今回の介護で特徴的なことは、やはり生きることは食べることで食べれば排泄はつきもので、大変ストレスのかかる介護作業だということを実感した。当然私の母には紙おむつを使用しているのだが、家にいる時は便所を利用しているので、寝たきり病人や老人のようなベットでの排便はなく、トイレやおまるで用をたしている。しかしそれが問題なのである。週に1回くらいの頻度でトイレを便で汚すのである。衣服の脱着に手間がかかるので、ゆるい便のときは便器や衣類を汚すのである。私は耳を澄まして、母がトイレに入って5分経っても水を流す音がしない時は、まず事態を想定してトイレに飛んでゆく。すると母は下は何も着ないで、汚したパンツや衣類を手洗いをしていた。風を引かれては困るので急いで新しい下着を着けさせズボンをはかせて座らせる。それから便器だけでなくトイレ全体を水洗いする。悪臭にめげずトイレの洗浄に10分は必要である。一段落したら衣類の洗濯にはいる。紙おむつはビニールにくるんでゴミ袋へ、あまりに汚れのひどい下着類は洗濯せず紙おむつと一緒にゴミ袋へいれる。その間30分はかかる。このことがデイケアーに出かける直前に起きたらパニックになる。しかしそこでも、言葉を荒げずに「お母さんは向こうで座ってゆっくりしていてね、わたしがやっておくから」と母のプライドを傷つけずにやることがコツである。一番辛いのは母である。
これだけのことに介護する人間が参っていたら共倒れだ。何回か経験すれば人間は驚かないもので、最近はストレスを感じないで鼻歌交じりに立ち向かうことが出来るようなった。糞にまみれても人間の価値には関係ないし、母親のありがたさに変化はない。母の悔しい恥ずかしい気持ちをどうにか笑って対処しなければならない。
女優の小山明子さんが夫大島渚氏の介護奮戦記を書かれた。「パパはマイナス50点」 集英社(2005年9月発行)1600円
内容の殆どは夫の病気介護経緯と彼女自身の鬱との戦い記なのであるが、第7章に「共倒れしない介護の秘訣」という記述があり、介護の仕方という点で実に参考になり共感できるので紹介したい。ここで彼女は共倒れしない介護のコツを次の七項に纏められた。纏めた言葉は生気を失うので、本を読まれることを推奨したい。その各々の秘訣に私の経験談を付記した。
つぎに私が在京して生活した10月から11月の間、デイケアーの催し行事(運動会)、地区敬老会総会(六斎念仏踊り)に参加したときの写真を下に掲載する。
写真1) デイケアー運動会(10月) 玉入れ競技 |
写真2) 光徳小学区敬老会総会(11月) 小学生による六斎念仏踊り |