ウイントン・マルサリス 「HOT HOUSE FLOWERS」


ジャズとクラシックの両棲類 トランペットの貴公子 



CBS/SONY
  (左)ジャズ「HOT HOUSE FLOWERS」 1984    (右)クラシック「バロック・トランペット」 1984

ピアノのキース・ジャレットもそうであった様に、ウイントン・マルサリスもジャズとクラシックの二つの分野を掛け持ちするスーパータレントである。ジャズのアルバム「HOT HAYSE FLOWERS」と、クラシックの代表的なアルバム「バロック・トランペット」のCDジャケットを上の左右に示した。いずれも1984年CBS/SONYのリリースである。この年ウイントン・マルサリスは1984年グラミー賞で史上初のジャズ部門とクラシック部門の2部門制覇を達成したのである。そういう記念もかねて本アルバムが企画されたと考えられる。マルサリスはクリフォード・ブラウンを真似て耽美なオーケストラのメロディーにトランペットのバラードを吹き込みたいと思ったようだ。そこで編曲にロバート・フリードマンを指名して臨んだ。アルバムの構成とバンド・メンバーを示す。
1.STARDUST
2.LAZY AFTERNOON
3.FOR ALL WE KNOW
4.WHEN TOU WISH UPON A STAR
5.DJANGO
6.MELANCHOLIA
7.HOT HOUSE FLOWERS
8.I'M CONFESSIN'

トランペット:ウイントン・マルサリス
テナーサックス:ブランフォード・マルサリス
ピアノ:ケニー・カークランド
ベース:ロン・カータ
フルート:ケント・ジョーダン
オーケストラの指揮と編曲:ロバート・フリードマン ストリングス・オーケストラ
ストリング・アルバムを組むには10年早いとか色々言われたものだし、本人もまだまだだと云う謙遜をしているが、なかなかの出来上がりであろう。マルサリスは「形式や構成は全く異なるジャズとクラシックをあえてドッキングすることはないが、実際の演奏では根底で通じるものがある。それをオーケストラで演奏すれば無理なく表現できるのではないか。」という。マルサリスはジャズが下品だといわれることに反論して、「気品ある演奏を心がけている。気品とはプライドのことだ」という。このアルバムに納められた8曲の演奏は管弦楽をバックにしたトランペットの音が冴え渡っており、12分に成功しているといえる。

ウイントン・マルサリスのプロフィールを紹介する。ニューオーリンズ出身。父はピアニストのエリス・マルサリス、兄はサックス奏者のブランフォード・マルサリス。1978年、ジュリアード音楽院へ入学。1980年、わずか18歳でアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに加入し、プロとしての活動を開始。1981年7月、ハービー・ハンコックのバンドの一員として初来日を果たし、同年バンド・リーダーとしてデビュー。伝統的なアコースティック・ジャズを継承する大型新人として話題となる。その後、クラシック音楽の奏者としても活動開始。1983年、グラミー賞のジャズ部門とクラシック部門を同時受賞。1997年、ジャズ・ミュージシャンとしては初めて、ピューリッツァー賞 音楽部門を受賞。
マルサリスは、現代において最も著名なジャズ・ミュージシャンの一人であり、クラシックの奏者としてもよく知られている。ジャズ・リンカーン・センターの芸術監督を務めている。マルサリスは、ジャズ・パフォーマンスと作曲の技術、洗練されたスタイル、ジャズとジャズの歴史に関する目を見張る知識、またクラシック音楽の名演奏家であることによって名声を得ている。



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