G・B・ペルゴレージ作 「スターバト・マーテル」を聴く


マーガレット・マーシャルとヴァレンティーニ・テッラーニの弩迫力の2重唱
・・・・・・あなたを歌の虜にすること間違いなし・・・・・・



クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団員(23名)  ソプラノ:マーガレット・マーシャル  アルト:ヴァレンティーノ・テッラーニ
録音:1983年11月DDD  ドイチェ・グラモホン
ペルゴレージ 「スターバト・マーテル」

この曲は本コーナーで珠玉の1枚としてCDカバー写真だけはアップしたことがあるが、他の演奏CDがないためか比較として取り上げる事がなかった。これだけすばらしい曲にどうして複数のCDがないのか不思議だ。逆にいえば、これだけすばらしい演奏をされると後に続くのが難しいのではなかろうか。スターバト・マーテル(悲しみの聖母は十字架の元に立ちたまえり)の曲は26歳で世を去ったペルゴレージの白鳥の歌として、オペラ「奥様女中」よりもはるかに傑作ではなかろうか。ペルゴレージはスカルラッテイのスターバト・マーテルと同じ編成を採用しているところから、スカルラッテイの曲を頭に置いて作曲したことは間違いない。しかしペルゴレージのスターバト・マーテル(1713年)は決してバロックではない。バロック時代を突き抜けて明らかに古典派に達していた。それをアバドがロンドン交響楽団員を指揮して叙情豊かに分厚く演奏しているのだから、19世紀のオペラとみてもどこにも違和感はない。

スターバト・マーテルは13世紀に出来た聖母マリアの悲しみを歌った詩で長く聖歌として歌われ続けられた。また数多くの作曲家が作曲している。ペルゴレージは12の部分に分けて作曲した。アリアと2重唱からなる12曲のうち9曲が短調であることから嘆きの歌として有名になった。管弦楽は小編成であるがゆえに緊張感がひしひしと伝わってくるような見事な曲に仕上がった。

アバドは演奏に当たって劇的な要素と祈りの要素を組み合わせて奥行きの深い曲を志した。管弦楽も奥深い響きが成功している。それにしても二人のソプラノ・アルトの独唱者の弩迫力(アルトのテッラーニに軍配があがるが)には脱帽する。とにかくこのCDは珠玉のCDである。是非聴いて欲しい。文句なしに歌の魅力のとりこになること間違いなし。


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