私が聞いた 「バッハ 宗教曲カンタータ全集・選集」


文化遺産:レオンハルト/アーノンクールのカンタータ全集とリヒターのカンタータ選集



グスタフ・レオンハルトとニコラウス・アーノンクールのカンタータ全集がTELDECより刊行されている。おそらく現在入手しうる唯一のバッハ宗教曲カンタータ全集であろう(バッハの宗教曲カンタータはBWV.1〜200という範囲で番号が付けられているが、なぜかBWV.53,118,160,189.190,191,193,200が録音されていない。楽譜が存在しないためであろうか?  CDは60枚)。二人が指揮した楽団と合唱団は異なる。また独唱者も一部異なる。詳しくはアーノンクール/レオンハルトのカンタータ全集リスト(PDF版)を作成したので参照してください。リストにおいてカール・リヒターのカンタータ選集の演奏曲(約80曲、全集の40%、 CDは24枚)を赤色で示した。下の表に3名の指揮者による楽団・合唱団・ソリストを纏めた。

演奏団紹介
指揮者 管弦楽団 合唱団 ソプラノ アルト テノール バス
ニコラウス・アーノンクール コンチェンタス・ムジカス・ウィーン ウィーン合唱団 Peter Jelositsなど Paul Esswoodなど Kurt Equiluzなど Max van Egmondなど
グスタフ・レオンハルト レオンハルト・コンソート ハノーバー/コレギウムボーカル Jorg Erlerなど Paul Esswoodなど Kurt Equiluzなど Max van Egmondなど
カール・リヒター ミュンヘンバッハ管弦楽団 ミュンヘンバッハ合唱団 エディット・マテイスなど アンナ・レイノルズなど ペーター・シュライヤーなど フィッシャー・ディースカウなど



レオンハルト/アーノンクールのバッハ 「カンタータ全集」・リヒターのバッハ 「カンタータ選集」CDカバー
 
レオンハルト/アーノンクール指揮
バッハ 「カンタータ全集」
TELDEC (1971-1989)
カンタータ193曲   CD60枚 
リヒター指揮ミュンヘンバッハ管弦楽団・合唱団
バッハ 「カンタータ選集」
ARCHIV (1959-1979)
カンタータ80曲  CD24枚

レオンハルトとアーノンクールは戦後のオリジナル楽器演奏の草分け的盟友で、バッハカンタータ全集を完成させた。別々の楽団・合唱団を率いての演奏は当然二人の感性や考えが全く異なることに由来するものであるが、二人の役割はコインの裏表に喩えられる。チェンバロ奏者でもあるレオンハルトがバッハの知的な掘り起こしに精力を注ぎ、アーノンクールはバッハの美しさを追及したといわれる。レオンハルトのチェンバロ演奏会をつくばノバホールで聞いたことがあるが、物静かに入場し退場するまで一言も言葉を発しなかった。知的という言葉がぴったりの演奏家であった。知的ということではフルトヴェングラーもそうであるが、レオンハルトはロマン性とは無縁の学究肌である。

カール・リヒターを天才と呼ぶ人が多い。そのとおりかもしれないと思うほど、彼の演奏の戦慄を覚えるほどの集中力と完成度の高さはもはや乗り越えられる人はいまい。そういう意味ではバッハ宗教曲演奏は完成したといえる。その伝統はバッハ以来のトーマスカントールの伝統であるそうだ。私がが持っているARCHIV「バッハカンタータ選集」は1959-1979年の演奏である。60年以降の演奏は鋭い名演奏が多いとされる。リヒターは前2者と違って古楽器は使用しない。これぞ人類の無形文化遺産に登録されるべきだ。


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