水彩画法について




水彩画の生命と可能性

水彩画は銅版画の制約から逃れて(多色刷りが困難)、英国のターナーという人が始めました。当初はセピアの「単彩水彩画」といわれていましたが、ターナーは水彩画の革命を推進しフランス印象派の先駆者として一躍名声を獲得しました。その後19世紀の終わりになると水彩画は急速に人気をなくしていった。やはり表現力に限界がありため油絵と競い負けたためです。しかし20世紀の始めには特別な技法として生き返った。水彩画は読んで字の如く水で画く絵で、湿潤な状態での素早い描き方が生命です。重ね書き、書き直しは不可能です。水の中で絵の具が滲み拡散する(いわゆる日本画でいう「たらし込み」)技法にえもいわれぬ魅力が含まれています。水彩画の可能性として、題材は疑いなく風景画である。又水彩画は大きな油絵などのための習作として理想的な表現手段です。水彩画は又子供の絵本に最適です。博物学の植物画としても欠かせません、水彩画は特別大きな絵にかかれる事はほとんどありません。


水彩画の画用紙

水彩画の画材で一番大切な物は画用紙です。紙質が命といっても過言ではありません。色の発色、色の混ざり方、水の保持力、厚みなどが絵の出来具合を決定します。描き方としては鉛筆で柔らかくラフスケッチした後、水刷けで一様に画用紙を湿らせます。そして上に塗る絵の具の滲み、拡散、伸びを図ります。水彩用の画用紙の銘柄にはフランスのアルシュ紙(コットンを含有する)を最高として、MO紙、ブルダン、ワトソン、キャンソン、ファブリアーノ紙があります。私の経験ではMO紙の発色が一番鮮やかで(どぎついくらい)です。私は爽やかな発色が期待できるアルシュ紙が一番好きです。ブルダン、ワトソン紙は発色が少し暗い感じがします。


水彩画の筆、絵の具

筆はイタチか黒テンが良質です。しかし日本では日本画用の筆が多用されます。筆の種類は数本(丸筆2本、平筆1本ぐらい)で十分です。絵の具には基本的に透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具とがあります。普通水彩画といえば透明水彩絵の具を使用します。版画、デザインなどにはガッシュが用いられます。また渇きが速くかつ雨が降っていても使用できるアクリル絵の具などが最近流行しています。メーカにはホルバイン、スター、ペリカン、ニュートンなどが提供していますが、普通80色近くあります。これだけの絵の具をいつも使うわけではないので、私は24色の絵の具溜めのある琺瑯製パレットによく使用する絵の具をチューブから出しておきます。そして筆洗い、水筒、ぼろきれなどを利用して筆を良く洗って筆が濁らないように注意して、きれいな発色に心がけます。


水彩画の基本画法

*暗い色の上に明るい色をぬることはできない。透明水彩絵の具には隠蔽力はありません。下の色が反映します。またそこが水彩画のなんとも言えない魅力的な色彩です。
*明から暗への順に塗り重ねること。一番明るい白色部分は最後まで色を塗らない事。水彩画絵の具には本来白色はありません。 *素早さが命。水彩画はひとつの印象の絵画表現です。普通の戸外スケッチではできたら30分以内に風景画を仕上げましょう。


私の日本画ギャラリーでの「水彩画」と「スケッチ」の違い

このホームページでは私は「水彩画コーナー」と「スケッチコーナー」を分けて構成しています。本来同じ物かもしれませんが、私は寺院など構造物の場合はスケッチだけで色をつけません。それは蛇足だからです。しかし風景を含む場合簡単な色を付ける時があります。その場合でも基本的なデッサン線が命である時はスケッチに分類しました。それに対して鉛筆線は見当だけで薄く書き彩色によってほとんど輪郭線を必要としないときには水彩画と分類しました。川、湖沼、山、林、畑、地面、空などは自然物であり、人工的な構造物ではないからです。




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