モーツアルト 「交響曲25番」ト短調  K.183 を聴く


若い生気がほとばしる
・・・・いわゆるモーツアルト効果抜群:不思議に気分が快活になる・・・・



ジェームス・レヴァイン指揮ウイーンフィルハーモニー管弦楽団  
録音:1985年6月DDD  ドイチェ・グラモホン
モーツアルト「交響曲25番」

聖路加国際病院理事長の日野原重明さんは全日本音楽療法連盟会長としても有名である。モーツアルトの音楽療法についてはドン・キャンベル著 日野原重明監修・佐伯雄一訳 「モーツアルトで癒す」(日本文芸社) に概要が書いてあります。鬱病(気分障害症候群)については最近とくに注目されている現代病です。皇太子妃雅子さんの病名を先日のテレビで知りましたがやはり鬱病でした。私もパニック症候群という鬱の仲間に2年間悩まされました。そしてその治療法ですが、私の場合は基本的には神経伝達物質(セレトニン)再結合受容体拮抗剤で治療しますが、あとは太陽を浴びることと音楽によってエネルギーを得ることでした。鬱の原因は人さまざまで長い抑圧環境、不安な状態や病気への恐怖から起きるようです。雅子さんは恐らく宮内庁や皇室の抑圧に押しつぶされたことによると思います。鬱による自殺願望の強い人は波長にして2KHzと8KHzに聴覚過敏が有り、音楽療法で99%が治癒したということが紹介した本に書いてあります。さて音楽療法で最も頻繁に使われるのが陽気な天才モーツアルトだ。中でも私は交響曲25番に注目している。

交響曲25番K.183は1773年に書かれた。モーツアルトがイタリア旅行から帰った年だ。当時イタリアではオペラの序曲から独立したシンフォニアとして交響曲の作曲が盛んだった。そして芸術至上主義の「疾風怒涛」の時代背景からハイドンの短調交響曲に刺激されて、モーツアルトは3曲の交響曲を書き上げたが、なかでも25番がぬきんでて快活で完成度が高い。モーツアルトは2曲の短調交響曲K183、K.550を書いているが、この曲は小ト短調とも呼ばれている。快活な中でも突如として激しい情感が噴出する稀有な曲である。第1楽章と第4楽章は構造が酷似しており、シンコペーションのリズム進行ではじまる。同じ音の連打で力強く快活に運動する。かつ緊迫感にあふれ40番の交響曲をも髣髴とさせる。第3楽章のトリオは管楽器だけの伸びやかな旋律で穏かな気分を感じる。

わずか26分くらいの短い交響曲であるが、とにかく動きが快活で上昇するエネルギーは若いモーツアルト特有の生気に満ちた気分を満喫させてくれること請け合いだ。鬱の話を抜きにしても、若いモーツアルトの第1級の力作であろう。あまり聴く機会がないかもしれないが、一度お試しあれ。ヴィバルディとは違った気分が味わえる。


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