酒井伸一著「ゴミと化学物質」岩波新書(1998年)


京都大学環境保全センタ‐(当時、現在国立環境研) 酒井伸一助教授のプロフィール

   酒井助教授は京都大学工学部衛生工学科廃棄物熱処理工学の平岡正勝名誉教授一門の出であり、有機塩素系化合物(ダイオキシン、PCBなど)の熱処理工学が専門である。本書の主題である化学物質については論点が平凡である。ゴミの燃焼・熱処理技術とゴミ戦略という観点で読めばいい。



クリーン・サイクル・コントロール戦略(3C戦略)

  GDP(国内総生産)の増加は必然的に廃棄物発生量、エネルギー消費量の増加と相関している。とくにゴミ発生量は景気の先行指数といわれる。我が国の一般廃棄物(家庭)量は年間約5000トン、産業廃棄物約4億トン、建設廃棄物約6000トン(1990年代中ば)といわれ、リサイクル率はわずか8%にすぎない。つまり「ゴミ破局」がヨーロッパより10年遅れでやってきた。特に最近は有害な廃棄物に対してはバーゼル条約や特別管理廃棄物の規制が行なわれた。例えば、ゴミ燃焼におけるダイオキシン問題、環境ホルモンと残留性有機汚染物質、廃自動車とシュレッダーダストに含まれる有害物質は適切な処理が必要である。
  廃棄物対策の基本的な考えは@発生抑制AリサイクルB適正処理であるが、有害化学物質を含む廃棄物処理対策の優先性は次の順である。
@ クリーン:有害物質を使用しない製品と工程のクリーンテクノロジ‐開発
A サイクル:工程内での有害物質の回収・リサイクルおよび製品段階の回収・リサイクル
B コントロール:廃棄物無害安定化処理技術
また廃棄物対策の誘導的手法として次の手法の検討が進められている。
@ 制的手法:化審法、リサイクル法、廃棄物処理法、バーゼル国内法、循環型社会形成推進法
A 経済的手法:課税・課徴金、デポジット制、補助金、減税、処理料金
B 情報インセンティブ:エコラベル、ライフサイクルアセスメント、環境監査、PRTR、リスクアセスメント



 
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