モーツアルト弦楽五重奏曲 ・・第1番〜第6番
K.174,K.406,K.515,K.516,K.593,K.614



室内楽の不朽の傑作として聳え立つモーツアルトの弦楽五重奏曲として特に第3番(K.515 ハ長調)第4番(K.516 ト短調)が著名である。それにしてもモーツアルトの弦楽五重奏曲は特異な存在である。我々にはロマン派の(シューベルト、ブラームスなど)弦楽五重奏曲は重厚な響きがする、ある意味では暗く重くあまり好きになれないジャンルであった。ところがそれ以前にこのような軽快でいちじるしく活発な動きのある曲があったとは!恐らくモーツアルトの弦楽五重奏曲は音楽史上稀有な存在である。その最大の理由は弦楽四重奏(バイオリン2丁、ビオラ、チェロ)にビオラを加えたことに由来する。ロマン派ではチェロを加えた構成である。
モーツアルトの作曲法はまずメロディーと低音部を書き、次いで肉声部を和音的に埋めてゆくという手法が基本である。ある意味ではモノフォニ-的であり、ハイドンなどの多声的(ポリフォニ-)とはなじまなかった。そのために音が唐突に摩訶不思議な変化をすることを可能にした。したがって活力ときびきびした動きのある弦楽五重奏曲が出来上がった。弦楽四重奏は4声体の織り成す綾の調和を追及するのに対して、弦楽五重奏曲では四声部の調和を維持したままで1声が自由な駆け引き的な動きができる。そういう意味で「純粋な四声」に対して「劇的な五声」といわれる所以である。
調性音楽の古典派の音楽家は普通6曲または12曲を1セットとして作曲する。弦楽五重奏曲 第1番〜第6番のうち2曲が短調で4曲が長調である。各曲の特徴を一言で示す。

私が所有するモーツアルトの弦楽五重奏曲のCDは2種類しかない。
1)ヨセフ・スーク+スメタナ弦楽四重奏団 1983年録音 DENON
2)寺神戸亮+クイケン四重奏団  1995年録音  DENON
いつも聞いているのは寺神戸亮+クイケン四重奏団の版である。他に類を見ない名演である。クイケン兄弟によってオリジナル楽器演奏を信条とするクイケン四重奏団が1986年に創設された。寺神戸亮はジキスヴァルト・クイケンのもとで研鑚を積んだ。日本では鈴木雅明の「バッハ・コレギウム・ジャパン」や有田正弘の「東京バッハ・モーツアルト・オーケストラ」との競演が多い。今や日本を代表するバロックバイオリン演奏家である。


モーツアルト弦楽五重奏曲演奏CDより
 
モーツアルト「弦楽五重奏曲 k.406/593 クイッケン四重奏団+寺神戸亮 モーツアルト「弦楽五重奏曲 k.515/516 クイッケン四重奏団+寺神戸亮 
モーツアルト「弦楽五重奏曲 k.406/593  クイッケン四重奏団+寺神戸亮 モーツアルト「弦楽五重奏曲 k.515/516  クイッケン四重奏団+寺神戸亮
モーツアルト「弦楽五重奏曲 k.174/614 クイッケン四重奏団+寺神戸亮 モーツアルト「弦楽五重奏曲 k.406/614  スメタナ四重奏団+ヨゼフスーク
モーツアルト「弦楽五重奏曲 k.406/593 クイッケン四重奏団+寺神戸亮 モーツアルト「弦楽五重奏曲 k.406/614 スメタナ四重奏団+ヨゼフスーク


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