111012

竹浪正造著 「はげまして はげまされて−56年間の絵日記」

 廣済堂出版 (2011年10月)

元気な93歳のじいちゃんの暖かい戦後の家族の記録

はげまして

2011年10月の初め、民放テレビの「なにこれ珍百景」という番組で、「ツル多はげます会」の例会で額に吸盤をつけて二人の老人が引っ張り合い、つるつる度を競う映像が放映され、そして竹浪正造さんという93歳のおじいちゃんが56年間の家族の絵日記を今度本として刊行する事を知った。すかさず出版社の名前をメモして注文した。なぜか注文が殺到中だという本屋の話だったが、手に入れてさっと読んで(見て)みた。私たちの世代ではなつかしい戦後すぐの家族の生活(貧しくともゆたかな家族の生き方)が情感たっぷりに描かれているではないか。漫画としても上出来である。そしてなによりも、正造じいちゃんのお元気で愉快な人柄が魅力であった。奥様や娘さんをなくされた頃のおじいちゃんの悲しみと愛惜をたっぷり編集されており、出版社の意図も十分分かった。本当は全部見たいところだが大変な量であるため、氷山の一角を示したに過ぎないのだろう。絵日記に挿入された文章はところどころ方言が入っており読み難いところもある。文章は若い頃の方が少なく、現在に近くなるにつれ文章の量が多くなる。漫画としての面白さは若い頃の絵のほうが面白く、現在にちかくなるほど絵はあっさり流されている。毛筆での線描は達人の領域に近いのではないかと思う。「百聞は一見にしかず」、漫画のペーソスは読むにしかず。

正造さんは大正7年(1918年)生まれで、私の母親(93歳で逝去した)より4年若いことになる。青森県鶴田町のうまれ、昭和11年中学校を卒業後、満州鉄道に入社し、その後満州軍に徴兵され昭和20年9月朝鮮より帰還した。戦争中に結婚し、戦後は東北電力に入社、昭和50年より東北電広社に移り、昭和62年定年退職する。鶴田町議会議員を4期務めた。平成元年より「ツル多はげます会」を創設した。この絵日記は昭和30年より書き始め現在も継続中であるとか。


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