「不明母子 3人生存」と扱い、長岡市などに配った。
 ●一部で号外配布
 刻々と変わる状況を、新聞社も号外などを通じて伝えた。朝日新聞は、一部地域の夕刊で「男児救出、母生存」と報じたり、一部地域で「不明の母子3人生存」などの号外を配布したりした。  メディア各社は、長岡市や消防関係など複数の関係先に取材して得られた生存情報をもとに報じたと説明している。  朝日新聞の横井正彦・東京本社社会部長は「今回の救出作業には多くの機関がかかわっており、各機関が迅速に情報を出してくれた。その情報を付き合わせ、それぞれの時点で確度が高いと判断して報じたが、生死にかかわる重要な問題では、さらに裏づけ取材を尽くすべきだった」と話している。  TBSの昆洋隆広報部長は「情報を発表する側と取材する側双方に『助かってほしい』という思いがあり、そういう空気が醸成された中のやりとりで、結果として誤解が生じてしまったのではないか」としている。 (10/29 10:11)

「ごまめの歯ぎしりの見解」朝日新聞はやはり正しく反省している。しかしTBSの昆洋氏の態度はなんだ。メディアとしてのやってはいけないことへの反省が全く無い。みんなの気持ちさえよければどんなデマでも流していいように受け取れる発言である。もしこの件が悪い方向でのうわさなら(関東大震災のとき、朝鮮人が暴動をおこしている)だから朝鮮人を殺してもいいといった方向へつながったらどうするのだ。とんでもない惨事が発生したかもしれない。報道関係者として歴史の教訓を学んでいない。報道関係者が人のうわさの言ううがままに情報を流してはいけない。報道関係者としての矜持があるはずだ。元を取り確認することがイロハで、また誰が言ったと必ずコメントすること。「みんなよかれ」、「みんなでうそをついてもだいじょうぶ」という日本人特有の全体主義で流れたら個人の自由も何もない。TBSは厳に反省して襟を正してほしい。なおごまめの歯ぎしりは28日朝にNHKに抗議の意見をメールした。まだ返事は無い。


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