バッハ 「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」

バロックバイオリンで聴く



バッハ 「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」とならんで、バロック時代に作曲されたヴァイオリン曲の最高峰を占めるのがこの「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」である。この曲はチェンバロという楽器との相性からしてバロックヴァイオリンによって始めて真価が発揮できる音楽であろう。オブリガートチェンバロ付のソナタとして、チェンバロが受け持つ2声部とガット弦のバロックヴァイオリンがバランスの取れたトリオソナタの世界を形作る(通奏低音としてのチェンバロではなく右手が独立した旋律を奏でる3声トリオソナタである)。「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」は6曲の組曲で構成され、いきさつの複雑な6番を除いて、すべて緩ー急ー緩ー急の教会ソナタ形式(舞曲を含まない)の4楽章で構成される。
歴史的チェンバロは繊細な金属弦の倍音に富んだ響きが特徴で、これと共鳴するヴァイオリンはやはりガット弦のバロックヴァイオリンでなければならない。現代ピアノとヴァイオリンでは喧嘩しあう夫婦のように 「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」はしっくり行かない。また現代バイオリンとチェンバロでもやはり音響の相性はいまいちである。今回2枚のバロックヴァイオリン、1枚の現代ヴァイオリンを用いた「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」のCDを聞き比べた。

バッハ ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ  BWV1014〜1019
バロックヴァオリン:寺神戸亮
チェンバロ:シーベ・ヘンストラ
1996年 DENON
バロックヴァイオリン:ジュルアーノ・カルミグノーラ
チェンバロ:アンドレア・マルコン
2000年 SONY

ヴァイオリンが中央からチェンバロが右から聞こえる。ヴァイオリンは柔らかく開放された空間に漂う音である。強さは中庸でふわふわとした夢幻の世界を表現している。


ヴァイオリンもチェンバロもほとんど同じ位置の中央から聞こえる。ヴァイオリンは鋭く、強く、早い。ダイナミックレンジが広い。バロックヴァイオリンといえど、演奏者の奏法(個性)によりかくも異なるものかと驚きだ。

ヴァイオリン:ヨセフ・スーク
チェンバロ:スザナ・ルージイッチコバ
1986年 DENON
試聴システム
真空管アンプ:EL34pp(30W) VP3488

ヴァイオリンは左からチェンバロは右から聞こえる。左右の音の分離が明確。ヴァイオリンの音は鋭く、抑制が効いている。高音の細やかな変化をよく表現した。


CDプレーヤ:TEACのVRDS-50、フルエンシー理論(20KHz再生)RDOT類推補間技術、ノンフローティングVRDSメカニズム
真空管式コントロールアンプサンオーディオSVC-200、 ECC82×2本 10Hz-100KHz   電源トランス タムラSPT-P1
メインアンプ:真空管EL34ppアンプ(30W)(上の写真)
スピーカタンノイ スターリングHE、10インチ同軸2ウエイ、能率91dB、クロスオーバ周波数 1.7KHz、周波数特性  35Hz-25kHz
スーパツィータータンノイ ST-200、 25mmチタンドーム型、能率95dB(スターリングHEに対しては90.5dBを選択)、周波数特性カットオフ18KHzから100KHz

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