随筆  041202

デイケアーの一日  介護日記(1)

母のデイケアー参観
 

私の母は現在91歳で京都で一人住まいである。ホームヘルパーさんの週1回の掃除介護サービスと週4回のある病院でのデイケアー施設に通うことと兄弟による食事・洗濯などの世話によって生活している。社会福祉事務所による要介護認定はレベル1である。これは1年に1回の介護認定面接の時に急に張り切って頭脳明晰ぶりを披露した為に従来のレベル2認定からランク落ちしたためで、必ずしも実態を反映していないと介護士主任はおっしゃっている。11月に私は1ヶ月帰京し母と生活を共にして、いわゆる介護を行った。その間2回デイケア-施設を訪問し参観した。下の写真は施設の了解を得て撮影したものである。デイケアーの一日を紹介しよう。

あるデイケアー施設での母の風景
写真1) デイケアー参観(1)
お茶とおしゃべり中 
写真2) デイケアー参観(2)
朝一番の体操
写真3) デイケアー参観(3)
デイケアースタッフのお世話
写真4) 壁の額
還暦から皇寿まで


施設の壁にあった額から「お迎えを老人パワーで追い返す歌」

母は週4回のデイケアーサービスを受けている。朝8時50分ごろ施設より迎えのバスの来る時刻の連絡が入る。9時にバスが来てスタッフの人が玄関まで来て(必要ならベッドまで来て)母の手を引いてバスに乗せる。5人くらいの人を乗せてバスは9時30分ごろでデイケアー棟に到着して、各自の椅子に案内され後続の老人の到着を待つ時間まで、写真1)のようにおしゃべりやお茶のサービスを受ける。全員が揃うのが10時ごろでトイレなどを済ませて全員が着席したら、テーブルを片付け、写真2)のように真ん中を空けて壁際に椅子を移動して朝一番の体操が始まる。一日の参加される人は15名くらいで、スタッフは写真3)のように5名である(リハビリ整体士が1名常駐して必要な人のリハビリを行う)。結構なスタッフ数でサービスに努めているようだ。体操の後はゲームや日によっては歌唱や踊りを行う。老人の動きは緩慢でかつトイレへ行く人も多いのですべてがスローに進行している。11時半ごろになると昼ごはんの準備になるので、テーブルを戻して写真1)の位置に全員が着席する。12時から昼食が出て13時ごろから順番にお風呂へ入る(毎回ではなく週2回ほど)。スタッフが入れてくれるので安心である。下着の着替えなども手伝ってくれる。15時ごろにはおやつの時間でケーキやプリンなどが出ているようだ。15時30分ですべて終了し、送迎バス(2台)で家の玄関まで送り届けてくれる。これがデイケアーのある一日の風景である。

デイケアーサービスの一番有り難いのは風呂に入れてもらえることで、自分で風呂に入る危険を回避できる。次に昼食を全員でとることで規則正しく食事ができるので安心である。もうひとつの有り難いことはミニ社交場なので孤独に陥らず、お友達が出来て精神的に活動的になれることである。もちろん本人にある程度の活発さが要求されるが。これで週4回のサービスを受けると本人負担費用は月あたり約20000円程度である。本人負担率は10%だそうだ。有り難いではないか。京都市と国の補助がなければ出来ないことで現在の老人はかなり恵まれているともいえる。これからは個人負担率が増加する風潮であるが我々がサービスを受ける頃には本人負担が50%と言う時代になっているかも。

母のようにプライドの高い老人は施設または病院に入ることは絶対にいやで、私が引き取るといっても自分の家から離れようとはしない。許す限りデイケアーで出かけて夜は家にいたいという願望を満足させるにはそれなり兄弟姉妹のサポートが必要である。急速に介護負担が増えてゆくことは覚悟しなければならない。


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